

心身を「空っぽ」にする時間

「心を落ち着かせること」。それが私の休息の根本にあります。 常に競技の真っ只中にいるため、オフの日はそこから完全に離れたいという思いが強くあります。ずっと競技のことを考えていると、「ああすればよかった」とマイナスな思考に陥りがちなので、あえて「何もない自然の中」に身を置き、何も考えなくていい状況を強制的に作るようにしています。

最近、特に大きなリフレッシュになっているのが、地元・愛知県での梅シロップ作りです。5月末からの収穫時期には、農家さんと一緒に泥まみれになりながら木に登り、無心で梅を摘んでいます。大人になると汚れや手間を避けてしまいがちですが、あえて傾斜のある場所で土に触れ、時には尻餅をつきながら作業をすることが、私にはすごく心地いいんです。
地元の方が『あそこは何もないよ』と言うような場所で、自然に触れながら無心になる。そうして一度自分を「空っぽ」にすることで、リフレッシュして「また頑張ろう」というパワーが内側から湧いてくるのを感じています。
体を整え、心を整える

日々の体のケアにおいて、最も大切にしているのは「お風呂の時間」です。私は特に炭酸泉の効果を実感していて、筋肉痛の時や体がひどく疲れている時に浸かると、重みが実感できるほどスッと(体の疲れが)抜ける感覚があります。その心地よさを遠征先や自宅でも再現したくて、高濃度の炭酸ガスと、リラックス効果のあるラベンダーの香りにこだわった入浴剤を自らプロデュースしたほどです。お風呂はスマホも触らず、誰にも邪魔されない唯一の空間。そこで一日の疲れを流し、その後に7〜8時間の睡眠をしっかり確保することが、プロとしての譲れないこだわりです。

また、メンタル面では「結果」よりも「準備という過程」を何より大切にしています。日本代表として国を背負う重圧は当然ありますが、それを撥ね退けるのは、日々の練習で「昨日の自分より成長した」と胸を張れるまでやり切ったという自負だけです。準備を全て尽くしていれば、たとえ結果が伴わなくても後悔はありません。格上の大きな選手に対しても、最後は「気合と根性」でぶつかっていける勇気は、日々の質の高い休息と、積み重ねてきた妥協のない準備から生まれるものだと思っています。
高田さんにとって休息とは

「心を落ち着かせ、再び100%でコートに立つためのスイッチ」です。
競技から物理的にも精神的にも距離を置き、リセットする時間があるからこそ、また高い志を持って戦いの場に戻ることができます。私にとって休むことは決して停滞ではなく、常に自分を更新し、高いパフォーマンスを維持するために欠かせない、大切なトレーニングの一環だと考えています。
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撮影の合間の一コマ

梅の話になると、ついつい熱が入ってしまいますね(笑)。実は今日も、自分で漬けた梅シロップの話をしながら、あの独特の酸味と香りを思い出して元気をもらっていました。私が携わっているのは、愛知県の「佐布里梅(そうりうめ)」というブランドなのですが、一般的な梅より少し小ぶりで酸味が強いのが特徴です。
アスリートにとってクエン酸は疲労回復にぴったりですし、何より自分の手で収穫したからこそ愛着もあります。なかなか大人になると土に触れる機会も減ってしまいますが、あの土の匂いや自然の感触が、一人の人間としての自分を支えてくれている気がします。
