身体の前側でバーベルを担ぐ「フロントスクワット」。
バックスクワットと比べて大腿四頭筋(太ももの前)への負荷が大きくなるだけでなく、膝への負担が少なく体幹部の高負荷トレーニングにもなる優れたスクワット種目です。
この記事では、
- フロントスクワットとバックスクワットの違い
- フロントスクワットで鍛えられる筋肉
- フロントスクワットの正しいやり方
- 下半身と体幹部を効率的に鍛えるためのポイント
を解説していきます。
フロントスクワットで強い足腰を作って、身体のパフォーマンスを上げていきましょう!
この記事を書いた人
林ケイスケ
uFit代表トレーナー
Youtubeチャンネル登録24万越え。自重トレーニングのメニューをはじめ、筋トレやダイエットの知識について執筆。フィットネスを通じて健康に目を向けてもらえるようトレーニング動画や記事を発信しています。
フロントスクワットとバックスクワットの違い
まず「フロントスクワットとバックスクワットは何が違うのか」と言うことについて詳しく解説していきます。
どちらにもメリットがあるので、目的に応じてトレーニングを選ぶようにしましょう。
1.メインで鍛える筋肉
スクワットはバーベルを担ぐ位置によってフォームが若干変わるので、メインで鍛えられる筋肉の部位が変わります。
フロントスクワットとバックスクワットで鍛えるメインの筋肉は、
- フロントスクワット:大腿四頭筋・腹部・体幹部
- バックスクワット:臀筋・ハムストリングス
です。
フロントスクワットは体の前側を、バックスクワットは体の後ろ側をメインに鍛えるトレーニングだと覚えておきましょう。
2.扱える重量
基本的にバックスクワットの方が高重量を扱えます。
フロントスクワットはバランスをとることが難しいため、持ち上げられる重量は少なくなりバックスクワットの70%前後の負荷になります。
総負荷だけを見ればバックスクワットの方が高くなりますが、フロントスクワットは前側に効率よく負荷をかけられるので、2つのスクワットを使い分けるようにしましょう。
3.腰への負荷
フロントスクワットはバックスクワットよりも腰や背中への負担が少なく腰痛などを引き起こしにくいです。
バーベルを前側に担ぐので姿勢が前傾しにくく、腰や背中への負担を軽減することができます。
腰痛になりやすい方はフロントスクワットの方がリスクが少ないのでおすすめです。
フロントスクワットで鍛えられる4つの筋肉
フロントスクワットの具体的なやり方を見ていく前に、まずは鍛えられる筋肉について解説します。
効果的に効かせるためにも、鍛える筋肉について知っておきましょう。
1.大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
大腿四頭筋(ももの前側にある4つの筋肉の総称)は、フロントスクワットでメインに鍛える筋肉です。
バックスクワットと異なり、バーベルを前で担ぐことで重心が前側になるので、大腿四頭筋にかかる負荷が高まります。
また、大腿四頭筋は主に走る動作で使われる筋肉なので、脚力が向上して足を速くすることができます。
大腿四頭筋を集中的に鍛えたい方は「大腿四頭筋を鍛えるトレーニングメニュー8選」をご覧ください。
2.大臀筋(だいでんきん)
大臀筋(お尻の筋肉)は、フロントスクワットに限らずスクワット種目で必ず鍛えられる筋肉です。
大臀筋は股関節の伸展・外旋する動きで使われ、スポーツなどの強い負荷が加わる時によく使われます。
特に、跳躍系の動作では必要不可欠の筋肉なのでしっかりと鍛えましょう。
大臀筋を集中的に鍛えたい方は「大臀筋を鍛える最強の筋トレ22選」をご覧ください。
3.ハムストリング
ハムストリング(ももの裏側にある筋肉)は、フロントスクワットのメインターゲットではありませんが付随して鍛えられる筋肉です。
一般的に「ハム」と呼ばれることが多く、ダッシュやジャンプの動作で頻繁に使われます。
疲れが溜まりやすい筋肉なので、トレーニングが終わった後はしっかりとストレッチをしましょう。
ストレッチ方法については「ハムストリングを柔らかくするストレッチ8選」をご覧ください。
4.体幹部の筋肉
「スクワット=下半身の筋トレ」と思われがちですが、実は体幹部の筋肉も効率よく鍛えることができます。
