そもそもバランス感覚とは
バランス感覚とは「平衡感覚」とも呼ばれ、
- ピンとまっすぐ立つ
- カラダを元の位置に戻す
- 転ばないようにバランスを保つ
などの反射的なコントロール能力のことです。
二足歩行する人間は、足底に「メカノレセプター」という感覚器官がいくつもあり、身体の姿勢を常にモニターしています。
「足底のメカノレセプター・目から入ってくる視覚情報・耳の奥にある三半規管」の3点から情報を統合して脳が現在の姿勢を判断し、バランスを取るのに必要な筋肉を動かしているのです。
バランス感覚が良い人とは
- 脳による情報統合の処理スピードが早い人
- 脳からの司令を実行する筋肉の力が強い人
バランス感覚が悪い人とは
- 情報処理スピードが遅い人
- 必要な筋力が不足しているため脳からの司令も実行できない人
バランス感覚が悪いと日常生活で転倒しやすくなったり、スポーツ競技でも安定したパフォーマンスができません。
しかしバランス感覚を司る処理スピードや筋力は、比較的短期間で向上させることができます。
結果的に定期的にバランス感覚トレーニングをしてブレない身体を作り上げることができますよ!
バランス感覚を鍛えるのに必要な筋肉
バランス感覚を鍛えるのに必要な筋肉について紹介します。
脳が身体の各器官からの情報を統合処理しても、結局バランスを保つために身体を動かすのは筋肉です。
バランスを司る筋肉を鍛えることで、日常生活にも役立つなバランス感覚を鍛えることができます。
体幹
体幹とは、全身から頭部と両手・両足(四肢)を除いた胴体のことを指します。
体幹部の筋肉は四肢と胴体の根本なので、四肢を使って身体を安定させる人間にとって、体幹は非常に重要な筋肉。
また肋骨の骨盤の間の「腹部」には、脊柱以外の骨がないため、筋肉の力で脊柱を保持するしかありません。
この腹部の筋肉である腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋などはバランスを保つために特に重要なため、集中的に鍛える必要があります。
【参考】インナーマッスルを鍛える「体幹トレーニング」15選!
下半身の筋肉
二足歩行する人間にとっては、バランスを保つ上で下半身の筋肉は絶対的に重要です。
下半身の代表的な筋肉は、
- 大腿四頭筋(太もも)
- 内転筋(内もも)
- 中殿筋(お尻の外側)
- 腓腹筋(ふくらはぎ)
- 前脛骨筋(すね)
などがあります。
人間は直立姿勢で上半身を動かすとき、無意識に下半身の筋肉も収縮することがわかっており、人間のすべての動作は下半身の安定があって行われています。
コンタクトスポーツ(特にサッカーやラグビーなど)では、激しいぶつかり合いのなかでボディバランスを維持するため、下半身の筋力がパフォーマンスを左右します。
【参考】下半身を鍛える最強の筋トレ27選!自重&ジムで太ももを鍛えよう
器具なしでバランス感覚を鍛えるトレーニングメニュー10選
まずは特別な器具を一切使わず、自重のみでバランス感覚を鍛えるトレーニングを紹介します。
日常生活での生活を向上したい方からスポーツをやってる方まで、広くおすすめできるメニューを選びました。
まずは自重トレーニングから挑戦していきましょう。
1. 片足立ち
片足立ちは、バランス感覚のテストにも使われるほど一般的なトレーニングです。
片足で立つことで重心が不安定になり、安定させるためにお尻の外側にある中殿筋や、内ももにある内転筋が使われます。
他にも体幹部のインナーマッスルなどが連動して多くの筋肉を使い、バランスを司る三半規管のトレーニングとしても知られています。
バランス感覚を鍛えたいすべての方におすすめのトレーニング方法です。
片足立ちの正しいやり方
- 直立して前を見る
- 片足の膝を曲げて片足立ちになる
- そのまま限界までキープする
片足立ちを効かせるコツ
- なるべく裸足で行う
- 目線は真っ直ぐ前を見る
2. つま先あげ
つま先上げは、直立して交互につま先を上げてくトレーニングです。
すねの筋肉である前脛骨筋を鍛え、二足歩行の安定性を高める効果があります。
非常に地味なトレーニングではありますが、直立姿勢のバランス感覚を鍛えるのには効果的で、特に初心者の方におすすめです。
つま先上げの正しいやり方
- 直立して背筋を伸ばす
- 片側の足のかかとを支点に、つま先を持ち上げる
- 左右交互に繰り返す
つま先上げの効かせ方
- 反動をつけずにゆっくり行う
- 視線はまっすぐ前を見る
3. かかと上げ
かかと上げは「カーフレイズ」とも呼ばれるふくらはぎのトレーニングです。
ふくらはぎの筋肉である腓腹筋は非常に強い筋肉であり、二足歩行する人間にとってはバランス感覚を司る重要な筋肉でもあります。
定期的にかかと上げで腓腹筋を鍛えることで、日常の転倒防止はもちろん、あらゆるスポーツパフォーマンスの向上にも繋がります!
