僧帽筋ってどんな筋肉?
僧帽筋ストレッチを見ていく前に、まずは僧帽筋がどんな筋肉なのか解説します。
僧帽筋は、首の後ろから背中にかけて菱形(ひしがた)状にある大きな筋肉。
カトリックの僧が着る頭巾に形が似ていることから「僧帽筋」という名前がついています。
背中の筋肉は他にもありますが、皮膚に近い部分についているのが僧帽筋です。
上部・中部・下部の3つのパーツで構成されており、それぞれ以下の働きがあります。
・僧帽筋上部
>>頭を後ろから支える筋肉。肩をすくめるとき、手で重いものを下げるときに働きます。
・僧帽筋中部
>>肩を後ろに引いて胸を張るとき働きます。
・僧帽筋下部
>>手を挙げるときに働きます。
また、僧帽筋は肩甲骨を安定させ、肩の筋肉(三角筋)の働きを助ける役割があります。
そのため、僧帽筋が硬くなると、首や背中のコリだけでなく姿勢の悪化につながることも。
上部・中部・下部でそれぞれ筋肉の繊維の方向が違うので、このあと紹介する僧帽筋ストレッチをいくつか組み合わせて行うことをおすすめします。
僧帽筋の緊張状態が強くなる理由は、背中の筋肉(広背筋)の緊張が増して、肩甲骨を通じて僧帽筋の緊張を強くすることが原因。
そのため、背中の筋肉(広背筋)のストレッチをしっかり行うと、僧帽筋が緩み、盛り上がりも解消できることになります。
しかし、頸椎に異常がある場合もあるので、ストレッチで治らない場合は整形外科で検査してもらうことをおすすめします。
僧帽筋ストレッチの3つの効果!
僧帽筋ストレッチをすることで、次の3つの効果が期待できます。
1.肩こり解消効果
僧帽筋ストレッチで肩こりを解消することが期待できます。
一般的に肩こりとは、解剖学的には首のコリのこと。首の骨(頸椎)は約5kgの頭を支えています。
ただでさえ重い頭を支えているのに、猫背などの悪い姿勢が続くと、僧帽筋上部や首と肩甲骨をつなぐ筋肉(肩甲挙筋)に負担がかかり、肩こりの原因に。
パソコンやスマホの画面を見る機会が多い人は、1時間に1回ぐらいカラダを動かしたり、僧帽筋ストレッチで首周りの筋肉の緊張をやわらげてあげましょう!
また、肩こりを解消したい方は「肩こりは「ストレッチ&筋トレ」で解消!」の記事もぜひ参考にしてください。
2.姿勢が良くなる
僧帽筋ストレッチには、姿勢が良くなる効果も!
悪い姿勢の代表的なものが猫背や巻き肩の姿勢。猫背の姿勢がクセになってしまうと、肩こりだけでなく腰痛にもなりかねません。
姿勢が悪いなと感じている方は、僧帽筋ストレッチで早急に対処しましょう。
僧帽筋ストレッチの中でも特に「僧帽筋中部」「僧帽筋下部」のストレッチを行うことで、良い姿勢にリセットすることができます。
また、良い姿勢を手に入れるには、僧帽筋を鍛える筋トレも合わせてすると良いですよ!
姿勢を良くするトレーニングについては、「姿勢を良くする筋トレ8選!」の記事でも解説しているので参考にしてください。
3.バストアップ効果
僧帽筋ストレッチでバストアップ効果も期待できます!
そもそも、バストアップするためには胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)に刺激を加えることが重要。
僧帽筋(特に中部と下部)ストレッチでは、小胸筋に刺激を与えることが可能です。
また、せっかくバストアップのために胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)を鍛えていても、僧帽筋のコリが続くことでバストダウンしてしまう可能性も。
そのため、バストアップしたい方は筋トレの前に、僧帽筋ストレッチでほぐしてあげるようにしましょう!
バストアップに重要な大胸筋を鍛えるトレーニングは「大胸筋の筋トレメニュー14選!」で解説しているので参考にしてください。
肩こりを解消する僧帽筋ストレッチ9選!
ここでは自宅や仕事の合間にできる、僧帽筋ストレッチを9種類紹介します。
僧帽筋の柔軟性をアップさせて、つらい肩こりから解放されましょう!
