プロテインを飲むタイミングは気にしなくてもいい

プロテインはあくまでも栄養補助食品であり、基本的にはいつ飲んでも構いません。
また、近年のスポーツ栄養学の研究により、プロテインの摂取タイミングよりも「1日の総たんぱく質摂取量」の方がはるかに重要であることが明らかになっています。
国際スポーツ栄養学会(ISSN)や筑波大学などの研究では、筋肉量や筋力向上において最も重要なのは1日の総たんぱく質摂取量(体重1kgあたり1.6~2.2g)であり、摂取タイミングは二次的な要素であると主張。
【参考】International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise
【参考】Timing matters? The effects of two different timing of high protein diets on body composition, muscular performance, and biochemical markers in resistance-trained males
つまり、「いつ飲むべきか」を気にするよりも、まずは「1日を通して必要な量をしっかり摂れているか」を重視すべきということです。
とはいえ、より効率的に筋肉づくりやダイエットを進めたい方のために、研究で示されている効果的な摂取タイミングもご紹介します。
まずは総摂取量を確保した上で、参考程度にお考えください。
おすすめのプロテインを飲むタイミング

1.運動後に飲んで筋肉の回復と成長を最大化!
運動をしてもタンパク質が不足していると、傷ついた筋肉の修復が効率よく行われず、理想的な身体づくりがスムーズにできません。
筋トレ後48時間は筋肉が活発に合成を行っており、特に筋トレしてから2時間後にピークに達します。
なので、2時間以内にプロテインを飲めるとおすすめです。
【参考】Ingestion of whey hydrolysate, casein, or soy protein isolate: effects on mixed muscle protein synthesis at rest and following resistance exercise in young men
【参考】Nutritional regulation of muscle protein synthesis with resistance exercise: strategies to enhance anabolism
林慧亮
運動後すぐに食事が取れない場合、運動の効果を最大限に発揮するためにも手軽に栄養を取れるプロテインを活用しましょう。
※「トレーニング前にもプロテインを飲むべきなのか?」については下の「プロテインの飲み方に関するQ&A」で解説しています。
2.就寝前に飲んで成長ホルモンとの相乗効果で効率的な体づくりを!
寝ている間も筋肉の修復は行われています。
寝る前にプロテインを飲むと、睡眠中に分泌される成長ホルモンがタンパク質の吸収を促進してくれるので、効率的な体づくりができますよ。
【参考】Protein Ingestion before Sleep Improves Postexercise Overnight Recovery
ただし、次の点については注意しましょう。
就寝前にプロテインを飲む注意点
寝る直前にプロテインを飲むと胃が活動して睡眠の質が落ちてしまうので、就寝の30分~1時間程前に飲むのが最適。
就寝前に飲むプロテインとしては、吸収に時間のかかる「カゼインプロテイン」や「ソイプロテイン」がおすすめです。
就寝中、長時間にわたって栄養を体に供給してくれます。【参考】Effects of pre-sleep protein consumption on muscle-related outcomes - A systematic review
3.朝食時に飲んで栄養枯渇状態から効果を最大化!
身体は就寝中に回復するため、多くのエネルギーを使うので起きた時はエネルギーが枯渇している状態です。
睡眠中は成長ホルモンが分泌され、タンパク質を利用して体の修復を行っているため、朝には体内からタンパク質がきれいになくなってしまっています。
また、バージニア・コモンウェルス大学の研究によると、起床後は筋肥大を助けるインスリンの感受性がよい状態であることがわかりました。
【参考】Morning Insulin Requirements: Critique of Dawn and Meal Phenomena | Diabetes
つまり、インスリンが上手く働いてくれるので、効率よくタンパク質を筋肉に届けられます。
林慧亮
プロテインの効果を上げる飲み方
プロテインの飲み方を間違えてしまうと太る原因になってしまいますが、ポイントを理解しておけば効率よく身体を引き締めることができますよ!
★効果的なプロテインの飲み方
1.糖質と一緒にプロテインを飲む
プロテインを飲むときはバナナや米などの炭水化物を一緒に摂るようにしましょう。炭水化物は糖質と食物繊維に分けられ、体内における糖質は
- 筋肉にアミノ酸を運ぶサポートをする
- 筋肉の分解を抑える
- 疲労回復を促進する
などの働きをしてくれます。
【参考】The Effect of Ingesting Carbohydrate and Proteins on Athletic Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
筋肉や身体にとって良いことだらけなので、プロテイン単体よりもバナナなどの糖質と一緒に摂りましょう。
2.間食にプロテインを飲む
プロテインを飲むと満腹感を得られるので、ダイエット中の食欲を抑制する効果もあります。
「間食でお菓子を我慢できずに習慣的に食べてしまう...」という方は、そのタイミングでプロテインを飲みましょう。
「もっと食べたい...」という感情のコントロールができるので、太る原因になる間食を劇的に減らせます。
また、飲むタイプだけでなく「プロテインバー」というお菓子感覚で食べられる商品もあるので、そちらもおすすめです。
【参考】プロテインバーのおすすめ商品!
林慧亮
3.補酵素を摂る
プロテインを飲むのと一緒に補酵素も摂るようにしましょう。
体内ではさまざまな酵素が体内の代謝に関わっています。
その酵素作用を補酵素が行っているので、補酵素を欠かさずに摂るとたんぱく質の代謝以外にも
- 新陳代謝
- 脂質やアミノ酸の代謝
- エネルギーの代謝
などをサポートしてくれます。
2018年の研究によると、ビタミンB6はアミノ酸を代謝するときに作用して、たんぱく質の合成を促進する効果があると示しています。
【参考】Vitamin B6 and Its Role in Cell Metabolism and Physiology
ビタミンB6は身近な食材に入っているので、補酵素であるビタミンB6も摂るとたんぱく質の合成に効果的ですよ。
ビタミンB6が入っている食材
- 野菜類
ししとうやブロッコリーなど - 穀物類
玄米やライ麦パンなど - 魚介類
カツオやイワシなど - 種実類
ゴマや落花生など
プロテインの飲み方に関するQ&A

