太田忍選手はレスリング選手として、高校時代に山口国体少年男子グレコローマン55㎏級で優勝。
日体大に進学後は国際大会や天皇杯で優勝、リオオリンピックでは59kg級銀メダルを獲得。その俊敏な身のこなしから海外では「忍者レスラー」と呼ばれています。
現在ではMMAデビューを経て、総合格闘家として活躍しています。
今回はそんな太田忍選手に「レスリングを始めたきっかけ」というテーマで、これまでの競技人生や強さの秘訣を、uFit代表である林ケイスケがインタビュー形式で深掘りしていきます。
他メディアでは決して話さない、藤田慶和選手の意外なエピソードも盛りだくさんでお届けします!
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お話しをしてくれる人
太田忍選手
総合格闘家
青森県出身。1993年12月28日生まれ28歳。パラエストラ柏所属。リオオリンピックではレスリング59キロ級銀メダリスト。総合格闘家としてRIZIN出場。
インタビュアー
林ケイスケ
uFit代表トレーナー
Youtubeチャンネル登録22万越え。自重トレーニングのメニューをはじめ、筋トレやダイエットの知識について執筆。フィットネスを通じて健康に目を向けてもらえるようトレーニング動画や記事を発信しています。
太田忍がレスリングを始めたきっかけとは?
林:レスリングを始められたきっかけは何ですか?
太田:始めたきっかけ、なんて言うんだろうな、父親に騙されて始めたんです。「遊びに行くぞ!」って連れていかれたのがちびっこレスリング教室で、「やってみろ!」って言われて、本当に嫌だったんですけど。
林:それはちなみに何歳くらいのときですか?
太田:小学校1年生のときですね、初めて連れていかれたのは。幼稚園の時に父親に「やってみろ楽しいから」って騙されて始めたんですけど、一番最初にレスリングやったときに全国2位の子をタックルで倒しちゃったんですよ。タックルっていうか頭突きで倒しちゃったんですけど、そしたらやってみろって言われちゃって、そこから始めちゃいましたね。
レスリングを続けたいと思ったきっかけは?
林:本格的にレスリングを続けたいなと思ったきっかけはありますか?
太田:ないですね。始めてから小学校の6年間は一度もレスリングが楽しいとか続けたいなと思った瞬間がないです。学校から帰ってから一日5~6時間の練習を毎日泣きながらやっていたので、楽しいと思う瞬間はなくて。全国大会四連覇くらいしましたけど、勝って当たり前。優勝しても試合内容が悪いと怒られるので何も楽しいと思わなかったです。
小学生のときはずっとチャンピオンだったんですけど、中学一年生のときに、準決勝くらいで中学校の全国大会で負けてしまって、そこから「自分で考えてレスリングやらないと勝てないんだな」って思ったところから自主的に練習するようになりました。
林:やらされている状態からやる状態に変わった。
太田:そうですね、そこがターニングポイントではあるかなと。
林:小学校の四連覇っていうのは学年で別れてるんですか?
太田:1,2年、3,4年、5,6年です
林:例えば5年生の時は6年生がいるクラスで勝ってるってことですか?
太田:そうですね、でも中学になると1年生から3年生なんですよ。6月くらいに大会があるので、この前まで小学生だった選手ともう半年で高校行きますよって選手が試合をするので当然負けちゃうんですよね。
林:中学校の3年間のガタイの差ってかなり出ますよね。
太田:まあ階級があるので。階級は一緒なんですけど、体のつくりとか内容とか全然そこの3年間ってすごく大きくて、それで1年生のとき負けちゃったって感じですね。体重が足りなかったんですよ。一番下の階級が38kg級だったんですけど、34kgくらいしかなくて、負けて悔しくてめちゃくちゃご飯食べて1年間で10kgくらい増やして、42kgくらいから3,4kg減量して2年生のとき優勝してって感じでした。
「鉄人太田忍」の最強メンタルの作り方
林:年上の選手に負けてもやっぱり悔しいと感じていたんですね?
太田:負けて仕方ないって思ったことはないです。「同じ人間に負けるのが悔しい。同じ階級、同じ体格で、同じ体重で、ちゃんと軽量をクリアしてる中で、なんで負けなきゃいけないの?」って思ってました。自分が弱いから負けるんだとしか思わなかったですね。
林:すごいですね。
太田:これはずっとですね。レスリング20年間やって今は格闘技2年目ですけど、22年間格闘技やってきてる中で自分と同じ階級の選手に負けるのは自分が弱いからだとしか思わなかったです。
林:減量もある中でコンディショニングをどう整えてきたのか、お伺いできればなと思います。
太田:高校生くらいまでは実際何しても身体疲れなかったですね。前の日しんどいと思ってヘロヘロになるくらい練習しても、次の日の朝から全力で練習できました。20歳すぎたくらい、21~22歳くらいからなんかおかしいなと思い始めて、疲労が溜まってくるし抜けにくいし。それはたぶん年を重ねるごとにちょっとずつ疲労の回復具合っていうのが遅くなりました。
ナショナルチームに入ると専属でトレーナーや管理栄養士の方がいて、メインはトレーナーに身体解してもらったりとか、管理栄養士の方に栄養面というのを整えてもらったりっていうのをするんですけど、それって合宿とかサポート受けてる時しかアドバイスもらえななくて、それより一人の時間とか自分だけでコントロールしなくちゃいけない時間っていうのが圧倒的に多いので勉強しました。
栄養面であったり、あとはコンディショニングであったり、体のセルフケアであったりっていうのを勉強して、トップでやってるといろんな情報が入ってくるんですけど、教えてもらったやつを参考に自分に合ったものを取り入れて、合ってないものは排除してって感じですね。
林:試行錯誤のたまもので自分に合ったやつを見つけていったってことですね。
太田:意外と僕は結構色々なものを取り入れて、色々ものが合うタイプだったので、全部プラスになりましたね。
太田忍の体のメンテナンス方法は?