かかと上げの正しいやり方
- 直立して頭の後ろに手を組む
- 両足のかかとを上げてつま先立ちになる
- かかとが地面につくギリギリまで下げる
かかと上げの効かせ方
- 重心は親指側に乗せる
- 目線はまっすぐ前を見る
4. プランク
プランクは、お腹周りの細かい筋肉を全てまとめて鍛えられるトレーニングです。
腹筋を鍛えるのにもっともおすすめのメニューで、バランス感覚を向上するのに必要な部位を鍛えることができます。
まずは1分、女性でもまずは30秒を目標にすれば難易度は高くありません!
プランクのやり方
- 肘とつま先で身体を支えて一直線になる
- お尻が浮いたり沈んだりしないように耐える
- 初心者は30秒、慣れてきたら1分を目標にする
プランクのコツ
- 視線はおへそに向ける
- 腰を反らさずまっすぐに保つ
5. エアプレーン
エアプレーンはバランス感覚を鍛えるエクササイズの一つです
エアプレーンは日本語訳すると「飛行機」という意味で、両手を大きく開いて身体を倒し、子どもの飛行機ごっこのような姿勢となります。
片足で身体を支えるためにバランス感覚が鍛えられ、足を手を大きく開くことで脊柱起立筋や僧帽筋のトレーニングとしてもおすすめです。
エアプレーンの正しいやり方
- 直立して両手を大きく開く
- 片足を後ろに伸ばすと同時に上半身を前に倒す
- 片足立ちのまま後ろの足と上半身が一直線になるようキープする
- 左右交互に繰り返す
エアプレーンの効かせ方
- 視線は前を見る
- 支点の足は膝を軽く曲げる
- 身体が一直線になるよう意識する
6. ツリーポーズ
ツリーポーズは片足立ちの応用で、ヨガでは「木のポーズ」と呼ばれます。
片足立ちからつま先だちとなり、さらに浮かせた方の足を曲げて膝につける高度なバランス感覚が必要です。
片足立ちが余裕になってきた方はぜひ挑戦し、さらなるバランス感覚を身につけましょう!
ツリーポーズの正しいやり方
- 直立して両手を頭上に伸ばす
- 片足立ちになってかかとを浮かせる
- 浮かせた方の足を曲げて足底を膝につける
- 左右交互に繰り返す
ツリーポーズの効かせ方
- 大きく深呼吸して余計な力を抜く
- 体幹が左右に傾かないように注意する
7. スケーターランジ
スケーターランジはサイドランジの一種で、スピードスケートの選手のような動きをします。
高強度インターバルトレーニングでも使われるほどハードなトレーニングで、反復横跳びのように横方向に素早く動く際のバランス感覚を高めてくれます。
中殿筋・内転筋・大臀筋などを強く鍛えたい方やアスリートにおすすめです。
スケーターランジの正しいやり方
- 両足を開き中腰の姿勢になる
- 左足で踏み切って右側に飛び、左手で右のつま先をタッチする
- 左右交互に素早く繰り返す
スケーターランジの効かせ方
- テンポよく行う
- 腹筋に力を入れて腰を守る
- 目線は前を向く
8. スケーターホップ
スケーターホップは、スケーターランジと同じくスピードスケートの動きを取り入れたトレーニングです。
ランジとの違いは上半身の角度で、深く頭を降ろさないため腰への負荷が小さくなります。
スケーターランジでは強度が高すぎたり、腰を痛めやすい方はまずスケーターホップがおすすめです。
スケーターホップの正しいやり方
- 両足を開き中腰の姿勢になる
- 左足で踏み切って右側に飛び、左手で右の膝をタッチする
- 左右交互に素早く繰り返す
スケーターランジの効かせ方
- テンポよく行う
- 腹筋に力を入れて腰を守る
- 目線は前を向く
9. レッグスイング
レッグスイングは、片足立ちで浮かせた足を前後に回すトレーニングです。
浮かせる方の足が身体から離れるほど、テコの原理により負荷が大きくなるため、レッグスイングは非常に強力なバランス感覚トレーニングです。
中殿筋、内転筋、そして体幹部のインナーマッスルをフル活用して強く鍛えたい方におすすめです。
レッグスイングの正しいやり方
- 直立して両手を腰に当てる
- 片方の足を伸ばしたまま横に開き前後に回す
- 左右交互に行う
レッグスイングの効かせ方
- 上半身が足と逆に傾かないようにする
- 目線はまっすぐ前を見る
10. ワンレッグデッドリフト
ワンレッグデッドリフトは、全身トレーニングの代表であるデッドリフトを片足で行うトレーニングです。
デッドリフトは高重量のバーベルを使いますが、片足デッドリフトは軽い重量のダンベルや自重のみでも十分な効果があります。
片足でバランスをとるためインナーマッスルが鍛えられ、中高生からアスリートまで幅広く行われている種目です!