1.首のストレッチ(座ったまま)
僧帽筋の柔軟性を高めるストレッチ、1つ目は「首のストレッチ(座ったまま)」です。
僧帽筋上部、首と肩甲骨をつなぐ筋肉(肩甲挙筋)を伸ばすストレッチで「肩こり・首こりの予防・改善効果」を期待できます。
長時間のデスクワークが続いている方は、首こり・肩こりがひどくなる前に、1時間に1回くらいのペースでストレッチしてあげましょう。
首のストレッチ(座ったまま)のやり方
①椅子に座る。太ももの間の座面に右手をかける。②背筋を伸ばし、右肩を下げる。
③左手を頭に添え、首を斜め左に倒し、右首筋を伸ばす。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
③左首筋も同様に行う。
首のストレッチ(座ったまま)のコツ
- 伸ばす首筋の肩が上がらないように、肩を下げることを意識する
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
2.肩の上げ下げ&肩回し(座ったまま)
僧帽筋の柔軟性を高めるストレッチ、2つ目は「肩の上げ下げ&肩回し(座ったまま)」です。
肩甲骨を上げる⇔下げるを繰り返すストレッチで、
- 肩こり・首こりの予防・改善
- リラックス効果
などを期待できます。
筋肉を緊張させたあとストンと力を抜くことで、カラダの緊張をほぐすことができる「筋弛緩法(漸進性筋弛緩法)」と呼ばれる方法になります。
また、肩回りの血行も良くなるので、肩や首もラクになりますよ!
肩の上げ下げ(座ったまま)&肩回しのやり方
①椅子に座り、背筋を伸ばす。②息を吸いながら肩をすくめ、肩甲骨を挙げる。10秒間キープ。
③息を吐きながらストンと脱力する。5~10回繰り返す。
④肩先で円を描くようにして、肩甲骨を意識して回す。呼吸をしながら5回ぐらい
肩の上げ下げ(座ったまま)&肩回しのコツ
- 肩の上げ下げは大きく行う
- 肩甲骨の動きを意識する
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
3.肩入れストレッチ(座ったまま)
僧帽筋の柔軟性を高めるストレッチ、3つ目は「肩入れストレッチ(座ったまま)」です。
僧帽筋中部・下部にフォーカスして伸ばすストレッチで「肩こり・首こりの予防・改善」効果を期待できます。
肩こり解消には僧帽筋をしっかり伸ばすことがポイントですが、僧帽筋は3つのパーツでそれぞれ筋肉の繊維の方向や働きが違います。
このストレッチは、僧帽筋の中でも中部・下部を伸ばすことができますよ!
椅子に座ったままできるので、首こり・肩こりがひどくなる前に、1時間に1回はストレッチでしっかり伸ばしてほぐしましょう。
肩入れストレッチ(座ったまま)のやり方
①椅子に座り、両ももを股割りの姿勢になる。両手を両膝に置く。②「背中を丸めて」右肩を前に押し出す。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
③左側も同様に行う。
肩入れストレッチ(座ったまま)のコツ
- 背中を丸めて行う。丸めることで肩甲骨が外転して、肩が前に出やすくなります。
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
4.タオルを使った僧帽筋ストレッチ①
僧帽筋の柔軟性を高めるストレッチ、4つ目は「タオルを使った僧帽筋ストレッチ①」です。
僧帽筋中部・下部にフォーカスして伸ばすストレッチで「肩こりの予防・改善効果」を期待できます。
また、タオルを使うことで、僧帽筋の中でも中部・下部をより効果的に伸ばすことができますよ!
椅子に座ったままでもできるので、リモートワークなどで首こり・肩こりを感じる方は、1時間に1回はこのストレッチでしっかり伸ばしてほぐしましょう。
タオルを使った僧帽筋ストレッチ①のやり方
①床にあぐらをかいて座る。タオルを用意する。②肩幅より広めにタオルの両端を持ち、胸の高さで両腕を前に伸ばす。
③左手でタオルを下に引きながら、上半身を左前方に倒す。右側の肩甲骨周りを伸ばす。目線は床に向け、呼吸をしながら20~30秒間キープ。
④左側も同様に行う。
タオルを使った僧帽筋ストレッチ①のコツ
- おへそから下はしっかり固定する
- タオルがたるまないようにする
- あぐらがツラい方は、椅子に座って行ってもOK
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
5.タオルを使った僧帽筋ストレッチ②(座ったまま)
僧帽筋の柔軟性を高めるストレッチ、5つ目は「タオルを使った僧帽筋ストレッチ②(座ったまま)」です。
僧帽筋中部・下部をターゲットに伸ばすストレッチで
- 肩こりの予防・改善
- 背中の張りやコリをほぐす
- リラックス効果
などの効果が期待できます。
僧帽筋は約5kgある頭と、片腕で約3kgある腕を支えているため、凝りやすい部位です。
気持ちよく伸ばしてあげましょう!
