プロテインとは?基本的な働きを理解しよう
プロテインの副作用を正しく理解するためには、プロテインが体内でどのような役割を果たしているかを知ることが重要です。働きを理解することで、なぜ副作用が起こるのか、どうすれば安全に活用できるのかが見えてきます。

プロテイン(タンパク質)は、私たちの体を構成する最も重要な栄養素の一つです。
筋肉や骨、皮膚、髪の毛などの組織を作り、修復する材料となるほか、酵素やホルモンとして体内の様々な代謝反応をコントロールしています。
また、免疫機能を支える抗体や、酸素を運ぶヘモグロビンもタンパク質でできており、生命維持に欠かせない役割を担っています。
林慧亮
しかし、「体に良いから」といって過剰に摂取したり、間違った方法で摂取すると、思わぬ副作用を引き起こす可能性があります。まずは、プロテインメーカー各社が副作用についてどのような見解を示しているかを確認してみましょう。
有名メーカーが出すプロテインの副作用に関する見解

まず、さまざまなプロテインメーカーが公式に発表している副作用に関する見解を見てみましょう。
◆江崎グリコ
タンパク質の過剰摂取で健康を損なってしまったという十分な研究結果はありません。ただし、好ましくないさまざまな代謝変化が生じたという報告があるように、極端な過剰摂取は体に影響を及ぼす可能性があります。考えられる体への影響について解説します。
◆GronG
プロテインは「健康な人」を対象に製造されている食品です。牛乳や肉などとは異なり、1食でそれらの何倍ものタンパク質を摂取できますが、それがかえって臓器への負担となることもあります。
【引用】プロテインに副作用はあるのか?
◆VALX(山本義徳)
ただ実際、健康な人がたんぱく質を摂りすぎても、健康問題が起きる可能性は低いです。厚生労働省でも、たんぱく質の耐容上限量は特に定められていません。耐容上限量を決めるための根拠が存在しないためです。
◆MyProtein(マイプロテイン)
腎臓、骨密度、肝臓および心臓血管系の健康への影響に関する主張は、すべて科学的に疑問があるか完全に反証されています。
【引用】ホエイプロテイン | コンセントレート?アイソレート?ホエイの効果、副作用や摂取量は?
上記のように、「過剰摂取」や「持病をもっている人の摂取」はおすすめしていませんが、健康体の人がプロテインを摂取した時の副作用については否定しています。
次の章からはプロテインの副作用について、「よくある疑問」や「誤解」を詳しく解説していくので参考にしてください。
プロテインに副作用・デメリットはあるのか?

プロテインの副作用としてよく言われる7つの項目に関して詳しく解説していきます。
1.肝臓、腎臓などの内臓に負担がかかる?

A:健康な人であれば通常の摂取量では問題ありませんが、過剰摂取や既存の疾患がある場合は注意が必要です。
腎臓への影響については健康な人が適正量を摂取する分には腎機能への悪影響は報告されていません。
ただし、過剰摂取や元々腎機能に問題がある人の場合、腎臓への負担が増加するリスクがあります。
肝臓への影響については健康な人であれば通常の摂取では問題ありませんが、大量かつ長期間の摂取は肝臓への負担となる可能性があります。
【参考研究】Protein intake and kidney function
安全な摂取量の目安
一般的な成人:体重1kgあたり1g
筋トレをしている人:体重1kgあたり最低1.2〜1.6g
※腎臓や肝臓に持病がある方は、医師に相談してから摂取してください
2.身長が伸びなくなる?

A:プロテインを飲むことで身長が止まるということは一切ありません。
そもそも、プロテインは骨の成長に必要な栄養素。身長を伸ばすためには十分な量のタンパク質を摂取することが大切です。
ただし、食事で体重x1gのタンパク質を補うのも難しい場合があるので、プロテインを有効活用した方が身長が伸びる可能性が高くなります。
林慧亮
また、子供向けに売られているジュニアプロテインには、タンパク質だけではなく成長のために必要なビタミンやミネラルなどがバランスよく配合されているので、成長期の子供に飲ませるのはおすすめです。
3.下痢や腹痛の原因になる?

A:プロテインを飲むと下痢になったりお腹がゴロゴロするという人は多いです。
プロテインを飲んで下痢になるのは「乳糖不耐症」が原因の可能性が高いも...。
生まれつきの体質で、牛乳などの乳製品に含まれる糖分(=乳糖)を吸収できない人は一定数います。
そのような乳糖不耐症の方がプロテインを飲むと、下痢になったりお腹がゴロゴロしたりという副作用を感じるのです。
林慧亮
症状は摂取後30分〜2時間以内に現れることが多く、プロテインの種類を変更することで改善するケースが多いです。
4.便秘になる?
A:プロテインを飲むことで便秘になることがあります。
プロテインの主成分であるタンパク質は、アミノ酸に分解された後、主に小腸で吸収されます。
動物性タンパク質を過剰摂取すると、分解/吸収しきれなかったものが腸内にいる悪玉菌のエサとなり悪玉菌が増える原因に...。
悪玉菌の数が増えすぎると腸内環境が乱れ、結果として便秘になるので、プロテインを摂りすぎた際のサインと言えます。
5.体脂肪が増えて太る?

A:プロテイン自体は太る原因になりません。総摂取カロリーが消費カロリーを上回った時に体脂肪が増加します。
プロテインは「高タンパク低カロリー」を代表する補助食品ですが、カロリーが0なわけではなく、1食あたりのカロリーは100kcal前後です。
1日に何度も飲めば、カロリーも摂取することになるのでダイエット中の方は注意が必要です。
林慧亮
逆に、太りたいのであればウエイトゲイナープロテインを積極的に飲むのもいいですよ。
もちろん、普段の食事できちんとした栄養バランスの良い食事をとることは欠かせません。6.抜け毛や薄毛になる?

