

休むために、整える。――「オフの入り方」がすべてを決める

学生時代は、正直ケアという概念自体が今ほどありませんでしたし、チームに帯同するトレーナーもいませんでした。調子が悪ければ、ヘッドコーチと仲のいい治療院や整骨院に「行ってきなさい」と言われるくらいで、基本は各自でストレッチをする程度。当時は本当に「動いて、食べて、寝ろ」という、すごくシンプルな世界でした。
プロに入って、アルバルク東京(当時・トヨタ自動車アルバルク)に入団してから、少しずつ意識が変わっていきました。先輩たちの中には、電気治療器やチョッパー(携帯型リカバリー機器)を使ってセルフケアをしている人もいて、「自分の身体は自分でケアする」という感覚が、そこで芽生えた気がします。

年齢を重ねるにつれて、ケアやリカバリーの重要性はどんどん強くなりました。特に20代後半くらいから、「あれ、なんか今までと違うな」と感じることが増えて、そこから意識的にケアをするようになりました。
最初に大きく実感したのはアイシングですね。練習後に膝や足首を冷やすだけで、回復の質が全然違う。
特に意識していたのは、オフの入り方です。疲れた状態でオフに入ると、結局ダラダラしてしまって、身体も心も回復しない。だからこそ、オフ前の練習後にしっかりケアをして、フレッシュな状態でオフに入る。
「オフをちゃんと休むために、練習後にケアをする」——そんな感覚でしたね。
毎日のケアがパフォーマンスを支える

ルーティンとしては、マッサージガンを使いだしてからは本当に欠かせませんでした。自分は足首を何度も手術していて、可動域も少しずつ失われていった。その影響で、負担がすね、ふくらはぎ、ハムストリング、臀部、腰へと連鎖していく感覚があったんです。
だから、足裏 → すねの骨際 → もも裏 → お尻 → 背中、という順番で毎回ほぐしてから、トレーナーに電気や超音波を当ててもらい、身体を温めて練習に入る。これは毎日のルーティンでした。

引退後は、正直、身体の変化を如実に感じました。動かないし、疲れない。だからトレーニングもしなくなる。すると筋肉が落ちて、歩くのもスムーズじゃなくなる。「あ、これはダメだな」と思って、今はできる範囲でトレーニングを続けています。食事も、家では玄米とタンパク質中心。外食が多い分、家にいる時くらいは気をつけるようにしていますね。
健康法というほど大げさなものではないですが、昔から散歩が好きなんです。アウェイ遠征の時も、朝に散歩やランニングをして、その土地の空気を感じる。松江に行った時は、松江城まで走ったこともありました。リフレッシュとコンディション維持を兼ねてですね。北海道の冬は外を走れないので、家のトレッドミルで軽く走っています。
桜井GMにとって休息とは

自分にとって休息は、「ただ休む」ことではなく、次の日をちゃんと動ける状態で迎えるための準備だと思っています。
疲れたままオフに入ると、結局ダラダラして終わってしまう。だからこそ、練習後にしっかりケアをして、フレッシュな状態でオフに入るようにしています。
そうするとオフの時間も充実しますし、次の練習にも自然といい状態で入れる。「休むためにケアする」という順番が、自分の中では一番しっくりきています。
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撮影の合間の一コマ

オフの日の過ごし方は、ちょっと珍しいかもしれないんですが、木彫りの熊が好きで。北海道に来てからハマりました。休日は作家さんの工房に行ったり、同じように好きな人たちと集まって話したりしています。
作家さんごとに作風が全然違っていて、職人さんの“味”が出るところが面白いんですよね。亡くなられている方も多くて、彫り師が少なくなっているのは寂しいですが、だからこそ伝承されていってほしいなと思っています。
この前は二風谷の集落に朝から行って、作家さんと「どっち彫ってるんですか」「どういう気持ちで彫ってるんですか」ってずっと話していました。旭川系と八雲系で彫り方や木の取り方も違って、そういう細かい違いを見るのも好きですね。
きっかけは、家の近所の古着屋で出会った佐藤さんの熊を1体買ったこと。そこから一気に広がりました。北海道土産のイメージが強い木彫りの熊ですが、僕にとっては北海道に来た意味を感じさせてくれる存在になっています。
