肩のインナーマッスルを鍛えるべき理由
肩のインナーマッスルは、
- 姿勢や関節の位置を正常に保つ役割
- アウターマッスルのパフォーマンスを高める役割
を果たす重要な筋肉です。
ここでは、肩のインナーマッスルを意識的に鍛えるべき理由について詳しく解説します。
①肩の怪我や痛みを防ぐ
肩は関節窩(かんせつか)というソケットの中に骨頭というボールのような骨がはめ込まれている構造をしているため、身体の中でも不安定な関節です。(詳しい内容は次の項で解説します。)
その周りを覆うようにしてインナーマッスルが存在していて、肩を適切な場所に安定させているのです。
肩のインナーマッスルを鍛えることで肩回りが安定するため、怪我や痛みを防ぐことが可能になります。
また、脱臼したことがある人や生まれつき関節が弱い人は、特に肩関節が不安定で肩の痛みが出やすい状態なので、意識的に肩のインナーマッスルを鍛えるようにしましょう。
②筋トレでは鍛えにくい場所
多くのインナーマッスルは筋トレをすることで勝手に鍛えられるため、インナーマッスルを意識的に鍛えなくても最低限のレベルには鍛え上げられます。
しかし、「肩周り」と「腹筋下腹部(腹横筋)」の2か所のインナーマッスルだけは、普通の筋トレだけでは鍛えずらい部分です。
特に「肩周り」は細かい小さな筋肉で構成されているため、インナーマッスルを集中的に鍛えるトレーニングを行う必要があるのです。
肩のインナーマッスルの構造
インナーマッスルは細かい筋肉なので、筋肉の構造を理解していないと、トレーニングで効果的に負荷を加えることができません。
ここでは肩を支えている4つのインナーマッスルを紹介します。
トレーニングを始める前に、しっかりと肩のインナーマッスルの構造を理解しておきましょう。
棘上筋(きょくじょうきん)
棘上筋は、体側から腕を横に上げる動作の時に使われるインナーマッスルです。
その中でも、最初に腕を上げた約30度までの角度の時に使われます。
この筋肉は、主にボールを投げる時のブレーキ動作で使われることが多いです。
棘下筋(きょくかきん)
棘下筋は、腕を背中側に動かす動作の時に使われるインナーマッスルです。
ボールを投げる時の腕にブレーキをかける瞬間や、テニスのバックハンドの動作でよく使われます。
肩甲下筋(けんこうかきん)
肩甲下筋は肩の裏側にあり、肩関節を内旋させる動作の時に使われるインナーマッスルです。
内旋は身体の内側に腕を動かす時の動作で、ボールを投げる時やスイングをする時によく使われます。
小円筋(しょうえんきん)
小円筋は、肩関節を外旋させる動きの時に使われるインナーマッスルです。
外旋は身体の外側に腕を動かす時の動作で、棘下筋と同じように、ボールを投げる時の腕にブレーキをかける瞬間や、テニスのバックハンドの動作でよく使われます。
肩のインナーマッスルの鍛え方(トレーニングメニュー)
ここからは、肩のインナーマッスルの鍛え方について紹介していきます。
トレーニングチューブを使ったメニューになるので、トレーニングをお持ちでない方は以下より選んでください。1,000円程度で購入可能ですよ。
1.棘上筋のトレーニング
棘上筋トレーニングのやり方
- 立った状態で足を使ってチューブを固定する
- 握ったチューブを外側の斜め上にゆっくりとあげる
- 30回で1セットとして、3セット行う
棘上筋トレーニングの注意点
- ゆっくりと動かす
- あまり上にあげすぎない
- 棘上筋を意識する
2.棘下筋のトレーニング
棘下筋トレーニングのやり方
- 肘を90度に曲げて、片側を引っかける
- チューブを外側に外旋させる
- この動作をゆっくり20回行う
- 20回を1セットとして3セット行う
棘下筋トレーニングの注意点
- 肘の位置は動かさない
- ゆっくりと動かす
- 棘下筋を意識する
- 脇はひらかない
3.肩甲下筋のトレーニング
