
ディップスで大胸筋を鍛える効果的なやり方。筋トレ初心者でもできる正しいフォームを解説
大胸筋下部と上腕三頭筋を鍛える最強の自重トレーニング「ディップス」。
ディップスは上半身のスクワットと呼ばれるほど大切な種目で、腕立て伏せと比較した場合に数倍もの負荷を大胸筋に加えることができます。
この記事では、
- ディップスで鍛えられる筋肉
- ディップスのメリット(効果)
- ディップスの正しいやり方&フォーム
- 大胸筋・上腕三頭筋それぞれを集中的に鍛える方法
- ディップスの効果をあげるポイント
などを紹介します。
ディップスで大胸筋や上腕三頭筋を効果的に鍛えて、キレのある厚い胸板を作りましょう!
そもそもディップスとは
ディップスとは、上の写真のように両腕のみで体を支えて上下運動をするトレーニングのこと。
大胸筋と上腕三頭筋に全体重がかかるため、他の上半身のトレーニングよりも高負荷になるのが特徴です。
また、重りをつけることで負荷が調整しやすいのもディップスの大きなメリットです。
一方で、筋力が不十分な初心者には不向きな筋トレなので、ディップスを行う前に腕立て伏せなどに取り組むのがおすすめですよ。
腕立て伏せの正しいやり方や様々な種類について「腕立て伏せの正しいやり方と10種類のメニュー!」の記事で紹介しているので参考にしてください。
ディップスで鍛えられる筋肉
ディップスの具体的なやり方を見て行く前に、まずはディップスで鍛えられる筋肉を紹介します。
ディップスは上半身の重要な筋肉を複数鍛えることができますが、鍛える筋肉を意識することで筋トレの効率がアップしますよ。
1.大胸筋(特に大胸筋下部)
大胸筋は胸板を形成している非常に大きな筋肉のこと。
ディップスでは特に大胸筋の下部を鍛えることができます。
そして、大胸筋下部は腕を肩より下へ動かす「内転」という動作で主に活躍する部位です。
大胸筋上部を鍛えるトレーニングは種類が多いですが、大胸筋下部を鍛えるトレーニングは数が多くありません。
ディップスは比較的鍛えにくい大胸筋下部を鍛えることができますよ。
【参考】大胸筋を鍛える自重筋トレ
2.上腕三頭筋
上腕三頭筋は二の腕の裏側の筋肉のこと。
肘関節だけでなく肩関節にもつながる部分があるため、鍛えることでスポーツ競技全般におけるパフォーマンス向上になります。
また、普段の生活ではあまり使うことのない筋肉ですが、二の腕のたるみなどはこの部位を鍛えることで解消できます。
【参考】上腕三頭筋の筋トレメニュー
3.三角筋・広背筋・体幹
ディップスで鍛えるメインの筋肉ではありませんが、バランスを取ろうとすることで三角筋・広背筋・体幹なども鍛えることができます。
トレーニングの時間を取れないときは、ディップスを行って上半身全体を鍛えるのがおすすめですよ。
【参考】広背筋の筋トレメニュー
【参考】三角筋の筋トレメニュー
ディップスは上半身のスクワット!
ベンチプレスやスクワットなどのBIG3と比べると、ディップスはややマイナーな筋トレ種目です。ただし、ディップスはBIG3に次ぐおすすめの筋トレメニューであり、上半身のスクワットと呼ばれることもあるほど重要なトレーニングです。ディップスの3つのメリット(効果)
ディップスを行うメリット&効果について解説します。
メリット&効果を理解して筋トレに対するモチベーションをあげましょう!