A:プロテインを飲むことで髪の毛が薄くなるという副作用はありません。
一部の研究では、ホエイプロテインがインスリン様成長因子(IGF-1)を介して、薄毛の進行を早める可能性が示唆されています。
ただし、これは遺伝的にAGA(男性型脱毛症)の素因がある人に限定されるとされ、むしろタンパク質不足の方が毛髪の健康に悪影響を及ぼします。
【参考】Link between protein and hair loss
7.ドーピング検査に引っかかる?

A:粗悪品によっては、陽性反応が出ることが稀にあります。
不純物や有害物質の混入による健康被害をはじめ、アスリートにとってはドーピングも気をつけなければいけない点です。
海外の調査では、最大約28%のサプリメントで非表示の禁止薬物が検出されており、アスリートが知らずに摂取して検査で陽性となった事例も存在します。
アスリートは「アンチドーピング認証」や公的検査済みの製品を選ぶことが重要です。
【参考研究】Doping substances in supplements
プロテインのメリット・効果3つ
副作用について理解したところで、次はプロテインの正しい摂取によって得られるメリットを確認しましょう。適切に摂取することで、プロテインを飲む効果をしっかり得ることができます。
1.筋トレ効果を最大化!筋肉量の維持・増加効果
プロテインの最も代表的な効果が、筋肉量の維持・増加です。
筋肉の主成分はタンパク質のため、十分なプロテイン摂取は筋肉量の増加や筋力の向上に不可欠です。特に筋力トレーニングや運動と組み合わせることで、その効果は大幅に高まります。
また、ダイエット中や加齢による筋肉減少を防ぐ効果もあり、年齢とともに生じる筋肉や体力の低下(サルコペニア)の予防にも役立ちます。
さらに、トレーニングやケガによる損傷した組織の修復や回復を助ける働きもあるため、アスリートだけでなく、日常的に体を動かす全ての人にメリットがあります。
【参考】Protein intake for muscle building
2.痩せやすい体質に変わる!美容・健康への嬉しい効果
プロテインは美容と健康の維持にも大きく貢献します。例えば以下です。
■ダイエット・体重管理サポート
プロテインは満腹感を高めるホルモン(GLP-1、CCK)を増やし、空腹ホルモン(グレリン)を減らす作用があります。これにより食事全体の摂取カロリーを抑え、間食や夜食への欲求も低減します。
■代謝促進・脂肪燃焼効果
プロテインは他の栄養素よりも消化時に多くのエネルギーを消費するため、基礎代謝の向上や脂肪燃焼促進に役立ちます。
■骨の健康維持
適度なタンパク質摂取は骨密度を高め、骨折リスクの低減や骨粗しょう症の予防に役立つことが研究で示されています。
■免疫機能の維持
体内の酵素やホルモンの原料、免疫細胞や抗体の材料として機能し、感染症や体調不良の予防にも寄与します。
林慧亮
その他に血糖値の安定、血圧の低下、コレステロール値の改善など、様々な慢性疾患予防に役立つ可能性も報告されています。
3.たった30秒で必要な栄養をチャージ!手軽な栄養補給のメリット
現代の忙しい生活において、プロテインは効率的な栄養補給手段として非常に有用です。具体的に下記のようなメリットがあります。
■調理不要で手軽
水や牛乳に混ぜるだけで、手軽に良質なタンパク質を摂取可能。忙しい朝食時や運動後の栄養補給に最適でしょう。
■食事で不足しがちなタンパク質を効率的に補完
厚生労働省の推奨量(体重1kgあたり1g)を食事だけで摂取するのは意外と大変。例えば体重60kgの人が必要な60gのタンパク質を肉だけで摂ろうとすると、約300gの肉が必要になってしまいます。
■低脂肪・低糖質での摂取が可能
肉や魚などの食品と比べて、脂質や糖質を抑えながらタンパク質を摂取できるため、体重管理中の方にも適しているでしょう。
林慧亮
食事時間にとらわれず、運動前後や間食として最適なタイミングでタンパク質を補給できるのはかなりメリットです。
まとめ
プロテインの副作用とメリットについて詳しく解説してきました。適切な量と方法で摂取すれば、副作用のリスクは最小限に抑えられ、多くの健康メリットを享受できることがお分かりいただけたでしょうか。
プロテインを安全に活用するための3つのポイント
- 適正量を守る:一般の方は体重1kgあたり1g、運動する方は1.2〜1.6gを目安に
- 信頼できる製品を選ぶ:価格だけでなく、品質や安全性を重視した製品選択
- バランスの良い食生活:プロテインに頼りすぎず、野菜や水分も十分摂取
もし消化器症状(下痢・便秘・腹痛)が気になる場合は、プロテインの種類を変更したり、摂取量を調整することで改善できることが多いです。持病をお持ちの方は、必ず医師に相談してから始めましょう。
プロテインは男性・女性・年齢を問わず、現代人の健康的な生活をサポートする心強い味方となってくれるでしょう。
より効果的にプロテインを活用したい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
🕒 効果を最大化する摂取タイミングが知りたい方
プロテインを飲むベストタイミングは?効果的な摂取方法を徹底解説
🔍 自分に最適なプロテインを選びたい方
プロテインの選び方完全ガイド│目的別おすすめ商品も紹介
正しい知識を身につけて、プロテインを上手に活用し、理想の健康的な体づくりを始めていきましょう!
