動きを加えながら体をのばす「動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)」。
ストレッチと言うと、ゆっくりと筋肉を伸ばして静止する静的ストレッチが一般的なので、動的ストレッチを詳しく知らないという方も多いでしょう。
そこでこの記事では、
- 動的ストレッチと静的ストレッチの違い
- 動的ストレッチを行うメリット
- 動的ストレッチメニュー15選(動画付き)
を解説していきます!
動的ストレッチをスポーツや筋トレ前に取り入れて、より快適に動けるカラダを手に入れましょう!
この記事を書いた人
林慧亮
uFit代表
Youtubeチャンネル「林慧亮」は登録30万越え。自重トレーニングのメニューをはじめ、筋トレやダイエットの知識について執筆。著書に学研から出版した「30日で体を変える 超効率的自重ワークアウトプログラム」がある。
動的ストレッチと静的ストレッチの違いとは?
まずは動的ストレッチと静的ストレッチの違いについて解説します。
静的ストレッチは、ゆっくりと筋肉を伸ばせるところまで伸ばして静止するストレッチ法。
対して動的ストレッチは、カラダをダイナミックに動かしながら、大きな稼働範囲で関節を動かすストレッチ法です。
小学校の体育や水泳の授業で「1,2,3,4」と反動をつけて、屈伸や脇腹を伸ばす準備体操やラジオ体操などが動的ストレッチに分類されます。
それぞれのストレッチの特徴をまとめると次のとおり。
動的ストレッチ | 静的ストレッチ | |
---|---|---|
効果 | ・筋肉の力を引き出す効果 ・ケガの予防効果 ・体の柔軟性を高める効果 |
・リラックス効果 ・疲労回復効果 ・筋肉のこわばりをほぐす効果 |
行う時 | 主に運動前に行う | 主に運動後や寝る前に行う |
動的ストレッチは体を温めて筋肉の力を引き出してくれるため、スポーツ前の「ウォーミングアップ」に適しています。
ジョギング・ランニング・筋トレ・スポーツなどを行う前には動的ストレッチを行うようにしましょう!
ラジオ体操は動的ストレッチって本当?
実は、ラジオ体操は動的ストレッチと有酸素運動を合わせた体操です。 前屈・後屈・側屈・ねじる動作・腕を振るなど様々な動きを左右均等にダイナミックに行う全身運動なので、正しいフォームで行うと短時間で全身をまんべんなく動かすことができますよ。動的ストレッチを行うメリット
動的ストレッチを行う3つのメリットについて解説します。
1.ケガを予防できる
動的ストレッチを行うことで、筋肉を温めて固まった筋肉をほぐすことができるので、ケガ予防につながります。
また、全身を大きく動かすと余計な力みを取り除けるので、力みによるケガを防ぐ効果もあります。
特に冬場の寒い時期は筋肉も固まっているので、動的ストレッチで筋肉を温めてから動き出すのが怪我予防に効果的です。
2.筋肉の力を十分に発揮できる
運動前に動的ストレッチを行うことで、筋肉の力を十分に発揮することができます。
ストレッチと言えば静的ストレッチが主流ですが、実は近年の研究で静的ストレッチがスポーツ中に発揮できる筋力量を低下させてしまうことが報告されているんです*。
一方、動的ストレッチは動きを加えることで、伸張反射を上手に使いながら筋肉を温め、関節可動域を広げて動きをよくします。
スポーツ前はもちろん、筋トレやランニング前にも行うことで、運動効果が上がりますよ
*参考:静的および動的ストレッチング後に生じる 足関節可動域と筋力の経時的変化
*参考:静的及び動的ストレッチングによる筋力発揮への影響について
3.柔軟性が高まる
実は、動的ストレッチを行うことで柔軟性が高まります。
動的ストレッチに柔軟性を高める効果はないと思っている方も多いのですが、関節を大きく動かして筋肉を伸ばす動作を繰り返すと柔軟性がアップします。
スポーツの前に行うときは、軽いジョギングやウォーキングなどでカラダを温め、少しずつ競技動作に似た動作のストレッチへと繋げていくのがおすすめです。
動的ストレッチの注意点
動的ストレッチは体を動かすストレッチなので、いきなり反動を大きくするとケガのリスクが高いです。
いきなり大きく動いたり力いっぱい伸ばしたりせず、動きの小さい動的ストレッチからはじめ、徐々に動きの大きい動的ストレッチを行っていくのがおすすめですよ。
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチメニュー15選
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチのメニューを、動画付きで15種目紹介します。
一緒に行える動画も用意したので、まずは以下の動画で10分間の動的ストレッチを一緒にやってみてください。
1.アップドッグ
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、1番目は「アップドッグ」。
カラダの前面を伸ばすストレッチで、特にお腹を深く伸ばすことができます。