1.自重でありながら高負荷トレーニングができる
ディップスは自重で行う筋トレですが、自重トレの中では非常に高負荷のトレーニングです。
例えば、大胸筋を鍛える自重トレの「腕立て伏せ」では、足を床について行うため全体重が腕や胸にかかるわけではありません。
一方のディップスでは、全体重を腕や胸のみで支えるため負荷が非常に高くなります。
ディップスの負荷(効果)は腕立て伏せと比べて数倍にもなります。
*加わる負荷は体重によって異なります。
2.怪我のリスクが少なく、1人でも追い込みやすい
ディップスはベンチプレスやダンベルプレスなどと比べて、怪我をするリスクが低く、1人でも追い込みやすいというメリットがあります。
例えば、ベンチプレスであればバーベルを上げられなくなった時のために補助として他の人についてもらう必要がありますし、補助がいない場合は限界まで追い込むことができません。
一方のディップスであれば、限界がきたら地面に着地すればよいだけなので、1人で最後まで追い込みやすいのです。
ディップススタンドがあれば自宅でもできる!
ベンチプレスやスクワットは専用の器具が必要で価格が高いですが、ディップスであればディップススタンドさえあれば自宅でも行うことができます。また、ディップススタンドは1万円しませんし、意外とスペースを取らない(高さがあるだけで幅はとらない)ので、自宅用の筋トレグッズとしておすすめですよ。【参考】自宅で使える最強のチンニングスタンド
3.くっきりと盛り上がった綺麗な大胸筋を作りやすい
ディップスは比較的鍛えにくい大胸筋「下部」を鍛えることができます。
そして、胸板の境界線をくっきりと出すためには、大胸筋上部だけでなく下部を鍛えることが欠かせません。
ベンチプレスやダンベルフライばかりしてしまっている方は、ディップスを追加して胸筋全体を鍛えるようにしましょう。
ディップスの正しいやり方
ここからはディップスの具体的なやり方を説明します。
まずはディップスのやり方を説明した以下の動画と、コツなどをまとめた箇条書きをご覧ください。
ディップスのやり方
- 肘を伸ばし腕だけで体を支える
- 上半身をやや前傾させ、足は膝を後方へ折り曲げる
- ゆっくりと肘を曲げていく
- 肩と肘が平行になるまで下げたら止まる(ここまで下げるのが理想ですが、最初は無理のない位置で止めましょう)
- ゆっくりと肘を伸ばしていく(大胸筋を絞り込んでいくイメージ)
- 体が振り子にならないように、まっすぐ上下動する
ディップスのコツ
- まっすぐ上下動する
- 体がゆれないコツとしては「足を振り上げない」「上半身を起こし切らない」の2つ
- 肩をはめないようにする
- 胸筋への負荷をあげたい場合は前傾姿勢を強める
- 上腕三頭筋への負荷をあげたい場合は上体を少し起こす
ディップスの回数の目安としては、10回×3~5セット程度です。初心者の方は1セットの回数を5回程度に減らしても問題ありません。ただし、筋肉を限界まで追い込める回数に設定することをお忘れなく。
【ディップスの応用編】大胸筋・上腕三頭筋それぞれを重点的に鍛えるやり方
ディップスの基本的なやり方が分かったところで、大胸筋と上腕三頭筋それぞれをメインに鍛えたい場合のアレンジ方法を紹介します。
大胸筋をメインに鍛えたい場合
大胸筋をメインに鍛えたい場合は、前傾姿勢をより意識して行いましょう。
前傾姿勢をとることで大胸筋への負荷が高まります。
また、肩をすぼめないのも大胸筋への負荷を高めるための重要なポイントです。
肩をすぼめてしまうと大胸筋が限界までストレッチしないので、効果的に鍛えることができません。
上腕三頭筋をメインに鍛えたい場合
上腕三頭筋をメインに鍛えたい場合は、上体を少し起こすことを意識しましょう。
上体を起こすことで大胸筋よりも上腕三頭筋への負荷が高まります。
また、脇を閉めて身体に近い位置に固定することも上腕三頭筋への負荷を高めるための重要なポイントです。
そして、肘を伸ばし切らないことで、肘や大胸筋で支えることが無くなるので上腕三頭筋への負荷がさらに高まります。
