

筋肉を「操る」繊細なコントロール

私は昔から、怪我を重ねてきたタイプの選手でした。特に靭帯損傷を繰り返している足首や、側弯症を抱えている腰のケアは、日々念入りに行っています。練習前後は、ストレッチを丁寧に行ったり、自分でマッサージをしたりしています。足首はすぐに「グリッ」となりやすいので、練習中はお守り代わりにテーピングを巻いていますし、トレーナーの先生にマッサージをしてもらい、治療することも日々のケアの一つです。

体操は着地による衝撃が本当に大きく、足首だけでなく、腰や膝など全身に負担がかかります。そうした経験を重ねる中で、コンディショニングやトレーニングに対する考え方も大きく変わってきました。ジュニア期は、筋肉量を増やすためのトレーニングが中心でしたが、今の自分に必要なのは、筋肉量を増やすことではありません。むしろ「今ある筋肉をいかに削ぎ落として、どうやってうまくコントロールできるか」ということを大切にしています。
ただ筋肉のボリュームを大きくするのではなく、背筋や足の筋肉など、一つひとつを丁寧に動かしていく。動かせる幅、そして自分自身でコントロールできる幅を広げるために、より繊細に身体と向き合うようになりました。
一度競技を離れて知った、“休みも練習”という答え

東京オリンピック後に一度競技を離れ、指導者やリポーターとしての経験を積んだことは、私の競技観を大きく変える転機となりました。それまでは「休む=不安」という葛藤を抱え、コンディションが悪くても無理に練習を重ねては、怪我を繰り返す日々を過ごしていました。練習の数をこなすことで自己満足は得られても、客観的に見れば、質の高い練習とは言えない状態が続いていたと思います。
復帰後は考え方を一変させ、「その日の調子が40%なら、その中でできる100%を目指す」という意識を持つようになりました。練習量を抑え、しっかりと休息を挟むことで、翌日のパフォーマンスや基礎の質が格段に向上しました。「しっかり休むことで次の日に良い練習ができる。休みも大切な練習の一部なんだ」と実感し、休息に対する考え方も大きく変わりました。

また、オンとオフを切り替えることも、競技を長く楽しむ上で欠かせない要素だと感じています。
オフの日にはゲームやカラオケ、家族との時間を大切にし、体操から良い意味で距離を置くようにしています。ずっと競技のことで頭を満たすのではなく、心と身体を解放してリフレッシュする。そうしてメリハリのある生活を送ることで、改めて体操という競技の楽しさを感じられるようになりました。
杉原選手にとって、休息とは

私にとって休息とは、「次の日に良い練習やパフォーマンスをするための、大事な練習の一部」です。
以前は「休む=不安や怖いもの」という感覚がありましたが、一度立ち止まってしっかりと休むようになってからは、次の日のコンディションや練習の質が格段に上がることを実感しています。
体を休めるだけでなく、良い意味で体操と距離を置き、頭や心をリフレッシュさせる。自分をニュートラルな状態に戻し、大好きな体操を長く楽しみながら続けていくために、欠かせない大切な時間です。
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撮影の合間の一コマ

オフの日は基本ゲームしてるんです!体操選手っぽくないって、よく言われるんですけど(笑)夢中になれるものがあると、逆にリフレッシュできて。気づいたらめちゃくちゃ時間が経っていることもあって、それがまた楽しいんですよね。
