筋トレをするなら正しい呼吸方法ができているかはとても大事な点です。
呼吸一つで筋トレの効果は変わるだけでなく、安全性にも大きく関わります。
この記事では、
- 筋トレ中に正しい呼吸をするメリット
- 具体的な筋トレ中の呼吸法
- トレーニング種目ごとの呼吸法
などを紹介し、安全かつ効率的にトレーニングするための呼吸法について解説します!
ベンチプレスやデッドリフトの呼吸がわからない人は参考にしてくださいね。
この記事を書いた人
林慧亮
uFit代表
Youtubeチャンネル「林慧亮」は登録33万越え。自重トレーニングのメニューをはじめ、筋トレやダイエットの知識について執筆。著書に学研から出版した「30日で体を変える 超効率的自重ワークアウトプログラム」がある。
筋トレ中に正しく呼吸するメリット
筋トレをするときは「呼吸」にも意識を向けましょう。
普段意識していない呼吸でも、筋トレ中にしっかり意識することで以下のような違いがでてきます。
筋トレ中に正しく呼吸するメリット
1.力を最大限に発揮できる
呼吸は酸素を取り入れて二酸化炭素を排出する行為であり、そのサイクルを正常にすることで身体のフルパワーを発揮できます。
息を吐くことでお腹の筋肉が締まり、体幹に力が入るので、全身に力が伝わりやすくなるんです。
また、筋肉が縮む時に息を吸って酸素を取り入れることで、筋肉に栄養分を送り込めるため、効果的に力を入れることが可能になります。
2.フォームを崩さずにトレーニングできる
筋トレ時に呼吸をしっかり意識すると、自然と動作はゆっくりになっていきます。
ゆっくりとした動作かつ全身に力が伝わりやすくなっているため、正しい呼吸を心がけることで回数を重ねても正確なフォームで安全なトレーニングができるのです。
3.カロリーの消費量が増える
筋トレの消費カロリーの計算方法!呼吸をコントロールして身体のフルパワーを発揮できれば、筋トレ自体の消費カロリーも増えます。
脂肪を燃やすのには酸素が必要であるため、しっかり酸素を取り込むことでダイエットにも有効なんですね。
4.血圧の急上昇を防げる
筋トレ中に呼吸をしないと血中酸素濃度が減り、心臓が無理をして大量の血液を送り出すため血圧が急上昇してしまいます。
特に中高年以降の方の場合、筋トレによって血圧が急上昇することで危険を招く場合があります。
血圧の急上昇を防ぎ、安全に筋トレするためにもしっかり呼吸をして酸素を取り込むことを意識しましょう。
筋トレ中の正しい呼吸のやり方
では、具体的に筋トレ中の呼吸の仕方について解説していきます。
筋トレ中には、以下のポイントを意識して呼吸をコントロールしましょう。
1.基本は筋肉が縮む時に息を吐き、伸びる時に息を吸う
筋トレ中の基本的な呼吸は「収縮する時に息を吐く、伸展する時に息を吸う」ことです。
呼吸は自律神経に支配されており、息を吐くときに交感神経、吸うときは副交感神経が優位となります。筋肉の収縮は交感神経を活発にするので、そのタイミングを合わせた方が良いのです。
例えば、
- ベンチプレス:バーベルを持ち上げる時に息を吐き、ゆっくり下ろす時に息を吸う
- 懸垂:逆に身体を持ち上げる時に息を吸い、ゆっくり下ろす時に息を吸う
2.基本は胸式呼吸
呼吸には胸式呼吸と腹式呼吸がありますが、筋トレの基本は胸式呼吸。
腹式呼吸はヨガの呼吸であり、副交感神経を活発にするため筋トレには適しません。
ただし高重量のデッドリフトやスクワットの場合は、腹圧を高めて腰を守るためにお腹に息を吸い込む呼吸法が有効です。(これも厳密には腹式呼吸ではありません)
3.鼻から吸って口から吐く
筋トレ中の呼吸は、鼻から吸って口からは吐くようにしましょう。
鼻から吸うことで大量に酸素を取り込むことができます。
また、医学的に鼻は呼吸器ですが、口は消化器であり呼吸のための器官ではありません。
鼻呼吸にすることで吸い込んだ空気が適度に加湿されてウイルスや雑菌を吸い込みにくくなり、肺への負担が少なくなります。
運動中は息を吐く量も増えるため、吐くときは口から一気に吐いたほうが楽ですね。
代表的なトレーニングと呼吸のやり方
代表的なトレーニング種目ごとに呼吸のポイントを解説していきます。
呼吸法の基本を抑えつつ、種目ごとの応用を見ていきましょう!