肩甲下筋トレーニングのやり方
- 肘を90度に曲げて、片側を壁や棒に引っかける
- チューブは地面と平行になるように設定して、内側に内旋させる
- この動作をゆっくり20回行う
- 20回を1セットとして3セット行う
肩甲下筋トレーニングの注意点
- 肘の位置は動かさない
- ゆっくりと動かす
- 肩甲下筋を意識する
4.小円筋トレーニングのやり方
小円筋トレーニングのやり方
- 肘をテーブルの上について、片方の手でチューブテーブルにを固定する
- 肘が地面と90度になるところでちょうどいい負荷がかかるように、調整する
- この動作をゆっくり20回行う
- 20回を1セットとして3セット行う
小円筋トレーニングの注意点
- 負荷は強すぎないように
- ゆっくり動かす
- 小円筋を意識する
他のインナーマッスルの鍛え方
他の筋肉のインナーマッスルを鍛える方法もあるので、ぜひ試してみてください。
インナーマッスルを鍛えていけば、アウターマッスルのパフォーマンスを上げることができます。続ければ、筋トレの質も格段にアップしますよ。
肩のインナーマッスルのストレッチ方法
肩のインナーマッスルを鍛える前に、きちんとストレッチをしておきましょう。
肩の痛みの原因は、インナーマッスルの柔軟性がないからなのかもしれません。柔軟性を向上させた後に、トレーニングを行ってください。
肩の痛みがある人は、痛みが収まるまではしっかりとストレッチをしましょう。
インナーマッスルのストレッチ①
やり方
- 片方の手を背中側に回す
- 後ろに回した手の方の肘を、逆の手でつかんで引き寄せる
- 曲がるところまで引き寄せてキープする
- 呼吸を意識しながら、30秒キープする
- 手を入れ替えて、逆も行う
インナーマッスルのストレッチ②
やり方
- 仰向けに寝転がって、片方の手の甲を上にして、背中と地面の間に入れる
- 手を入れた方に寝返りをうつ
- そのまま30秒キープする
- 手を入れ替えて、逆も行う
インナーマッスルを鍛えるときに注意すること
肩のインナーマッスルに限らず、すべての部位のインナーマッスルを鍛える時に気をつけてほしいことがあります。
インナーマッスルは、細かな筋肉なので負荷の設定を間違えてしまうと、筋肉を傷めてしまいます。
ケガをしないためにも、しっかりとここで確認しておきましょう。
インナーマッスルトレーニングの負荷のかけ方
インナーマッスルのトレーニングを行う時は、軽い負荷で行うようにしましょう。
先ほども説明しましたが、インナーマッスルは小さな細かい筋肉なので、強い負荷を加えると痛めてしまいます。
じりじりと熱くなるような感覚があれば、正しく鍛えられています。
インナーマッスルトレーニングの回数とコツ
インナーマッスルトレーニングを行う時の回数設定は20~30回が目安です。
低負荷でやっている分、普段の筋トレよりも回数が多い設定になっています。
回数は多いですが、ゆっくりと動かすことがインナーマッスルを効果的に鍛えるコツで、20回できない場合には負荷を軽くしてみてください。
アウターマッスルも同時に鍛える
さらに身体のパフォーマンスを上げたい方には、インナーマッスルとアウターマッスルを同時に鍛えることをおすすめします。
インナーマッスルのトレーニングだけをやるのではなく、両方の筋肉をバランスよく鍛えることで筋肉のパフォーマンスを向上させることができます。
まとめ
肩のインナーマッスルについて詳しく説明してきました。
インナーマッスルは表に見えない筋肉ですが、身体を動かすメカニズムの中で重要な役割を持っています。
インナーマッスルトレーニングはリハビリのイメージを持たれがちですが、痛みが出てからでは遅いです。
肩のケガをしないためにも、普段からインナーマッスルのトレーニングは欠かせません。
インナーマッスルを鍛えてケガを防ぎ、さらに身体のパフォーマンスを上げていきましょう!