

基本を崩さない

昨年はオリンピックという、身体的にも精神的にも大きな負荷がかかる年でした。大会を前にした1年間は、普段以上に緻密な練習を重ねる必要がありました。
夏の本番に向けて、1〜2か月ごとにメニューを切り替え、基礎体力を高め、年明け以降はスピードや爆発力につなげていきました。
冬にどれだけ体をつくれるかで春から夏の仕上がりが決まる。だからこそ、この時期はまさに「勝負の時間」でした。

開催が近づくと、今度は身体以上にメンタルの負荷が大きくなり、心をどう整えるかが重要でした。
この期間、特に意識していたのは「とにかく基本を崩さないこと」。毎日8時間以上の睡眠を確保し、寝る時間を逆算してお風呂に入り、ケアをしてから就寝する流れを大切にしていました。お風呂上がりにはリリーサーで体をほぐしたり、ストレッチや肺活でリセット。その後はだいたい1時間以内に布団に入るようにして、生活リズムを崩さないようにしていました。
そして心構えとしては、あとは「もうやるしかない」というシンプルな気持ちでした。どれだけ不安や緊張があっても、ここまで積み上げてきた練習を信じて臨むしかない。ネガティブに考えるより、腹をくくって挑むことがメンタルケアになっていたと思います。
リフレッシュの工夫

僕にとって休養の基本は睡眠と毎日のケアです。睡眠時間はしっかり取るようにしています。夏はエアコンを26〜27度でつけっぱなしにして、長袖長ズボンで布団をかけると深く眠れることに気づいてから、そのスタイルを続けています。
オフの日はあえて体を動かさず、家でダラダラ過ごすこともあります。
お風呂上がりのストレッチでは足裏とふくらはぎは必ずケアします。足裏は特に大事で、クリームを塗って手のひらでさすったり、uFitのマッサージガンを使ったりしています。ケアは「やった日」と「やらなかった日」で翌日のパフォーマンスが全然違います。だから忙しくても欠かしません。

こうした「お風呂上がりのストレッチ」や「朝起きて水を飲む」といった習慣は、中学3年生の時に当時の顧問の先生から教わってから始まり、今も続いています。競技の基礎を支える生活習慣として、自分の中にしっかり根づいているんです。
また、リフレッシュという観点では「情報から離れる時間」を意識しています。SNSやニュースを追い続けると競技のことを考えてしまうので、携帯を家に置いてキャンプに行ったり、デジタルデトックスをすることもあります。
川端魁人選手にとって「休息」とは

休息とは、自分が新しい目標に向かって頑張るためのエネルギーをためる時間。心の充電期間だと思っています。
心が満たされていれば、どんなにつらくても前に進めます。逆に心が満たされていなければ、どんなに技術や体力があっても限界がくる。だから僕にとって休息はすごく大切で、競技を続けるための根幹であり、次の挑戦に向かうために欠かせない時間なんです。
選手愛用アイテム

OFF SHOT MOVIE
撮影の合間の一コマ
"カメラ好きの先輩と自然の中での写真を撮りに行ったときの写真です。このときに一眼レフの撮り方を教えてもらったんです"