筋トレがメンタルに与える5つの影響とは?筋トレに隠された効果を研究論文に基づいて解説!

筋トレでメンタルは強くなる?筋トレに隠された効果を研究論文に基づいて解説!

2023/02/16

筋トレはメンタル(精神面)に良い影響を与えるらしい」と何となく聞いたことがある方は多いでしょう。

しかし、筋トレがどんな効果を与えるのか具体的に説明できる人は少ないですよね。

実は、筋トレとメンタルヘルスの関係については様々な論文が発表されていて、メンタルに良い効果があることが解明されています

そこで今回の記事では、

  • 筋トレでメンタルが強化される理由
  • 筋トレがメンタルに与える好影響
  • なぜメンタルに良い影響があるのか

について、エビデンス(研究論文による科学的データ)を交えながら紹介していきます

この記事を読んで筋トレとメンタルの関係について理解を深めましょう。

この記事を書いた人

林ケイスケ

uFit代表トレーナー

Youtubeチャンネル「林ケイスケ」は登録25万越え。自重トレーニングのメニューをはじめ、筋トレやダイエットの知識について執筆。著書に学研から出版した「30日で体を変える 超効率的自重ワークアウトプログラム」がある。

筋トレでメンタルが強化される3つの理由

筋トレでメンタルが強化される3つの理由

筋トレでメンタルが強化される度合いには個人差がありますが、筋トレをすることによって多少なりともメンタルヘルスに効果があります

筋トレによる具体的なメンタルへの影響をみて行く前に、まずは「筋トレでメンタルが強化される理由」を知っておきましょう。

1.セロトニンの分泌量が増える

睡眠や覚醒などの「体内時計」を司るセロトニン。

セロトニンは

  • 睡眠の質を上げる
  • 不安な気持ちを緩和させてくれる

などメンタルにとってプラスに働いてくれますよ。

そして、筋トレやリズム運動を行うことでセロトニンの分泌量が増えることが分かっています
*参考文献:How to increase serotonin in the human brain without drugs

セロトニンの分泌量増えれば生活リズムが整い、メンタルが強化されるのです

2.テストステロンの分泌量が増える

筋トレを行うと、テストステロン(いわゆる男性ホルモン)の分泌量が増えます

そして、テストステロンが増えると

  • やる気が向上する
  • 集中力がアップする
  • うつ症状の軽減

など、メンタル面において良い影響が数え切れないほどあります

「筋トレをする」→「テストステロンの分泌量が増える」→「メンタルが強化される」という仕組みです。

また、アメリカのケネソー州立大学による研究論文ではトレーニングを受けていない被験者に対して、セット間のインターバルが2分半よりも1分の方がテストステロンが多く分泌されることが分かっています。
*参考文献:The Effect of Resistive Exercise Rest Interval on Hormonal Response, Strength, and Hypertrophy With Training

3.見た目が改善されることで自信になる

運動をすることで放出される「エンドルフィン」と呼ばれる気分を良くする伝達神経物質によって自分の体に自信がついて不安を打ち消されます
*参考文献:Biochemistry, Endorphin

筋トレは正しいやり方をすれば確実に成果が出るので、成果が自信に繋がりますよ

また、徐々に肉体が変化していくことも自信に繋がります。自分の理想とする体型に近づくので、内面から自信が滲み出るのは言わずもがなですね。

自分に自信が持てずに悩んでいる人は、筋トレをきっかけにメンタルを強くしましょう。

筋トレがメンタルに与える4つの良い影響

筋トレがメンタルに与える5つの良い影響

筋トレがメンタルに与える影響には様々なものがあり、例えば、仕事のパフォーマンスや精神病など様々な面で良い影響を与えます。

1.うつ病などの精神疾患に効果がある

1.うつ病などの精神疾患に効果がある

数年前から日本はストレス社会だと言われ始め、うつ病や不安症などメンタルが病んでしまう方が増えています。

2016年に発表された精神疾患の有病率に関する調査研究で、日本人のうつ病の有病率が5.7%(約17人に1人の割合)という結果になるなど、精神疾患はかなり身近な存在になりました。

実は、うつ病を代表とする精神疾患には筋トレが効果的。複数の研究によって筋トレがメンタルに良い影響を与えると明かされています

たとえば、アイオルランドのリムリック大学の研究結果では「筋トレが健康な人も精神疾患にかかっている人も不安症を著しく改善した」と報告されました。
*参考文献:The Effects of Resistance Exercise Training on Anxiety

そして、うつ病は精神に強い不安を抱えることで発生してしまうため、不安を解消できる筋トレはうつ病の予防に効果的だと言えます。

さらに、精神疾患の人でもメンタルに良い影響が見られたという点も注目です。

この論文には、うつ病を治す決定的な証拠は書かれていませんが、うつ病の予防だけでなく症状を緩和する可能性が高いと考えていいでしょう。

また、別の研究では、マウス実験によってうつ病からの回復を促すメカニズムが解明されています。

スウェーデンで細胞運動生理学を研究しているAgudeloらによる論文によると「トレーニングによって発生する骨格筋PGC-1α1という物質がキヌレニンの代謝を調整し、うつ病の回復を助ける」とのこと。
*参考文献:Skeletal Muscle PGC-1α1 Modulates Kynurenine Metabolism and Mediates Resilience to Stress-Induced Depression