お腹の筋肉(腹直筋)・脚の付け根の筋肉(腸腰筋)は筋トレやランニングでは必ずと言っていいほど使う部位なので、しっかり伸ばしましょう。
アップドッグのやり方
②上体を起こしてお腹を深く伸ばす。
アップドッグのコツ
- 肩に力が入らないようにする
- 腰に違和感がある人は無理のない範囲で行う
- 呼吸を止めないようにする
2.アップドッグ・レッグアップ
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、2番目は「アップドッグ・レッグアップ」。
お腹の横(腹横筋・腹斜筋)・股関節周りのストレッチです。
上体をツイストする動きで、脇腹を引っ張るように伸ばしましょう。
アップドッグ・レッグアップのやり方
①うつ伏せに寝て、片脚を曲げ、股関節を90度にする。②両腕は肩の下について上体を起こす。
③曲げた脚の方に向かって上体をツイストする。
④10秒ぐらい伸ばしたら脚を入れ替えて同様に行う。
アップドッグ・レッグアップのコツ
- 肩に力が入らないようにする
- 伸ばした脚側の腹筋が伸びているかを意識しながら行う
- 腰に違和感がある人は無理のない範囲で行う
- 呼吸を止めないようにする
3.猫のポーズ
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、3番目は「猫のポーズ」。
背骨を反る⇔丸めるを繰り返すことで、肩甲骨・腰回りの筋肉をほぐすことができます。
背骨はカラダの軸となる骨。背骨の老化が進むと体幹の動きが悪くなり、スポーツのパフォーマンスにも悪影響を及ぼしかねません。
猫のポーズでしなやかな背骨を保つようにしましょう。
猫のポーズのやり方
①よつんばいになる。肩の下に手首、股関節の下に膝がくるようにする。②息を吐きながら背骨を丸める。
③息を吸いながら背骨を反らす。
④②~③を呼吸に合わせて繰り返す。
猫のポーズのコツ
- 背骨を反らすときは、胸が開くようにする
- 背骨を丸めるときは、目線はおへそに。肩甲骨を広げるイメージで丸める
- 痛みがある場合は無理のない範囲で行う
4.ショルダーゲイター
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、4番目は「ショルダーゲイター」。
肩甲骨を寄せる(内転)動作と広げる(外転)動作を繰り返すことで、肩甲骨周りの筋肉をほぐすことができるストレッチです。
肩こりの解消・改善も期待できるので、スポーツの前だけでなく、デスクワークの合間に行うこともおすすめします!
ショルダーゲイターのやり方
①正座になり、両腕を後頭部の耳の後ろ辺りに添える。②両肘をカラダの真横になるように開く。
③両肘を顔の前でくっつけるようにして閉じる。
④②~③の動きをリズミカルに行う。呼吸をしながら5~10回繰り返す。
ショルダーゲイターのコツ
- 肘の位置が下がらないようにする
- 大きくゆっくりと動かすようにする
- 立ったままでもできます
- 痛みがある場合は無理のない範囲で行う
5.ショルダープレス
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、5番目は「ショルダープレス」。
肩甲骨周りの筋肉(広背筋・僧帽筋)をほぐすことができます。
背中の血流をよくするので、肩を使うスポーツのウォーミングアップにおすすめの動的ストレッチです。
肩こりの解消・改善、姿勢改善の効果も期待できますよ!
ショルダープレスのやり方
①両手を高く上げる。②息を吐きながら肩甲骨を寄せるようにして両腕を引き下げる。
③①~②の動作をリズミカルに10回ぐらい繰り返す。
ショルダープレスのコツ
- 肩甲骨を寄せることを意識する
- 呼吸を止めないようにする
- 痛みがある場合は無理のない範囲で行う
6.ダイナミックチェストストレッチ
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、6番目は「ダイナミックチェストストレッチ」。
胸の筋肉(大胸筋)・肩の前の筋肉(三角筋前部)の動的ストレッチです。
全力の2~3割のくらいの力でリラックスして、リズミカルに行いましょう!
ダイナミックチェストストレッチのやり方
①両膝立ちになる。②腕の力を抜いて、カラダの後ろで両手を組む。
③ゆっくりと手をほどいて脱力する。
④②~③の動作を5回くらい繰り返す。
ダイナミックチェストストレッチのコツ
- 肩甲骨を寄せ、胸を突き出すようにする
- 腰が反らないようにする
- 呼吸を止めないようにする
- 痛みがある場合は無理のない範囲で行う
7.オルタネイトリバースランジリーチ
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、7番目は「オルタネイトリバースランジリーチ」。
股関節周りの筋肉(腸腰筋・大腿四頭筋)・脇腹の筋肉(腹斜筋・広背筋下部)の動的ストレッチです。
ランジの動作なので、太ももの筋トレにもなり、太ももの引き締め効果も期待できますよ!