片足デッドリフトの正しいやり方
- 直立して両足を揃える
- 両手を顔の前に出したまま片足立ちで上半身を倒す
- 上半身が水平になったら身体を起こし胸を張る
- 左右交互に繰り返す
片足デッドリフトの効かせ方
- 目線はまっすぐ前を見る
- 腰を丸めず一直線に保つ
- 支点になる足の膝はやや曲げる
器具を使ってバランス感覚を鍛えるトレーニングメニュー3選
この章では便利な器具を用いて、バランス感覚を鍛えるトレーニングを紹介します。
ストレッチポール・バランスボール・バランスディスクなどを使うと効果的にバランス感覚を鍛えられますよ。
値段も2,000円以下なので購入しやすくなっています。
1. ストレッチポールプランク
ストレッチポールプランクは、足をストレッチポールに乗せて行うプランクです。
つま先で踏ん張れる普通のプランクと違い、コロコロ転がるストレッチポールに足をのせて体勢を不安定にします。
通常のプランクよりも体幹への負荷が高まるため、プランクが1分以上できるようになった中級者の方におすすめです。
ストレッチポールプランクの正しいやり方
- うつ伏せとなり肘を立てる
- 両足のつま先をストレッチポールに乗せて身体を一直線に保つ
- そのまま30秒間キープする
ストレッチポールプランクを効かせるコツ
- お尻を上げたり下げたりせず一直線に保つ
- つま先を身体側に引き寄せてポールを転がすとより効果的
2. バランスボールプッシュアップ
バランスボールプッシュアップは、両手をボールについてプッシュアップを行います。
ボールが転がらないように安定させるため、大胸筋に加えて肩や体幹のバランス感覚も鍛えられます。
固い床と違ってボールは柔らかいので押し返す力を十分に得られず、大胸筋の筋力動員も大きくなるのがポイントです。
バランスボールプッシュアップの正しいやり方
- ボールに両手を付き身体を一直線に保つ
- 肘を曲げてボールに胸が付くまで下ろす
- ボールが転がらないよう押し込んで身体を持ち上げる
バランスボールプッシュアップを効かせるコツ
- 腋を開きすぎず肩がすくまないように
- 身体を持ち上げながら腕を内側に絞る
【参考】バランスボールを使った体幹トレーニングメニュー10選!
【参考】おすすめバランスボールと選び方を紹介!
3. バランスディスクで片足立ち
バランスディスクでの片足立ちは、バランス感覚を鍛えるトレーニングとしては最高峰の種目です。
足底のメカノレセプター・三半規管・全身の筋力を総動員して、不安定なバランスディスクの上で体勢を保ちます。
強い筋力が必要ありませんが、毎日繰り返し行うことでバランス感覚は着実に強化できるので、すべての方におすすめのトレーニングです。
バランスディスクで片足立ちの正しいやり方
- バランスディスクの上に片足を乗せる
- 両手を広げて床についた足を上げる
- なるべく長い時間キープする
バランスディスクで片足立ちの効かせ方
- 最初は両手を広げ浮いている足は閉じる
- 慣れてきたら足を広げ手は閉じる
まとめ
バランス感覚の鍛え方と、具体的なトレーニングメニューについて紹介しました。
コンタクトスポーツはもちろん、あらゆる競技においてボディバランスはパフォーマンスを左右します。
日常生活においても転倒防止や怪我防止の効果が高く、バランス感覚を鍛えることは一生モノの財産になりますよ!