とにかく負荷をあげたい場合
ディップスに慣れてきた中級~上級者の方は、ウエイトをつけて行いましょう。
腰にベルトのようなもので重りを吊るすのが一般的なやり方です。
【参考】大胸筋を鍛えるダンベルメニュー
ディップスの効果を上げる4つのポイント
次にディップスの効果を上げる4つのポイントについて紹介します。
以下のポイントを意識することで、筋トレの効率がアップしますよ。
1.上半身は前傾させ、後ろ重心にしない
上半身を前傾させるとより大胸筋への負荷が高まります。
重心が後ろになってしまうと、大胸筋ではなく肩関節の靱帯に負荷がかかり、怪我の原因となってしまうので注意してください。
2.肩の力を抜き、肩をすくめない
ディップスは大胸筋と上腕三頭筋を主に使うトレーニングであり、肩の筋肉を鍛えるトレーニングではありません。
肩に余計な力が入ってしまうと、
- 大胸筋を十分にストレッチさせることができない
- 肩の関節に余計な負荷がかかり怪我の原因になる
3.肘は身体の近くに固定し、横に開かない
上下運動をする際、肘を横に開いてしまうと大胸筋や上腕三頭筋以外への負荷が高まってしまい、効果的な筋トレになりません。
肘より上の部分だけで動くイメージを持ちましょう。
4.1回1回の動作をゆっくり行う
ディップスをゆっくり行うことで、バランスの取りづらさが増して体幹なども同時に鍛えられます。
上がる動作を素早く行うと負荷が高まるのですが、バランスを崩しては意味がないので、ある程度慣れるまではゆっくり行いましょう。
ディップスができない初心者の場合は基礎トレーニングから始めよう!
ディップスはかない高負荷の筋トレなので、いきなりディップスができない…という方のために基礎的な筋トレメニューを紹介します。
基礎トレーニングでディップスをするために十分な基礎筋力をつけましょう。
1.腕立て伏せ
ディップスができない場合に不足している大胸筋を鍛える「腕立て伏せ」。
もっとも基本的な筋トレメニューですが、回数を重ねることで大胸筋を徹底的に追い込みましょう。
また、大胸筋を鍛えるためには手をつく位置が重要です。肩の横に置いている人が多いですが、大胸筋を鍛えるためには肩が45度くらいになるように、手を下の方につくのが効果的です。
腕立て伏せの正しいやり方
- 肩幅より少し外に開いて、肩が45度になるように手をつく
- 頭からかかとまで身体を一直線にする
- 息を吐きながらゆっくりと下げる
- 息を吸いながらゆっくりと上げる
- 3~4の動作を繰り返す
腕立て伏せのコツ
- 肩の真横に手をつかずに、45度くらいになるようにする
- 体を一直線にキープする
- 胸は開くように意識する
- 目線はやや前を見る
2.リバース・プッシュアップ(リバース・ディップス)
ディップスができない場合に不足している上腕三頭筋を鍛える「リバース・プッシュアップ」。
以下の動画のように、椅子程度の台に両手をかけて、足を伸ばした状態で身体を上下させることで上腕三頭筋を追い込みましょう。
リバース・プッシュアップの正しいやり方
- トレーニングベンチ(椅子でもOK)に肩幅で両手を置く
- 足を伸ばす(負荷を下げる場合は膝を曲げる)
- 肘を曲げてゆっくりと体を下ろして行く
- 肩と肘が平行になるまで下げる
- ゆっくりと肘を伸ばして行く
リバース・プッシュアップのコツ
- 手(指先)と体の方向を同じにする
- 膝の曲げ伸ばしで負荷を調整し、限界まで追い込む
3.チェアーディップス
ディップスの負荷を軽くして行う「チェアーディップス」。
イメージとしては、「足をついた状態でのディップス」です。
大胸筋と上腕三頭筋を意識しながら、上半身を真上に押し上げるイメージで行いましょう。
*以下の動画の8分30秒のあたりです。 *正しいやり方やコツは通常のディップスと同じです。
まとめ
ディップスの効果的なやり方をはじめ、鍛えられる筋肉やメリットなどを紹介しました。
ディップスは非常に効果の高い筋トレです。
ポイントを意識しながらより上半身をたくましく鍛え上げましょう。