水谷隼選手はこれまでプロとして、日本の卓球界をけん引してきたトッププレイヤーです。
卓球界では「宝」と称され、天才的な柔らかなボールタッチと高い卓球IQで世界トップレベル選手たちとの対戦で日本中を沸かしてきました。
2021年の東京五輪では金メダルを獲得し、五輪卓球史上初の3種目でのトリプルメダリストととなりました。
今回は「水谷選手のコンディショニングとメンタルトレーニングとは?」というテーマでお話を伺っていきます。
水谷選手の緊張との向き合い方や実戦での心理戦について深掘りしていきます!
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お話しをしてくれる人
水谷隼選手
元プロ卓球選手
静岡県出身。1989年6月9日生まれ33歳。木下グループ所属。元日本代表。2021年には東京五輪混合ダブルスで金メダルを獲得。
インタビュアー
林ケイスケ
uFit代表トレーナー
Youtubeチャンネル登録22万越え。自重トレーニングのメニューをはじめ、筋トレやダイエットの知識について執筆。フィットネスを通じて健康に目を向けてもらえるようトレーニング動画や記事を発信しています。
水谷隼が実践してきたコンディショニングの方法とは?
林:今回は水谷さんのコンディショニングやメンタルトレーニングについてお伺いしていきます。さっそくですが、実際に水谷さんが実践してきたコンディショニングやメンタルトレーニングがあれば教えて頂きたいです。
水谷:アスリートのコンディショニングはやはり食事がすごく大事かなと思いますね。やっぱり試合の前日や当日の食事とかはすごく気を使っていました。
林:専門家を付けたりされていたんですか?それとも自分で全部管理されていたんですか?
水谷:全部自分ですね。全部独学で勉強して「これが良いんじゃないかな」とか。あとは経験ですね。
林:こういう栄養を取ったらパフォーマンスが良くなった悪くなったみたいなのを積み重ねてですか?
水谷:そうなんですよね。本には載っているんですけど、でも卓球選手向けの本じゃないんですよね。結局アスリート向けの本なので、それが卓球選手に合うかっていうのは分からない。その辺は臨機応変に自分の経験も含めて、「前日これを摂取した時ってすごく翌日良かったな」というのがあるので、そういう経験をもとに積み重ねてきました。
林:ある程度参考になるデータとかを基に試行錯誤して自分に合ったものを導き出したということでしょうか?
水谷:人それぞれ体型も違いますし、例えば競技によっても、めちゃくちゃ身体を使う競技だったり、逆に頭を使う競技だったり、汗をかくか否かとか、室内なのか室外なのか、いろいろな違いがあるので、やっぱり自分に合ったコンディションの整え方というのが大事じゃないかなと思います。
水谷隼がたどり着いたメンタルトレーニングとは?
林:次にメンタル面について、卓球ってものすごくメンタルが影響するスポーツだと思っているんですけど、どんなことを意識してトレーニングをされてきたのですか?
水谷:もともと僕は結構メンタルが強いという風に言われていたんですよね。自分自身でも他の選手よりは少なからず強靭なメンタルを持っていると思っていたんですけど、ロンドン五輪の時にすごく緊張して凄いプレッシャーで、夜とか寝られないんですよ。
試合のこと考えると全然寝られなくて、結局本番でも同じように緊張して、プレーも消極的になって結果を残すことが出来なくて。そこからリオ五輪までの4年間で本を読んだりとかメンタルトレーナーの講義を受けたりしてすごく成長したなと思います。
林:意識的に取り入れられたものとかってありますか?
水谷:何か取り入れたというのは特にないと思いますね。一番大事なのは気持ちのコントロール、自分でメンタルをコントロールできるのかという点だと思っていて、やっぱり試合前にどうしても緊張する人ってめちゃくちゃ多いと思うんですけど、そういうときには深呼吸したりとか、あとは試合のことあまり考えないとか、ちょっとした工夫で全然違うと思います。
林:その工夫自体も試行錯誤されたんですか?
水谷:試合前に例えばめちゃくちゃ緊張して「絶対に勝つぞ」という気持ちで試合に入るとか、逆に「今日もう負けてもいいかな」みたいな気持ちで試合に入ったりとか、いろいろな精神状態の中で試合を迎えるというのは経験を積んでいるんですけど、最終的に自分が落ち着いた試合への入り方って、「今日はもう負けてもいいや」ぐらいの軽い感じで入った時の方が結果というのはついてきますね。
水谷:結局今言った「絶対に勝ってやるぞ」ってガチガチに気合入れて試合に行くのも、「今日負けてもいいや」という風に軽い感じで試合に行くのも、結局試合に入ると同じように集中するんですよ、絶対に勝とうと思うから。それだったら試合前は気楽にやっていた方が良いなって。
やっぱり試合前から緊張して入ると疲れちゃうし、本当に硬くなるんですよ筋肉が。それだったら本当に楽に行って、疲れていない状態で試合に入って、試合に入っちゃえばパッて集中するんで。それが一番良い緊張感じゃないかなって思います。
小中学生向けのメンタルトレーニングとは?