ヒトの体でも同じ作用が起きるか明確になっていませんが、2つの研究から見るに、筋トレはうつ病などの精神疾患の予防と改善に役立つと言っても過言ではないでしょう。

筋トレと不安解消の関係については、下記のブログでいくつか文献が紹介されているので読んでみるのがおすすめです。

*参考:リハビリmemo「筋トレが不安を解消するエビデンス

2.認知機能が向上する

2.認知機能が向上する

筋トレは精神疾患への効果だけでなく、認知症の予防効果も注目されています。

カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究で「65〜75歳の女性に対して12ヶ月間、週1~2回のレジスタンストレーニング(筋トレ)を行わせた結果、脳の認知機能が向上した」という結果が出ました。
*参考文献:Resistance training and executive functions

認知症予防にはウォーキングやスポーツなどの有酸素運動が推奨されていますが、筋トレにも高齢者の認知機能向上に効果があることが証明されています

3.睡眠の質が向上する

3.睡眠の質が向上する

筋トレは睡眠の質を向上し、結果としてメンタルに様々な良い影響を及ぼします。

実は、運動と睡眠の関係は昔から議論されているテーマですが、筋トレに関しては2017年にかなり確度の高い論文が発表され注目を浴びています

カナダのマクマスター大学での研究によると「習慣的に筋トレを行っている人とそれ以外の人では、睡眠時間は大きく変わらないが睡眠の質が高まる」と報告されました。
*参考文献:The effect of resistance exercise on sleep: A systematic review of randomized controlled trials.

もう少し説明すると、眠りが浅い時の時間を減らし、眠りが深い時の時間を増やすということです。

もっと簡単に言いかえると「寝つきが良くなりぐっすりと眠れるようになる」ということ。

  • 布団に入っても寝るまで時間がかかる
  • 長時間寝ているのに頭がスッキリしない
このような方は筋トレを習慣にすると、睡眠の質が改善しますよ。

4.仕事のパフォーマンスが高まる

4.仕事のパフォーマンスが高まる

実は最近、ビジネスエリートが続々とトレーニングを始めています。その理由の1つが、筋トレをすることで仕事のパフォーマンスが高まるから。

既に説明した通り、筋トレを習慣化することで睡眠の質が高まります。

そして、睡眠の質が高まると、

  • 集中力の向上
  • 疲労の回復
  • 記憶の定着

など仕事の質や効率を高める影響があります。

さらに、筋トレをすることで見た目の印象も改善。

ビジネスマンにとって第一印象は仕事の出来に直結するので、仕事のパフォーマンスを高めたい人に筋トレはおすすめですよ。

筋トレで効果的にメンタルを鍛えるコツ

筋トレで効果的にメンタルを鍛えるコツ

筋トレがメンタルに様々な良い影響を与えることを理解したところで、最後に筋トレで効果的にメンタルを鍛えるコツを紹介します。

◆筋トレで効果的にメンタルを鍛えるコツ
  1. 継続する
  2. 目標を設定する

1.継続する

1.継続する

1日だけ筋トレをやったからと言って、メンタルは強くなりません。

筋トレは継続することが何よりも重要です。

軽めの筋トレでも良いので2~3日に1回のペースで続けるようにしましょう。
(参考:筋トレが続かないのは自分の意思が弱いからじゃない!筋トレを習慣化する重要なポイント

ちなみに、運動習慣がない方にとって1回30分以上の運動はストレスになるという研究結果があります。

この研究によると、最大でもウォーミングアップを含めて20分以内のトレーニングから始めるのが良いです。

筋トレ初心者の方は短時間でもいいから習慣化することを大事にしてください

2.目標を設定する

2.目標を設定する

筋トレでメンタルを強くするなら、しっかり目標を立てることがおすすめです。

目標を立てるときは、自分が達成しやすいものにしましょう。

例えば、次のようなものなど。

  • とにかく週1回ジムにいく
  • お風呂に入る前に3分だけ筋トレする

達成しやすい目標を積み上げていくことで次第に筋トレを習慣化できますし、達成を積み上げることでメンタルも強くなりますよ

*参考:元プロ卓球選手である水谷隼選手のメンタルトレーニングとは
*参考:総合格闘家として活躍している太田忍選手のメンタルの作り方とは

まとめ

筋トレとメンタルの関係は、日進月歩で研究が進行中です。

筋トレがメンタルに与える影響は「根性を強くする」といった単純なものではなく、精神病や認知症の予防など、メンタルヘルスに効果的だと分かってきています。

筋トレは、シンプルに筋肉を鍛えたいという人だけでなく、「健康を維持したい」「仕事のパフォーマンスを高めたい」という方にもおすすめですよ。

興味を持った方は、明日から簡単な種目で良いので筋トレを始めてみましょう!

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