筋トレに役立つサプリ「HMBサプリメント」の効果や飲み方について解説します。
効果がないと言われたり、プロテインの20倍と謳われたり、何かと話題のHMBサプリメント。
この記事では、
- HMBとはどんなサプリか
- HMBが「効果ない」と言われる理由
- HMBサプリの本当の効果
- HMBサプリがおすすめな人
- HMBの効果を最大化する飲み方
について解説。
誇大広告に惑わされること無く、正しくサプリメントを活用するための知識をお伝えします!
- 村上哲也
- 健康管理士・サプリメントアドバイザー
HMBとはどんなサプリメント?
HMBとは人間の身体を構成する20種類のアミノ酸のうち、最も必要とされる「ロイシン」が体内で代謝されて生み出される物質。
筋肉の合成を促すサインを活性化する働きがあります。
アミノ酸のロイシンから作られるのがHMBであるため、当然プロテインや普通のタンパク質食材でもHMBを摂取することはできます。
しかし食事ではとても摂れない量のHMBをサプリメントで摂取することで、筋肉の増強に効果的であることがわかり、一気に大人気サプリとなったのです!
ちなみにHMBとは「3-ヒドロキシイソ吉草酸」の略称で、英語では「β-Hydroxy-β-MethylButyrate」の頭文字をとった言葉です。
HMBサプリメントが効果がないといわれる理由
HMBサプリメントはネット上で「効果がない、意味がない」という意見をよく目にしますよね。
HMBはそこまで効果が無いと言われる理由は、一時期あまりにも過剰な誇大広告がネット上に溢れていたからです。
あたかもHMBサプリを飲むだけで魔法のように体脂肪が落ちて、筋肉ムキムキのマッチョになれるように喧伝する広告が溢れたせいで、それに対する反動として「そんな訳あるか!」という人が増えたのですね。
HMBは魔法の薬でないことは確かですが、全く効果がないということでもありません。
HMBの誇大広告に対する事実を解説しますので、正しい理解を深めていきましょう。
事例1:飲むだけで筋肉が増える、痩せると謳われる誇大広告
未だに「HMBを飲むだけで魔法のように筋肉が増える!痩せる!」という広告を見ますが、あれは景品表示法に違反している広告です。
HMBはたしかに筋肉の合成を高める作用はありますが、だからといって筋トレも何もせずに飲むだけで筋肉が増えるわけではありません。
筋肉を増やすには筋トレによって強い刺激を与え、その修復の際にHMBを働かせて活発に成長させることが必要なのです。
事例2:プロテインの20倍の効果と謳われる誇大広告
「HMBの効果はプロテインの20倍!」これもよく見る広告ですよね。
あの広告の真実は、単純にHMBの含有量が一般的なプロテインの20倍であるというだけで、筋肉を増やす効果が20倍なのではありません。
筋肉を合成するには様々なアミノ酸が必要であり、HMBのみが多ければ良いという問題ではないのです。
プロテインには様々な栄養素が含まれており、HMB以外のアミノ酸ももちろん必要。
プロテインはロイシンの他にも、9種類の必須アミノ酸やその他の栄養素がたっぷり含まれており、身体の材料を一度に補給できる非常に優れたサプリメントです。
HMBサプリメントの本当の効果
HMBサプリメントを効果的に活用するたに、HMBの本当の効果について理解しておきましょう。
実際最近のアスリートにはHMBサプリメントを活用している人が大勢いますし、高齢者の筋肉減少防止やリハビリにも活用されているんです!
1.筋肉の合成の促進
HMBの大きな役割のひとつが、筋肉合成の促進です。
人間の身体は、常に古い細胞が捨てられて新しい細胞に生まれ変わって、その現象を以下のように呼びます。
- 細胞が生成されること=同化(アナボリック)
- 破壊され分解すること=異化(カタボリック)
これは筋肉も同じで、筋トレなどで強い刺激を与えることで、アナボリックが促進されて以前より強く大きな細胞に成長していきます。
このアナボリック促進を司る伝達経路が「mTORシグナル」と呼ばれるもので、HMBはこのmTORシグナルを活性化する役割を担っているのです。
通常であれば食事で摂取したアミノ酸のロイシンからHMBを合成しますが、HMBをサプリでダイレクトに摂取することでも、mTORを活性化できることがわかっています。
2.筋肉の分解を抑える
HMBは異化(カタボリック)を抑制する役割も担っているのです。
人間の身体には古いタンパク質を分解する仕組みがあり、これは「ユビキチン-プロテアソームシステム」と呼ばれています。
激しい運動をすると、無駄なエネルギー消費を抑えたりエネルギー確保のために、筋肉が分解されてアミノ酸が血中に放出されるのです。
HMBにはこの「ユビキチン-プロテアソームシステム」を抑制する作用があり、運動中の筋肉の分解を抑えて、運動後の筋肉合成を促進するため、結果的に筋トレの効果を高めてくれるのです!