1.ベンチプレス
- 吸う時:バーベルを胸に下ろすとき
- 吐く時:バーベルを持ち上げるとき
ベンチプレスは大胸筋のトレーニングであるため、肩甲骨を寄せて胸を張り、胸筋をしっかりストレッチするのが重要です。
このためバーベルを胸に下ろす際に思いっきり息を吸い、胸郭を広げることで胸を張りやすくなります。
上げるときは息を吐き出しながら腹筋を収縮させ、足を踏ん張ると力を出しやすくなります。
【参考】現役トレーナーがベンチプレスの正しいフォームを解説!
2.デッドリフト
- 吸う時:持ち上げて直立したとき
- 吐く時:ゆっくり下ろし持ち上げるとき
デッドリフトは数少ない「呼吸を止めて行う」トレーニングです。
動作的に腰椎にかかる負担が非常に大きいため、思い切り息をお腹に吸い込んで腹圧を高め、その状態でバーベルを上げ下げしましょう。
体重の1.5倍以上の高重量に挑戦する場合は、トレーニングベルトを使ってさらに腹圧を高めるのがおすすめです。
【参考】デッドリフトの正しいやり方
3.スクワット
- 吸う時:しゃがむとき
- 吐く時:立ち上がるとき
スクワットの場合はしゃがむ際に息を吸い、立ち上がる際にゆっくりと息を吐いていきます。
息を吸って胸郭を広げることで胸を張り、腰が丸まらないように気をつけましょう。
ただし高重量のバーベルスクワットの場合は、デッドリフトと同じように呼吸を止めて腹圧を使って腰を守ります。
【参考】現役トレーナーがスクワットの正しいやり方を動画つきで解説!
4.プッシュアップ
- 吸う時:体を下ろすとき
- 吐く時:持ち上げるとき
自重トレーニングのプッシュアップも体を下ろすときに吸い、上げる時に息を吐きます。
胸筋を鍛えるベンチプレスと同じタイミングですね。
息を吸って胸郭を広げ、大胸筋をしっかりストレッチしましょう!
5.クランチ
- 吸う時:身体を伸ばすとき
- 吐く時:身体を起こすとき
腹筋トレーニングのクランチは呼吸の使い方が特に重要になります。
身体を起こす時に口をすぼめてフッと一気に吐き出すことで、腹筋の収縮が強まります。
目線をおへそに向け、息を吐きながら身体を起こすことで腹筋の強い収縮感が得られるはずです。
息を吐くときは腹筋を使ってお腹の中の空気を絞り出すようイメージしてください。
6.懸垂
- 吸う時:身体を持ち上げるとき
- 吐く時:ゆっくり下ろすとき
懸垂のように「引く」トレーニングのときは、筋肉が収縮する時に息を吸ったほうが良い場合もあります。
その理由は息を吸うと胸郭が広がるので、肩甲骨を寄せて広背筋を収縮させやすくなるから。
胸郭を広げてしっかり広背筋を収縮しきることで、より効果的な懸垂ができますよ。
筋トレ中に呼吸を止めるのは基本NG
高重量のデッドリフトやスクワットでは呼吸を止めることもありますが、筋トレ初心者、特に年齢を重ねるほど呼吸を止めないように意識しましょう。
呼吸を止めた状態で筋肉を収縮させると血圧が非常に高まり、心臓や脳に大きな負担となります。
頭痛・めまい・立ちくらみなどを感じるようになったら、すぐに休憩してゆっくり呼吸しながらの筋トレに切り替えてください。
まとめ
筋トレ中の呼吸法について、まとめて解説してきました。
呼吸を変えるだけでも筋トレの効率は大きく変わるので、知っているか知らないかで数カ月後に大きな差になりますよ。
筋トレ中は呼吸もしっかり意識し、正しいやり方で身体を成長させましょう!