林:ちなみに、これは本当にやって良かったみたいな、体のメンテナンスはありますか?
太田:ルーティーンっていうか、一日の自分のコンディションというのを知るために練習前にやることっていうのをある程度決めたんですよ。これをやってこれをやって、言ったらストレッチであったりアップであったり、その中で自分のその日の調子を見るメニューを何個か設定して、その動きによって自分の身体を把握したり、自分のその日のコンディションを把握しています。コンディションが悪い日もあるし、良い日もあるんですけど、それを一つのバロメーターとして測るっていうのはこの10年くらいずっとやってることです。
林:そのバロメーターに合わせて連絡メニューも微調整したりとか?
太田:いじれる部分とといじれない部分があります。チーム所属でやってるときは一緒のメニューをやりながら少しずつ変える、すごく難しい部分もあるんですけど、自分の中で制限を付けたり逆に負荷をかけたり、というような練習の仕方をしてましたね。
太田忍がおすすめする練習方法は?
林:ずっと試合に勝ってこられたと思うんですけど––––
太田:一応世代のトップではありましたけど、負けることもありましたよ(笑)
林:各年代におすすめの練習方法や逆にやらない方が良いことがあれば教えてください。
太田:僕はまずどこに最終目標を置くのか、オリンピックで金メダルを取りたいのか、高校のチャンピオンになりたいのかで全然やることが違ってくると思っています。
本当に長い目で見て「オリンピックで金メダル取りたいよ、世界チャンピオンになりたいよ」だと、言い方悪いですけど、小・中・高で強い必要がない、勝つ必要がないと思っています。小学校の時は結果とか欲しいかもしれないですけど、基礎がしっかりしていないと次のステップに絶対いけないので、基本の運動、レスリングだったらマット運動やタックルでしっかりと基礎を作った上で技術を付けなきゃいけません。小学校のうちに勝ちたいって言われたら、小学校のうちでしか勝てない技術しか付かないんですよ。
林:太田選手も長い目で見て練習されていたんですか?
太田:僕の場合は小学校で負けようが中学校で負けようが、悔しいですけど、そこに関しては別に何とも思ってなくて、最終的に世界チャンピオンになってオリンピックで金メダル取れれば良いと思ってました。長い目で見たトレーニングをしていたので、あまり高校の時、大学の時、という風に区切ったことがなくてよく分からないですけど、目標をひとつずつクリアしていくようなトレーニングをしたら良いんじゃないですかね。
自分の目標をクリアしていく。それがそのカテゴリーのチャンピオンとか具体的な結果に繋がるか分からないですけど、いろんな情報を仕入れてやってみる。だからやっちゃいけないことってあんまりないと思います。レスリングの場合は、僕は中学校のとき減量してたんですけど、大学までは減量はいらないなって今は思っています。ちゃんと身体を作った上で、そこから知識もちゃんと入れた上でそういうことをした方が良いと思いますね。
林:とにかく目標を決めてそこにあった土台作りをしていって、目先の勝利とかよりは目標にあったところのステップアップをしてくのが大事ってことですね。
太田:そうですね。まあ、高校とかってチャンピオンにならないと大学推薦もらえないとかあるのですごく難しいんですけど。
林:中学で良い成績残さないと良い高校いけないとか。
太田:まあそういうのもあるんですけど、ある程度残しとけば良いんじゃないですか(笑)大学から一気に伸びる選手もいるし、これはちょっと難しい問題ですね。
まとめ
今回は太田忍選手に「太田忍選手がレスリングを始めたきっかけ」というテーマで競技人生の始まりや、強さの秘訣についてお話を聞いてきました。
太田選手の負けず嫌いな性格や長期的な目線が現在の結果に繋がっているようです。
次回の対談では「太田忍選手にとってライバルとは?」というテーマでお話を聞いていきます。
◆リオオリンピック銀メダリスト!太田忍選手と対談!
【第2回】「太田忍選手にとってライバルとは?」(Youtubeリンク)
【第3回】「太田忍選手の挫折から立ち直れた理由」(Youtubeリンク)
【第4回】「太田忍選手のオリンピックでの賞金は!?」(Youtubeリンク)
【第5回】「太田忍選手の今後の展望とは?」(Youtubeリンク)