最後に、プロテインの飲み方に関する疑問を、Q&A形式でまとめたので参考にしてください。
Q1 一度に大量に飲むとその分効果は
期待できますか?
林慧亮
飲めば飲むほど効果を発揮するわけではありません。
ある研究によると運動後の12時間で80gのたんぱく質を
- 6時間ごとに40g × 2で摂るグループ
- 3時間ごとに20g × 4で摂るグループ
- 1時間半ごとに10g × 8で摂るグループ
で分けたところ、3時間ごとに20g×4で摂るグループが最も筋肉の合成速度が速いことがわかりました。
つまり、一度に多くプロテインを飲んだとしても効果は期待できず、お金を捨てているだけになってしまうのでおすすめしません。
また、余分な他の栄養素を摂ってしまうことになるので太る原因になったり、胃や腸への負担がかかりお腹を壊してしまうこともあります。
Q2 トレーニング前にもプロテインを
飲むべきですか?
林慧亮
長時間、高負荷の筋トレを行う場合には、トレーニング中にも筋肉の分解が始まってしまうので、タンパク質を事前に補給しておきたいところです。
しかし、ある報告で「タンパク質の摂取タイミングは筋トレの前と後のどちらも同等の筋肥大の効果である」ことが示されました。
【参考】Role of Protein Intake and its Timing on Body Composition and Muscle Function in Healthy Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials | The Journal of Nutrition
つまり、筋トレの30分前~1時間前か、筋トレ後30分以内のどちらかでたんぱく質が摂れていると十分です。
プロテインの飲み過ぎは体の負担になってしまったり、太る原因にもなるのでトレーニング前にはタンパク質の元となるアミノ酸を摂取するのも1つの手段ですよ。
アミノ酸はプロテインよりも吸収スピードが速いので、素早く吸収して筋肉の分解を防いでくれます。
Q3 筋トレをしない日もプロテインを
飲むべきですか?
林慧亮
筋トレしない日も飲むべきです。
筋肉の回復には24時間〜48時間かかります。(筋肉の部位や加えた負荷によって変動します)
傷ついた筋肉が回復することを超回復と言いますが、超回復中は普段よりも多くのタンパク質が必要です。
そして、トレーニングをしない日にもプロテインでタンパク質を補給すると、より早く回復を促せます。
また、1日のタンパク質摂取量は一般的に
【 体重 】×【 タンパク質 1〜2g 】
と言われているのですが、この量を食事で補うのはかなり難しいので、食事のタイミングに補助として飲むことがおすすめです。
Q4 様々なプロテインを使い分けて
飲むべきですか?
林慧亮
無理に使い分けて飲む必要はありませんが、お金に余裕があれば使い分けるのも1つの手です。
プロテインには吸収の遅いプロテインや吸収の速いプロテインがあるため、飲むタイミングによって不向きなプロテインがあります。
しかし、様々なプロテインを購入するとなると大体6000円以上かかってしまいます。
ほとんどの人は運動する前提でプロテインを飲むと思うので「吸収の速いホエイプロテイン」を買えば十分です。
就寝前にプロテインを飲むためにどうしても吸収を遅らせたいときは
- 水ではなく、牛乳で割る
- ホエイプロテインに3~4g程度のオリーブオイルやMCTオイルを混ぜる
のうちのどちらかを試すと、吸収を遅らせることができます。
まとめ
プロテインを効果的に摂る最適な飲むタイミングをまとめると
★プロテインを飲むべきタイミング
- 運動後または運動前
- 就寝前
- 朝食時
もちろんこれらのいくつかのタイミングを組み合わせることがベストな場合が多いでしょう。
運動なしでもプロテインを飲むことは筋トレやダイエットにとって大事です。
プロテインを最適なタイミングで飲んで、理想的な体を作り上げていきましょう!

