筋肉を増やして身体をデカくする「バルクアップ」のやり方について解説します。
単に太るのではなく、筋肉を肥大させて男らしい身体を目指すのがバルクアップ。
この記事では、
- バルクアップする仕組み
- バルクアップに効果的な筋トレメニュー
- バルクアップのための食事法
この記事を書いた人
林ケイスケ
uFit代表トレーナー
Youtubeチャンネル登録20万越え。自重トレーニングのメニューをはじめ、筋トレやダイエットの知識について執筆。フィットネスを通じて健康に目を向けてもらえるようトレーニング動画や記事を発信しています。
バルクアップとは
バルクアップとは、一言でいえば「筋肉を大きくして身体全体を大きくすること」です。
筋肉を構成する筋繊維が太く成長し、筋繊維の数が増えることで筋肉自体が太くなっていくことを指しています。
それに対して筋トレ直後に筋肉が膨らんで見えることを「パンプアップ」と言いますよね。
実は筋肉の重さの7割ほどは水分によるもので、筋トレ直後に筋肉が膨らんで見えるのは筋肉内に水分や老廃物がたくさん溜まっているからです。
この筋肉内の水分が増えて筋肉が膨らんでいる状態をパンプアップと言い、バルクアップとは明確に区別されていますので、違いを理解しておきましょう。
体が大きくなる「バルクアップ」の仕組み
筋肉によって身体が大きくなるバルクアップの仕組みについて見ていきましょう。
筋繊維は次のような順番で成長して太くなっていきます。
STEP1.トレーニングで筋肉の繊維が破壊される
筋肉は細い筋繊維がロープのように束になってできており、筋トレで強い負荷をかけると細い筋繊維はブチブチと切れていきます。
筋肉の損傷が筋疲労となって体感に表れ、損傷が大きすぎる場合は炎症になって強い痛みを伴うこともあります。
STEP2.適切な栄養素を摂取して破壊された筋肉を修復
筋肉が損傷すると、筋繊維の周りについている筋サテライト細胞が刺激され、損傷部位にあらたな細胞が集まってきて修復が行われます。
この際には筋肉の材料となるアミノ酸が大量に必要となるため、血液を流れる血中アミノ酸が細胞内に取り込まれ、筋繊維として合成されていくのです。
STEP3.休息のあいだに筋線維が再生される
筋肉の修復・成長が行われるのは、筋トレを終えた後18~36時間と言われています。
筋トレ中に筋肉が成長するのではなく、筋トレ後の休息中に成長するのです。
このためバルクアップを目指すなら、筋トレと同じくらい休息が重要であることを覚えておきましょう。
バルクアップの増量ペースの目安
バルクアップで筋肉量を増やしていくペースは、おおよそ「1か月に1.5〜2kg」と考えましょう。
これは体重ではなく、骨格筋量(運動により発達できる筋肉量のこと)の増加ペースです。
一般的に筋トレ初心者ほど伸びしろが大きいため一気に筋肉を増やすことができ、筋トレ歴が長くなるほど筋肉を増やすのは難しくなります。
1か月に1.5〜2kg以上の増加は体脂肪や水分によるものと考えたほうが良いでしょう。
バルクアップを成功させる筋トレの5つのポイント
筋トレでバルクアップを成功させるには、中途半端な筋トレではいけません。
確実に筋肉を肥大させるために、以下のポイントをしっかりと意識して行いましょう。
1.総負荷量を上げる
総負荷量とは「トレーニングの強度(重量)×回数×セット数」で算出されます。
重量を増やすか回数を増やすかでこれを漸進的に上げることが筋肥大に効果的であり、同じ負荷で筋トレし続けていても筋肉は成長しません。
週単位で前の週より総負荷量を高め続けることを目標とし、少しづつでも成長を実感し続けましょう。
目安としては回数を「8回3セット」に固定し、重量を少しづつ上げ続けるのが最も簡単なやり方です。