タオルを使った僧帽筋ストレッチ②(座ったまま)
①椅子に浅めに座る。タオルを1枚用意する。②両足裏にタオルをひっかけ、タオルの両端を持つ。
③タオルを引っ張り、後ろに体重をかけて背中を丸める。目線はおへそに。肩甲骨の間を伸ばすようにする。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
タオルを使った僧帽筋ストレッチ②(座ったまま)のコツ
- 床に座った状態ですることもできます。(強度がアップします)
- 床に座って行う場合は、膝は軽く曲げるようにして長座で座って行う
- タオルを持つ位置は、カラダの柔軟性に合わせて調整する。
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う。
6.タオルを使った首のストレッチ(寝たまんま)
僧帽筋の柔軟性を高めるストレッチ、6つ目は「タオルを使った首のストレッチ(寝たまんま)」です。
僧帽筋上部と首の後ろに筋肉(板状筋)を伸ばすストレッチで「肩こり・首こりの予防・改善効果を期待できます。
首の後ろを気持ちよく伸ばしてあげましょう!
腹筋を使うので、お腹の筋肉を鍛えることもできますよ!
タオルを使った首のストレッチ(寝たまんま)のやり方
①床にタオルを敷いて仰向けになる。タオルの半分が肩より上に出るようにセットする。②両膝を立て、両手でタオルを持って頭をすっぽり包んで支える。
③両肘を閉じた状態で、タオルを引いて頭を起こし、首の後ろを伸ばす。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
タオルを使った首のストレッチ(寝たまんま)のコツ
- 首の力は抜くようにし、タオルに頭の重みを委ねることがポイント!
- 腰の負担を減らすために必ず両膝を立てるようにする
- 頭を起こすときは、目線はおへそに向ける
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う。
7.脇腹のストレッチ
僧帽筋の柔軟性を高めるストレッチ、7つ目は「脇腹のストレッチ」です。
僧帽筋中部・下部にフォーカスして伸ばすストレッチで
- 肩こりの予防・改善
- 姿勢がよくなる
- 呼吸が楽になり、リラックスできる
などの効果が期待できます。
脇腹のストレッチになりますが、背中の筋肉と僧帽筋中部・下部も伸ばすことができます。
猫背の姿勢だと、肋骨の間にある筋肉も縮こまってしまい、呼吸が浅くなりがち。
脇腹ストレッチで気持ちよく伸ばしましょう。脇腹にぜい肉がつくのを予防することも期待できますよ。
脇腹のストレッチのやり方
①脚を腰幅に開いて立つ。姿勢はまっすぐの状態 ②右手で左手首を持つ。右脚を左脚の前にクロスさせる。③息を吐きながら上半身を右に倒す。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
④反対側も同様に行う。
脇腹のストレッチのコツ
- カラダは真横に倒すようにする
- 目線を天井に向けると、伸びが深まります
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う。
8.三角のポーズ
僧帽筋の柔軟性を高めるストレッチ、8つ目は「三角のポーズ」です。
僧帽筋中部・下部や胸の筋肉がストレッチされて
- 肩こりの予防・改善
- 背中のコリの緩和
- バストアップ
などの効果が期待できます。
ヨガの代表的なポーズとして有名なポーズの一つで、「ウッティタ・トリコーナ・アーサナ」とも言います。
太もも裏の筋肉(ハムストリング)を伸ばすので、肩こり解消・バストアップだけでなく、股関節の柔軟性を高めることもできます。
また、脇腹の筋肉(腹斜筋群)を使うので、ウエスト引き締め効果も期待できますよ!