フロントスクワットでは上半身を真っ直ぐ保つために体幹に負荷がかかります。
プランクなどに代表される体幹トレーニングよりも負荷が強いので、高負荷で体幹を鍛えたいという方にもおすすめですよ。
フロントスクワットの正しいやり方
ここからはフロントスクワットの基本的なやり方について動画付きで紹介します。
正しいフォームを身に付けて、効率的に筋肉を鍛えましょう。
以下の動画と箇条書きでフォームを確かめてください。
フロントスクワットのやり方
バーの高さを設定する
鎖骨付近にバーが置けるようにラックを設置する。
バーを持ち上げる
鎖骨と肩の間にバーベルを乗せ、足を肩幅に開いて構える。膝とつま先の方向を揃えて、膝が内側に入らないように気をつける。
太ももと地面が平行になるところまで下げる
上半身が前に倒れないように体幹部に力を入れて膝が前に出ないように曲げていく。フルスクワットが難しい場合は、曲げるのは膝が90度程度までにする。上半身は丸まらずに体幹に力を入れながら行う。
立ち上がる
お尻の筋肉を使ってゆっくり立ち上がる。
同じ動作を繰り返す
フロントスクワットの適切な重量設定・セット数の組み方
重量設定は10〜12回をギリギリできる重さに設定することがポイント。10〜12回で慣れてきたら重量を上げていきましょう。
また、フロントスクワットは週に1〜2回、取り組みましょう。
おすすめメニュー内容
- 回数:10〜12回
- セット数:3セット
- 休憩時間:2分
フロントスクワットの効果を高める4つのコツ
フロントスクワットを正しく行うためには、重要なポイントが4つあります。
まずは以下で紹介するポイントを軽い重量で確かめながら行いましょう。
コツを掴んだ後に、高負荷なトレーニングに移るのがベストです。
1.バーベルの握り方を工夫する
バーベルの握り方には
- 手首を返した通常の握り方
- 身体の前で両腕をクロスする方法
の2つの方法があります。
それぞれの特徴を紹介するので、ご自身に適したやり方を見つけてください。
1.1.通常の握り方(手首を返す)
通常のグリップの握り方は、肩の少し外側でバーベルを握り、肘を上に上げてバーベルを持つ方法です。
この握り方が1番安定している持ち方。パワークリーンのキャッチの動作にも繋げることができるのでおすすめです。
ただし、この持ち方だと手首が返るので、手首や肩の関節が硬い人は窮屈に感じてフロントスクワットがやりにくくなってしまうデメリットがあります。
1.2.カリフォルニアフロントスクワット(両腕をクロスする)
両腕をクロスする持ち方は、鎖骨と肩の上にバーベルを乗せて、バーベルの上で腕をクロスする持ち方です。
この持ち方であれば、手首や肩の柔軟性が低い人でもやりやすいのがメリットです。
ただし、カリフォルニアフロントスクワットの時は、通常の持ち方よりもしっかりと体幹部に力を入れて行いましょう。
通常の持ち方は肘が高くなり上半身が起こしやすい状態になっていますが、カリフォルニアフロントスクワットだと猫背になりやすく、しっかり体幹部に力を入れていないとバーベルの重さに耐えきれなくなってしまいます。
逆に考えると、体幹部の高負荷トレーニングにもなるということ。体幹部を鍛える高負荷トレーニングがやりたい方は、両腕をクロスさせたカリフォルニアフロントスクワットがおすすめです。
2.顎上げない
フロントスクワットの注意点として特に注意してほしいのが「顎を上げない」ことです。
顎を上げてしまうと腰が反ってしまい、負荷が腰に集中するので危険です。
胴体の部分は真っ直ぐに保てるように、しっかりと顎を引きましょう。身体を真っ直ぐに保つことを意識するとうまく動作ができます。
3.重心は常に足の真ん中に置く
これは通常のバックスクワットでも同じことですが、常に足の真ん中に重心がくるように動作を行いましょう。
- かかとに重心が乗りすぎてしまう人
- つま先に重心が乗りすぎてしまう人
- 母指球を意識しすぎて内側に重心が乗りすぎてしまう人
など、重心がズレてしまうと大腿四頭筋を鍛えにくくなります。
身体の重心を足の真ん中にするためには、お尻を後ろに突き出すイメージで股関節を曲げましょう。
バーベルが地面に対して垂直に動いているかをチェックしてみてください。
4.呼吸を止めずに体幹部に力を入れて動作を行う(腹圧を意識!)