オルタネイトリバースランジリーチのやり方
①腰幅に立ち、右脚を大きく一歩前に踏み出す。②両腕を頭の上で組み、踏み出した右脚の方に上体を倒す。
③反対側も同様に行う。
④右脚⇔左脚を交互に行う。
オルタネイトリバースランジリーチのコツ
- 脚を踏み出すときは股関節の硬さに合わせて行う
- 呼吸を止めないようにする
- 痛みがある場合は無理のない範囲で行う
8.リザードウォーク(右)
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、8番目は「リザードウォーク(右)」。
股関節周りの筋肉(腸腰筋・大腿四頭筋・内転筋群)をほぐす動的ストレッチです。
股関節周りが硬いとケガの原因になることも。脚を高く上げるスポーツ(競技ならサッカー・空手・キックボクシングなど)を行う前にすると良いですよ。
リザードウォーク(右)のやり方
①よつんばいになる。②右脚を右手の外側に置き、左膝は床から浮かす。
③カラダを右回り・左回り・前後に揺らして股関節周りをほぐしていく。
リザードウォーク(右)のコツ
- 左膝を浮かして行うのがつらい人は、膝をついてもOK
- 呼吸を止めないようにする
- 痛みがある場合は無理のない範囲で行う
9.リザードウォーク(左)
右と同様です。
10.ニーハグ
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、10番目は「ニーハグ」。立って行うお尻(大殿筋)の動的ストレッチです。
お尻のストレッチは忘れがちですが、スポーツでは必ずお尻の筋肉を使うのでぜひ行いましょう。
片脚立ちになるので、バランストレーニングにもなりますよ!
ニーハグのやり方
①腰幅で立つ。右膝を上げてすねのあたりを両手で抱え、胸に近づける。約5秒間キープ
②左脚も同様に行う。
③左右交互に行う。
ニーハグのコツ
- 腰が反らないようにする
- バランスを崩さないようにする。グラグラする人は壁に近いところで行う
- 呼吸を止めないようにする
- 痛みがある場合は無理のない範囲で行う
11.大腿四頭筋ダイナミックストレッチ
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、11番目は「大腿四頭筋ダイナミックストレッチ」。立って行う太もも前(大腿四頭筋)のストレッチです。
大腿四頭筋はスポーツでは酷使する部位。肉離れなどのケガ予防に効果的ですよ。
大腿四頭筋ダイナミックストレッチのやり方
①腰幅で立つ。右膝を曲げて足首を右手で持つ。右脚かかとをお尻に近づけるようにする。約5秒間キープ
②左脚も同様に行う。
③左右交互に行う。
大腿四頭筋ダイナミックストレッチのコツ
- 腰が反らないようにする
- バランスを崩さないようにする。グラグラする人は壁に近いところで行う
- 呼吸を止めないようにする
- 痛みがある場合は無理のない範囲で行う
12.ランナータッチ(右)
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、12番目は「ランナータッチ(右)」。お腹とお尻の筋肉を使う動的ストレッチです。
「ランナータッチ」という名の通り、ランナーにおすすめのエクササイズですよ。
ランナータッチ(右)のやり方
①腰幅で立つ。走る動作のように右膝を上げる。②左脚を軸に、右脚を後ろにまっすぐ、右手を前にまっすぐ伸ばす。上体・手脚が床と平行になるようにする。
③バランスをとって①に戻る。
④5~10回繰り返す。
ランナータッチ(右)のコツ
- 呼吸を止めないようにする
- 痛みがある場合は無理のない範囲で行う
13.ランナータッチ(左)
右と同様です。
14.フロントキック
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、14番目は「フロントキック」。
動的ストレッチの代表的な動きで、お尻の筋肉(大殿筋)と太もも裏の筋肉(ハムストリング)を伸ばす動的ストレッチです。
脚を高く上げるので、脚の付け根の筋肉(腸腰筋)の筋トレにもなりますよ。バランスをとりながら、リズミカルにつま先と手をタッチさせましょう!
フロントキックのやり方
①腰幅で立つ。②右脚を伸ばしたまま高くキックし、左手でタッチする。
③逆側も同様に行う。
④左右合わせて5セットくらい行う。
フロントキックのコツ
- カラダを温めてから行う。急に行うとケガをするリスクが高くなるので要注意
- カラダの軸がぶれないようにする
- 自分のカラダの柔軟性に合わせて行う
- 呼吸を止めないようにする
- 痛みがある場合は無理のない範囲で行う
15.ヒップクレードル
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチ、15番目は「ヒップクレードル」。
立って行うお尻の横(中殿筋)と太もも外側(大腿筋膜張筋)の動的ストレッチです。
ランニングで酷使する中殿筋と大腿筋膜張筋を伸ばすことで、普段よりラクに走ることができますよ。
ヒップクレードルのやり方
①腰幅で立つ。左脚を軸に、右膝を外側になるようにして曲げ、両手で脚が胸に近づくようにして抱える。②反対側も同様に行う。
③左右合わせて5セットくらい行う。
ヒップクレードルのコツ
- カラダを温めてから行う。急に行うとケガをするリスクが高くなるので要注意
- 自分のカラダの柔軟性に合わせて行う
- 呼吸を止めないようにする
- 痛みがある場合は無理のない範囲で行う
まとめ
筋トレやランニング前に行いたい動的ストレッチメニューを動画と一緒に15種目紹介しました。
動的ストレッチはスポーツ前に行うことでケガを予防したり、運動効果を高めたりすることができます。
普段のトレーニングの準備運動として取り入れてみてくださいね!