三角のポーズのやり方
①両脚を大きく開いて立つ。腕は腰に。②左脚のつま先を90度外側に開く。この時、左のかかとの延長上に右脚の土踏まずがくるようにする。
③両腕を真横に、床と平行になるように伸ばす。
④上半身を左に倒し、左手を左脚のすねに置く。
⑤右手を真上に上げる。右胸を天井に向けるようにして開く。目線は右手の指先へ。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
⑥反対側も同様に行う。
三角のポーズのコツ
- 膝を伸ばし切らないようにする。(膝を痛めるため)
- すねに置く手の位置はカラダの柔軟性に合わせて調整する(膝の上に置かないようにする)
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う。
9.バタフライ&ショルダーローテーション
僧帽筋の柔軟性を高めるストレッチ、最後の種目は「バタフライ&ショルダーローテーション」です。
僧帽筋中部・下部や胸の筋肉(大胸筋)、肩甲骨の間の筋肉(菱形筋)がストレッチされて、
- 肩こりの予防・改善
- 背中のコリの緩和
- バストアップ
などの効果が期待できます。
反動を活用してリズミカルに行う動的ストレッチです。筋肉を温め、関節の可動域を広げて動きを良くしてくれます。
凝り固まった肩周りの筋肉は血流が悪くなっている状態。
肩こり解消だけでなく、スポーツ前のウォーミングアップに行うのも良いですよ。
バタフライ&ショルダーローテーションのやり方
①両脚を腰幅に開いて立つ。背筋を伸ばす。②肩の高さで両肘を合わせる。
③肩の高さで肘を左右に開き、胸を開き、肩甲骨を寄せる。(肩甲骨の内転) ④肩の高さで両肘を合わせる。(肩甲骨の外転) ⑤両手を合わせて脇をしめる。両肘を天井に向ける。
⑥肘を真横にぐるりと下げる。そのまま肘を脇腹に寄せて、肩甲骨を寄せる。
⑦①から⑥の動作を5~10回繰り返す。
バタフライ&ショルダーローテーションのコツ
- 呼吸を止めないようにする
- ゆっくりでよいので、大きく動くようにする
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う。
【番外編】肩こり解消におすすめのストレッチポールの使い方
最後に、ストレッチポールを使った肩こり解消エクササイズを紹介します。
便利なグッズなのでぜひ活用しましょう!
1.ストレッチポールの上で胸のエクササイズ
肩こり解消におすすめのストレッチポールの使い方、1つ目は「ストレッチポールの上で胸のエクササイズ」です。
胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)を伸ばす運動です。
- 肩こりの予防・改善
- 背中のコリの緩和
- バストアップ
などの効果が期待できます。
猫背・巻き肩の姿勢が続くと、胸の筋肉が縮こまっている状態になり、肩こりの原因となります。
ストレッチポールを使って胸を開く動きでカラダを良い状態にリセットしましょう!
ストレッチポールの上で胸のエクササイズのやり方
ストレッチポールの上で胸のエクササイズのやり方
- 頭がポールからはみ出ないようにして、仰向けの状態で乗る。両膝は立てておく。
- 両手は手のひらを天井に向ける。両手・両肘を床につけながら、ゆっくりと胸の高さまで広げていく。
- ②の状態でゆっくりと呼吸をする。胸が開いていく感覚で力を抜いてリラックスする。
ストレッチポールの上で胸のエクササイズのコツ
- ポールの上に乗るときは、腰が浮かないようにする
- 足幅はカラダが安定する位置で調整する
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う。
2.ストレッチポールの上で肩甲骨エクササイズ
肩こり解消におすすめのストレッチポールの使い方、2つ目は「ストレッチポールの上で肩甲骨エクササイズ」です。
肩甲骨周りの筋肉を緩める運動です。
- 肩こりの予防・改善
- 背中のコリの緩和
- バストアップ
などの効果が期待できます。
肩甲骨は日常生活では動かす機会が少ないです。
デスクワークやパソコンやスマホを操作していると、前かがみの姿勢が続いて肩こりの原因に。
ストレッチポールを使って、肩甲骨周りの筋肉を緩めてあげましょう!
ストレッチポールの上で肩甲骨エクササイズのやり方
ストレッチポールの上で肩甲骨エクササイズのやり方
- 頭がポールからはみ出ないようにして、仰向けの状態で乗る。両膝は立てておく。
- 両腕をゆっくりと天井に向かって「前にならえ」のように上げる。
- 天井に向かって、肩が軽く引っ張られるような感覚でゆっくりと上げる。
- 肩をゆっくりと落とす。数回上下させて肩甲骨周りを緩める。
ストレッチポールの上で肩甲骨エクササイズのコツ
- 両腕を上げるときは、肩の真上にならないようにする。腰が浮いてしまうので、伸ばした腕を軽くお腹側にすると、肩甲骨にアプローチしやすいです。
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う。
まとめ
自宅や仕事の合間にできる、肩こり解消におすすめの僧帽筋ストレッチを紹介しました。
毎日継続することで僧帽筋の柔軟性をアップすることができます。
ぜひ、日常生活に取り入れていただき、毎日を快適に過ごしていただけたらと思います。