HMBサプリメントを飲むのがおすすめな人
これまでの内容を踏まえ、HMBサプリメントがおすすめなな人はこちらです。
- 伸び悩む筋トレ上級者
- ダイエットで運動や食事管理を頑張れる人
- これから筋トレやダイエットを真剣に頑張る人
筋トレの効果が出にくくなってきた上級者や、ダイエットでも運動や食事管理をしっかり頑張っている人に有効です。
「運動が苦手だからHMBに頼ろう」と思っている方は、失敗しますので買わないほうがよいでしょう。
筋トレは続けるほどに効果が出にくくなってくるので、少しでも筋肉を成長させるためにHMBを活用する方は多いですね。
最近活躍しているボディビルダーのインタビューを見ても、HMBを飲んでいる人が多いのはそのためです。
逆に筋トレ初心者は伸びしろが非常に大きいので、HMBサプリメントの効果も大きく出やすいというデータがあります。
これから筋トレやダイエットを頑張る方で、少しお金をかけられる方もHMBで筋肥大の初心者ボーナスを倍増できるチャンスがあります!
【参考】HMBサプリおすすめはこちら
HMBの効果を最大化する飲み方
HMBサプリの効果を最大化する飲み方のポイントについて解説していきます。
医薬品ではなくサプリメントなので、基本的飲み方は自由ですが、少しでも効果を高めるために参考にしてください!
飲む量:1日3gが目安
HMBを飲む量は、1日3g(=3,000mg)程度が目安となります。
ほとんどのHMBサプリメントは「HMBCa」といってカルシウムも含めた量で表記されていて、HMB自体の量は20%程度少なくなっています。
この理由は、HMBは単体では非常に不安定な物質なので、カルシウムと結合させてサプリメントにしている場合が多いからです。
なので、HMBCaを3g摂れればOKです。
摂取回数:1日3回
HMBはプロテインのように筋トレ後のゴールデンタイムを意識する必要はありません。それよりも常に血中濃度が高い状態を維持することが重要です。
1日分を一気に飲むのではなく、3~4回に分けて飲むことで、より効果を高めることができます。
摂取タイミング:朝・昼・夜
筋肉は筋トレ中に成長するのではなく、筋トレ後の「休んでいる時間」に成長するのです。
よってHMBは筋トレ後に急いで飲むのではなく、普段から朝・昼・晩の3回に分けて飲んでおき、常にHMBの血中濃度を高く保ちましょう。
HMBCaの場合は飲んでから血中濃度がピークに達するまで60分程度かかるので、筋トレ前に飲む場合は1時間前に飲んでおくのが有効ですね。
一緒に摂取すべき栄養素:クレアチン
HMBはクレアチンと一緒に摂取すると、筋肉を分解する因子であるミオスタチンの発現を抑えることが確認されており、より効果を高めたいならクレアチンと合わせて飲むのがおすすめ。
クレアチンも1日数gずつ継続して飲むことで効果を発揮するので、HMBとクレアチンは一緒のタイミングで飲むのが良いでしょう。
なおHMBとビタミンDを組み合わせたサプリメントも発売されており、筋肉減少に繋がる炎症を抑えるのに効果的とされています。
しかしビタミンDはカルシウムの吸収を促進するため、HMBCaと合わせて摂取するとカルシウム過剰症のリスクがあります。
よほど高齢者でサルコペニアなどの診断を受けている方以外は、HMBCaとビタミンDの組み合わせは避けたほうが良いでしょう。
【参考】クレアチンのおすすめランキング!
まとめ:HMBの正しい知識と飲み方を知って試してみよう!
HMBサプリメントの効果や飲み方について、まとめて解説してきました。ネットの誇大広告のせいで悪いイメージもついてしまったHMBですが、正しい知識をもって活用すれば有用なサプリであることは確かです。
魔法に頼るのではなくしっかりとした根拠を持って、正しいボディメイクに活用していきましょう!
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