2.鍛える筋肉を意識する&大きく動かす
筋トレには「意識性の法則」があり、今どこの筋肉を鍛えているのかをしっかり意識して行うことで、効果は何倍も変わってきます。
また筋肉の可動域を目一杯使うことで負荷を高めることができ、筋力だけでなく柔軟性を高める効果もあります。
一回一回の筋トレを無駄にせず、最大の効果を得られるように意識して行いましょう。
3.オールアウト(限界)まで追い込む
筋肉は限界を感じることではじめて成長するため、余力を残して筋トレを終えてしまってはバルクアップは望めません。
筋トレの強度を妥協せず、最後の最後まで力をふり絞ることで、効率的なバルクアップが可能となるのです。
具体的には以下の順番で追い込めるとベストです。
- 最も重い重量でメインセットを行う
- 重量を下げながら2~3セットを行う
- 最終的には自重だけでも10回ギリギリになるくらいまで追い込む
4.休憩時間は2分以上が目安
メインセットを「8回3セット」と決めた場合、セット間の休憩は2~3分ほどが望ましいです。
例えば持久力アップのメニューであれば、セット間休憩を1分以内に制限する方法もありますが、バルクアップを目指す場合はセット間休憩を十分にとり、毎セット全力を出せるように調整します。
休憩は長すぎてもダレてしまうので、前セットの疲労を回復しつつ身体が冷えない2~3分がベストです。
5.頻度は週3〜4がベスト
本気のバルクアップを目指すのであれば、筋トレは週に3~4日は行うようにしましょう。
中1日で休息日を挟みながら行うのが疲れも取れていて最適な頻度です。
多くの部位を鍛える人は1日毎に部位を分割して週5〜6行く方法もおすすめです。
【参考】筋トレに最適な時間帯と頻度を解説
バルクアップに最適な筋トレメニュー3選
バルクアップに有効な代表的筋トレメニューを紹介します。
もっとも基本となるのは「BIG3」と呼ばれるスクワット・ベンチプレス・デッドリフトで、この3種目だけでほぼ全身を鍛えることができます。(参考:筋トレBIG3のやり方。)
初心者のうちは中一日でBIG3をやり込むだけでも、身体はみるみる大きくなっていきますよ!
1.スクワット
スクワットは「キング・オブ・エクササイズ」と呼ばれるほど、全ての筋トレの基本となる種目です。
スクワットは下半身の筋トレと思われがちですが、バーベルを担いだまま腰が丸まらないように耐えることで体幹も強く鍛えられる非常に有効なトレーニングです。
背中にバーベルを担いで重量の調整ができるので、非常に強い負荷を全身にかけられるのが特徴。
普段は自宅で筋トレしていても、バーベルスクワットのためだけにジムに通う人もいるほどです。
- 脚を肩幅程度に開きバーベルを背中に担ぐ
- バーベルをラックオフしてお尻を後ろに突き出すようにしゃがむ
- 腰が丸まらないようにゆっくり立ち上がる
- しゃがむ前に息を吸い込んで腹圧をかける
- 膝でなく股関節で上げる意識を持つ
2.ベンチプレス
ベンチプレスは筋トレ初心者の方にもよく知られているトレーニングで、上半身前側の筋肉を一気に鍛えることができます。
バーベルを扱う基本を覚えるためにもまず最初にやるべき種目で、筋トレをする全ての人におすすめできます。
最も重量を上げやすいトレーニングでもありますので、まずは高重量のベンチプレスに挑戦して身体の基礎を作りましょう!
- フラットベンチで仰向けになる
- 手幅は肩幅より広めにバーベルを握る
- バーベルを胸まで下ろし、脚を踏ん張って持ち上げる
- バーが顎の上に来る位置でセットする
- 肩甲骨を寄せて肩を固定する
- 脚を踏ん張って背中をベンチに押し付ける
【参考】大胸筋をダンベル&自重で鍛える筋トレメニュー14選!