フロントスクワットの効果を最大限に引き出すためには、体幹部に力を入れて行うことが大切です。
また、呼吸を止めてしまう方もいますが、呼吸は「下ろすときに吸って、上げるときに吐く」のがおすすめです。
腹圧の入れ方がまだ掴めていない人は、トレーニングベルトを装着することでお腹周りを安定させることができますよ!
バーベル以外を使ったフロントスクワットのやり方
最後に、ケトルベルとスミスマシンを使ったフロントスクワットを詳しく解説していきます。
バーベルが空いていないときの代替筋トレメニューとして活用してください。
ケトルベルを使ったフロントスクワット
重りに取っ手がついたダンベルのケトルベルを使って行うフロントスクワット。
以下の動画とやり方を元に、ケトルベルを使ったフロントスクワットのフォームを確かめてください。
ちなみに、全身を動かすパワークリーンやスナッチ系の全身運動のトレーニングに向いています。
ケトルベルを使ったフロントスクワットの正しいやり方
- 両手でケトルベルを持ち、顎の前で持つ
- しっかりと上半身を起こし、真っ直ぐな状態を作る
- ケトルベルが地面に対して、垂直に動作するように股関節を曲げる
- 下まで腰を落としたら、元の状態に戻る
- 10回を1セットとして、3セット行う
ケトルベルを使ったフロントスクワットの注意点
- ケトルベルを身体から離さないようにする
- 腰を反らないようにする
- 負荷が足りなかったら、回数を増やす
スミスマシンを使ったフロントスクワット
バーベルの両側がレールに沿って軌道が固定されたスミスマシンを使うフロントスクワット。
バーベルの軌道が固定されているので、初心者の方でも安全に筋トレを行うことができます。
また、フォームが崩れてしまいがちな最後の追い込みでも、フォームを崩さずに筋肉に効かせることができるのがスミスマシンのメリットですよ。
スミスマシンを使ったフロントスクワットの正しいやり方
- スミスマシンにプレートをつけて重量を調整する
- 足を肩幅に開き、バーベルの真下に足が来るようにする
- 鎖骨と肩の上でバーベルを固定し、股関節を曲げて、腰を落とす
- お尻の力を使って、真上に上げる
- 10回を1セットとし、3セット行う
スミスマシンを使ったフロントスクワットの注意点
- 重心の真ん中にバーベルが通るようにする
- 体幹部にしっかりと力を入れて行う
まとめ:フロントスクワットで、下半身と体幹部を強化しよう!
フロントスクワットの正しいやり方をはじめ、鍛えられる筋肉や他の2つのフロントスクワットのやり方を紹介しました。
通常のフロントスクワットが難しい方は、スミスマシンを使って行うとコツを掴みやすいです。
フロントスクワットではしっかりと体幹部に力を入れて、上半身を起こして行いましょう。
正しいフォームを身に付けて、効率的に下半身と体幹部を強化しましょう!
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