林:ちょっとだけお話を変えさせていただいて、小中学生ぐらい子供たちが普段取り組むべきコンディショニングだったりメンタルトレーニングをご教授ください!
水谷:そうですね、「どうやったら緊張しないですか?」って子供からめちゃくちゃ質問されますね。一番多い質問かもしれないです。僕は毎回それに対して「緊張は絶対にします。トップ選手でも誰だって緊張はしてます」と返しています。
緊張している中でいかに自分らしいパフォーマンスを発揮できるかというのを意識していて、緊張を取り除く方法ってたぶんないと思うんですよ。でも軽減する方法はあって、それは深呼吸だったりとか、試合前にあまり試合のことを考えなかったりとか、あくまでやっぱり緊張とは向き合っていかないといけないのかなと思います。
卓球の試合裏での高レベルな心理戦とは?
林:今は試合前や前日のお話を伺ってきたんですけど、試合中に一度崩れてしまった状態を立て直す方法や水谷さんが意識されていたことはありますか?
水谷:流れって目には見えないんですけど絶対にあると思うんですよ。そういう時は靴紐を結び直したりとか、卓球だったらタイムアウトっていう一分間の休憩時間を取ったりとか、とにかく同じような流れでプレーしないことですね。いったん
林:
水谷:そのゲームをある意味捨てて、次のゲームに備えるというはよくあります。例えば「このゲーム無理だな、このセット無理だな」って思った時はあえて今まで使ったことのないサービスを出したりとかして、相手の反応伺ったりとか、積極的にプレーして相手を驚かしたりとか、何かちょっと一工夫して相手の心に印象に残るようなプレーをしたりはしますね。
無理だなと思ったら次を見据えてそういう風に揺さぶって、動揺させて次のゲームにスタートダッシュかけたりとかはあります。
“良い流れ”を継続させる方法とは?
林:なるほど、ここまでネガティブな状態からいかにポジティブな状態にするかというお話だったんですけど、逆に自分に流れが来ていて調子が良い時に意識されていることがあれば伺いたいです。
水谷:相手に考える間を与えないことですね。その流れをずっと継続していきたいので、時間を与えてしまうと相手もなんとかこの場を変えようという風にやってくるので、やっぱり変える間を与えない。普段以上に早いペースで試合を進めていくというのは意識しています。
林:サーブの
水谷:ありますね。もう本当に一人ひとりによって、その選手の性格に合わせてやり方って変わってくるので、その日その試合によって戦い方とかペースとかっていうのは全然違います。
林:例えば焦らされるのが嫌な選手だったらあえて焦らしたりするんですか?
水谷:ありますね。選手によってはめちゃくちゃ早いリズムで出してくるんですよ。そういう選手の時には必ずゆっくりやりますね。たとえ自分のペースが来ていて連続で何本点数取ろうがゆっくりいきますね。
相手のペースを乱すというのが一番大事かもしれないですね。自分がこうしたいとか、自分がこれが好きというよりも、相手がこれ嫌だからそれをやり続けようという方を強く意識しているかもしれないです。逆に林さんは緊張をどういう風にほぐしていますか?
林:それこそ今も結構緊張しているんですけど(笑)
水谷:あ、そうなんですか(笑)
まとめ
今回は水谷隼選手に「水谷隼さんは人生最大の挫折をどう乗り越えたのか!?」というテーマで緊張との向き合い方や実戦での心理戦についてお話を聞いてきました。
実戦での
次回の対談では「水谷隼さんがuFit製品を体験!」というテーマでお話を聞いていきます。
◆日本卓球界の至宝!水谷隼選手と対談!
【第1回】「水谷隼さんにとってのライバルとは?」(Youtubeリンク)
【第2回】「水谷隼さんは人生最大の挫折をどう乗り越えたのか!?」(Youtubeリンク)
【第4回】「水谷隼さんがuFit製品を体験!」(Youtubeリンク)
【第5回】「水谷隼さんの継続の秘訣とは?」(Youtubeリンク)
【第6回】「水谷隼さんの書籍「打ち返す力」はこうやって出版された」(Youtubeリンク)
◆日本バスケ界の貴公子!五十嵐圭選手と対談!
【第2回】「五十嵐圭選手の武器やライバルについて」
【第3回】「五十嵐圭選手の継続の秘訣とは!?」
【第4回】「五十嵐圭選手の挫折の乗り越え方」(Youtubeリンク)