筋トレで効率良く筋肉を付けるために、タンパク質を意識的に摂取している方は多いでしょう。
確かに、タンパク質は筋肉の材料となるため、筋肉の合成や維持には欠かせない栄養素です。
しかし、必要以上に摂取してしまうと体の不調の原因になってしまうことも。
そこで今回は、タンパク質の過剰摂取によるデメリットについて、管理栄養士が解説していきます。
- 磯村望
- 管理栄養士
タンパク質は1日にどれくらい食べたら良いの?
そもそも、タンパク質が1日にどれくらい必要なのかご存知ですか?
厚生労働省が策定している「日本人の食事摂取基準2020」では、1歳以上の全ての男女について、タンパク質維持必要量を0.66g/体重kg/日と設定しています。
例えば、体重が50kgの人の場合は50kg × 0.66g = 33g が1日に最低限必要な量です。
仮に1日の食事内容が以下の内容であった場合(カッコ内は大体のタンパク質量)、
朝食 | トースト6枚切り1枚(6g)、目玉焼き(6g)、サラダ、コーヒー牛乳(4g) |
---|---|
昼食 | ボロネーゼパスタ(30g)、サラダ |
間食 | クッキー2枚(1g) |
夕食 | ご飯150g(3g)、魚1切れ(15g)、豆腐の味噌汁(3g)、野菜の小鉢 |
※大雑把に計算しています
合計で68gと、必要量は十分に充足します。
また、「平成29年度の国民健康栄養調査」によると、平均的な日本人のタンパク質摂取量は男性で70g以上、女性で60g以上摂取しており、こちらを参考にしても必要量は十分に充足しています。
ただし、必要量には活動量が加味されていないので、一般的には体重×0.8~1.0g、筋トレやスポーツをされている人は体重×1.2~1.7gを1日の目標量とするのが良いでしょう。
筋トレ中に必要なタンパク質の量については、別記事「筋トレ中に必要なタンパク質の量は何グラム?」で解説しているので参考にしてください。
タンパク質を摂りすぎるとどうなる?デメリットはあるの?
筋肉の維持や、免疫などに必要なタンパク質ですが、摂りすぎることによるデメリットもあります。
1.カロリーオーバーで太る
タンパク質にも4kcal/gとカロリーはありますので、過剰摂取で太ることがあります。
筋肉や臓器、免疫に使われる抗体などの素となるタンパク質ですが、たくさん摂れば摂るほど使用されるわけではありません。
中高年以上の人の場合では、1食当たり30gが有効利用できるタンパク質の量とされており、それ以上に摂取した分は脂肪へと変わり体内に蓄積されることが知られています。
なるべく筋肉量だけ増量するためにも、タンパク質の摂取は適量を意識しましょう。
2.腸内環境の悪化
動物性タンパク質など、吸収仕切れなかったタンパク質は悪玉の腸内細菌の餌となるため、腸内環境の乱れを引き起こします。
また、タンパク質の摂取量を増やすと炭水化物の摂取量が必然的に減るので、腸内細菌の餌が減ってしまうことでも、腸内環境は乱れやすくなります。
腸内環境が悪くなると、便秘や下痢の原因となったり、炎症を起こしたりと様々な不調を引き起こします。
タンパク質の摂取しすぎには注意しながら、炭水化物も積極的に摂取することが必要です。
3.内臓に負担がかかる
タンパク質の代謝は主に肝臓で行われます。
そして、代謝されて出てきた老廃物を腎臓が処理して、尿中に排泄します。そのため、タンパク質の過剰摂取は肝臓や腎臓に負担がかかります。
特に腎臓の血管は細いので傷つきやすいです。持病がある方はタンパク質の摂取量を医師や管理栄養士から制限されている場合があります。
その場合は、上記の目標量は当てはまりませんので、医療従事者の指示に従うようにしてください。
Q:タンパク質を摂りすぎたらどうすれば良いの?
過剰摂取した日が1日あったからといって、すぐに肝臓や腎臓にダメージを与えるわけではありません。
慢性的な過剰摂取を避け、摂取しすぎた場合は翌日以降、普段通りの適量摂取を心がければ大丈夫です。
摂取しすぎる日の頻度は多くならないように意識してください。
理想的なタンパク質の摂り方とおすすめメニュー
1回の食事で有効利用できるタンパク質の量は限られています。
1食で1日の目標量を摂取しても多くが脂肪となってしまいますので、1日3食で分割して摂りましょう。
また、3食で他の食品と組み合わせて食べることで、栄養バランスも整いやすくなり、便秘予防やタンパク質の代謝効率の向上に繋がります。
どのように1日でタンパク質を摂取すれば良いか、メニューと合わせて具体的に紹介します。
※()内は大体のタンパク質量を大雑把に記載しています。
1.朝ごはんメニュー
- 納豆卵かけご飯(15g)>>ご飯150g/納豆1パック/卵1個
スポーツやトレーニングをしている方は、上記に豆腐の入った味噌汁やヨーグルトを追加したり、忙しい日は全粒粉のトーストや玄米のおにぎり+プロテインで簡単に摂取することもできます。
目標量が体重×0.8~1.0gの人は、上記のままでも大丈夫です。
2.お昼ごはんメニュー
- おにぎり1個(4g)
- サラダチキン(20~25g)
- サラダ
お昼ごはんはコンビニで購入できるメニューを紹介しました。
コンビニで購入される場合は、表示を見ながら1日の目標量÷3gが摂れるように選択すると良いでしょう。
丼やパスタなどでも30g近く摂取することができますが、高カロリーとなっています。カロリーとのバランスも見ながら、選ぶようにしてください。
また、筋トレにおすすめのサラダチキンを使ったレシピなどを「サラダチキンがダイエットや筋トレに効果的な理由とは?」で解説しているので参考にしてください。
3.晩ごはんメニュー
- ごはん150g(3g)
- 魚又は肉料理(20g)
- 野菜の小鉢
- 野菜スープ
晩ご飯では、メインのおかずを食べることでしっかりタンパク質を摂取することができるので、そこまで意識する必要はないと思います。
タンパク質よりも食物繊維を意識して摂取しましょう。
カロリーや糖質の量を気にされている人は、ごはんをなくしても大丈夫です。
ご自身に必要なカロリーや糖質量に合わせて、紹介したメニューを変更してください。
タンパク質が足りていない時はプロテインも活用しよう!
先ほど紹介した1日のメニューで60g以上タンパク質を摂ることができます。
トレーニングやスポーツをされている人で目標量に満たない場合は、トレーニング後や間食にプロテインを摂取することで簡単にタンパク質補給ができます。
プロテインは吸収効率が良いタンパク質ので、特にトレーニング後におすすめです。
プロテインのおすすめは、別記事「トレーナーが選ぶプロテインのおすすめランキング!」で紹介しているので参考にしてください。
また、間食でタンパク質を補給する場合はプロテインバーを活用することもおすすめ。おやつ感覚で美味しくタンパク質を摂取できます。
まとめ
1日に必要なタンパク質量は、活動量や体格により異なります。
慢性的な過剰摂取は様々なデメリットがあるので、ご自身に必要な量に適した量を摂取してください。
足りない場合は簡単に補給することができますので、この記事を参考に適量摂取を心がけましょう。
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