

「受け身のケア」から「自分で整えるケア」へ

ケアに関しては、学生からプロになってから、めちゃくちゃ変わりましたね。大学生の頃は本当にまったくケアをしていなかったです。それでもやれていたというか、もともと大きな怪我をしにくいタイプだったのもあって、運も良かったと思います。手術もしたことがなかったですし、マッサージを受けることもほとんどなかった。自分で何かをやることもなかったですね。
でも年齢を重ねるにつれて、一度首のヘルニアにもなりましたし、三十代に入ってからは「セルフケアをしないと追いつかないな」と強く感じるようになりました。二十代の頃は、しんどくなったらトレーナーさんにやってもらう、という感じでしたけど、今は自分でやることの方が多いです。
日本代表に行っていた時も、ヘッドコーチから「トレーナーに頼りすぎるな」とよく言われていました。自分でできることもあるはずだから、自分の体と向き合ってセルフケアをしろ、と。やっぱり自分の体のことは自分が一番わかると思うんです。今日は調子がいいなとか、ちょっと重いなとか、そういう微妙な感覚を感じ取りながらケアしていくことが大事だと思っています。

ただほぐしてもらうだけだと、その場は楽になっても結局すぐ戻ってしまう感覚がある。ここが痛いのも、そこだけが悪いわけじゃなくて、どこか別の部分の影響でそこに負担がきていることが多いと思うので、単体で考えるんじゃなくて全体で見る。上半身・下半身と分けるのではなく、全身のバランスとして捉えるようにしています。
家では基本的にストレッチがメインです。まずお風呂にゆっくり浸かって体を温めてから、落ち着いた状態で二十分くらいストレッチをします。と言っても、テレビを見ながらの“ながらストレッチ”みたいな感じですね。
マッサージガンも持っていますが、毎日必ず使うというよりは、「ここ固まってるな」とか「結構タイトだな」という時にピンポイントで当てる感じです。
どこにいるかじゃなくて何をするか

僕は今、単身赴任で生活をしていて、家族とは離れて暮らしています。オフで家に戻った時は、だいたい「どこか行こう」となりますね。妻が外に出たいタイプなので、自然と外出することが多いです。家族と過ごす時間は、気持ちを切り替える大事な時間でもありますし、チームメイトや家族と一緒にいることで、考えすぎてしまう自分の頭がリセットされる感覚があります。
フルバックというポジションは本当に頭を使いますし、僕自身も結構考えすぎるタイプです。ストレスが溜まると体重が落ちたりもします。去年は神戸製鋼から移籍するという大きな決断もあって、ラグビー人生の中でも大きな転機の一年でした。年齢的にも、このタイミングで移籍する人は多くないと思います。でも、まだやれるという気持ちと、残りのラグビー人生でチャレンジしたいという思いの方が強かったですね。

僕が大事にしている言葉のひとつが、「どこにいるかじゃなくて、何をするか」です。
10番から15番にポジションが変わったのがワールドカップの一年前で、「ここで変わるのはきつい、もう行けへんやん」と正直思いました。でも友達に「どこでやるかじゃなくて、そこで何をするかが大事なんじゃない?」と言われて、そこでやるしかないなと腹をくくれた。そのポジションで自分が何をできるかを探しながらやって、結果的にワールドカップにも行けました。
案外いけるもんなんですよね。ラグビーって、そういうところもある。だから今も、まずは目の前のことをしっかりやる。それがチームへの貢献につながるし、日本代表を目指すことにもつながると思っています。
山中選手にとって休息とは

昔だったら、休息とは「寝ること」と答えていたと思います。今でも寝ることはもちろん大事です。
でも今の自分の感覚だと、常に動いていることの方が、むしろ一番のリカバリーになっています。1日家でだらっとしているのは、逆に回復にならない。この年齢になると特に、一週間オフだからといって何もしないで過ごすのは、もう休息じゃないという感覚です。
散歩もそのひとつです。試合の翌日に30分くらいゆっくり歩く。歩くことで体の疲れも抜けるし、足の裏の刺激にもなるし、結果的にメンタルも整う。
じっとしていないこと。動きながら整えていくことですね。
体験アイテム

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撮影の合間の一コマ

過去の記事を見させていただいたら、空手の清水希容選手のお名前が出ていました。実は清水選手とは中学校が同じなんです。真住中学校で、僕とまったく同じ学校です。だいぶ僕の後輩になりますけどね。
直接お会いしたことはないんですが、中学校って垂れ幕があるじゃないですか。あれを見て「あ、後輩か」って思いました。向こうが僕のことを知っているかは分からないですけど(笑)。
正直、自分が一番有名かなと思っていたんですが、下にあんなすごい選手がいて「あれ?」ってなりましたね(笑)。
オリンピックを見ていた時に、「あ、地元一緒なんや」って気づいたんですよ。特別スポーツが盛んな地域というわけでもないのに、同じ地域からああいう舞台で活躍する選手が出るって、純粋に嬉しいなと思いました。
