

社会人とアスリートの両立

インラインスケートには42キロを走るレースもあり、30~40人で同時に滑ることもあります。屋外で行われるため風の影響も大きく、体力の消耗も激しく、転倒も日常茶飯事です。
そこで普段は自転車やランニング、ウエイトを組み合わせて鍛えています。短距離はウエートを重視し、長距離はインターバルやサーキット。結局は「スケートに乗れば乗るほど強くなる」と言われるので、毎日の滑走が基本です。海外では午前・午後に2時間ずつ、計4時間練習できますが、日本は社会人選手が多く、私は1日2時間ほど。プロ化が進む海外との差はやはり大きいと感じます。

女子で社会人として競技を続けているのは私が初めてで、私が続けてきたことで後輩たちも挑戦を続けてくれるようになったのはとても嬉しいことです。仕事は座りっぱなしで体が固まってしまうため、オフィスではマッサージボールを使ったり、足元にゴムバンドを巻いたりしています。家では椅子を置かず、代わりにバランスボールを使って体をほぐすようにしています。
怪我とケアの重要性

大学の頃はケアをあまり大事にしていませんでした。体が強くて大きな怪我もなく、「やらなくても平気」と思っていたからです。ところが社会人になってから膝の前十字靭帯を部分断裂する怪我をしました。プチっと切れる一瞬のものではなく、負担が積み重なって少しずつ切れていったものでした。疲労や体の硬さ、肉離れの繰り返しが重なっての怪我で、本当に大きな転機になりました。

それ以来、練習前後のケアを欠かさないようになりました。足裏のマッサージボールやフォームローラーで体を整え、ストレッチと合わせてしっかり行います。uFitのマッサージャーも家族で愛用していて、妹も使っています。韓国遠征では他競技の選手から「なにそれ!貸して貸して!」と言われるほどで(笑)、海外でも好評でした。
試合前は今でも大きなプレッシャーを感じます。学生の時よりも強く、胃がキリキリするほどです。だからこそ、日々のケアで「ここまでやった」という自信を積み重ねることが欠かせません。ケアをするのとしないのとでは、翌日の体の軽さもパフォーマンスも全然違います。個人競技なので、比べるのは自分自身だけ。周りではなく、自分がやってきたかどうか。それが私の基準です。
高萩嬉ら選手にとって休息とは

休息とは、私にとって『もうひとつの練習』です。競技人生を長く続けるために欠かせないものです。調子が良いときも悪いときも、毎日少しでも続けることで怪我を防ぎ、翌日のパフォーマンスも変わります。怪我を経験したことでその大切さに気がつきました。
選手愛用アイテム

撮影の合間の一コマ