3.デッドリフト
デッドリフトはバーベルを使った最強の背筋トレーニングです。
背筋群すべてと大臀筋、ハムストリングスなどをまとめて鍛えられ、全身に大きな負荷をかけて細かい筋肉まで刺激されます。
バーベル筋トレをはじめるならまず覚えたい種目で、背筋トレーニングとしても最優先となるでしょう!
- バーベルを床に置きバーの下に足を入れて立つ
- 両手でバーを握り足で床を押し込むように持ち上げる
- バーが膝まで上がったら股関節を使って上半身を持ち上げる
- 逆の順番でゆっくりと下ろす
- 腹筋に力を入れて絶対腰を丸めない
- バーは身体に沿うように持ち上げていく
バルクアップする食事の5つのポイント
バルクアップは筋トレだけでなく、食事の面も非常に重要です。いくら筋トレをしても、身体を成長させる材料がなければ筋肉はできません。
身体の材料となる栄養素を摂取するのに重要なポイントを確認しましょう。
1.必要な摂取カロリーを算出する
バルクアップの食事で何より大切なのは「摂取カロリー>消費カロリー」にすることです。摂取カロリーが消費カロリーを上回っていないと、太るどころか痩せてしまいます。
バルクアップに必要な摂取カロリーの目安は「約3000Kcal/日」です。もっと具体的に摂取カロリー数を知りたい方は、バルクアップ・カロリー計算ツールをご利用ください。
- Ageに自分の年齢を入力する
- Genderで性別を選択する(男→Male)
- Weightに(Kilosを選択して)体重を入力する
- Heightに(CMsを選択して)身長を入力する
- Meals per dayで1日の食事回数を選択する
- Calculateのボタンを押す
2.PFCバランスを考えた食事を送る
PFCバランスとは、人間の三大栄養素「タンパク質・脂質・炭水化物」のバランスを表したものです。
バルクアップ中のPFCバランスは以下を参考に高たんぱく質な食事を心がけましょう。
- P(タンパク質):30%
- F(脂質):20〜30%
- C(炭水化物):40〜50%
摂取カロリーをクリアした上でPFCバランスを意識し、全ての栄養素をバランス良く摂取することを心がけましょう。
【参考】筋トレ中に必要なタンパク質の量の目安を管理栄養士が紹介
3.筋トレ後の24時間が栄養摂取のゴールデンタイム
筋トレで筋繊維が破壊されると、全身の様々なホルモンの働きによって身体は栄養を吸収しやすい状態になります。
筋トレの強度にもよりますが、この栄養を吸収しやすい状態は24時間程度続くと言われています。
一般的に言う「筋トレ後30分のゴールデンタイム」はプロテインで素早く栄養を吸収しつつ、筋トレした日の食事もしっかり摂るのがおすすめです。
4.バルクアップ時のおすすめ食材
バルクアップで優先的に摂りたい栄養素を兼ね備えた食事は、例えば以下のようなものがあります。- サラダチキン
- サバの水煮缶
- ツナ缶
- 牛丼
- 豚キムチ丼
- オムライス
- 鍋料理
上記はタンパク質・脂質・炭水化物がバランス良くとれる食事なので、栄養補給に最適です。
【参考】低脂質で高タンパク質なコンビニ食品を管理栄養士が厳選!
5.バルクアップに効果的なサプリメント
バルクアップに役立つサプリメントは以下などがあります。- プロテイン:タンパク質の塊。何よりも優先度が高い。
- BCAA・EAA:アミノ酸。筋トレ中の筋肉の分解を防ぎ合成を促進。
- HMB:筋肉の合成を促すため、BCAAを飲んだ上で摂取できると良い。
- ビタミンC:体調の維持に欠かせない。
- 乳酸菌飲料:効率的な栄養補給をサポートする。
- クレアチン:筋トレ時のエネルギーの持続効果がある。
- カーボドリンク:炭水化物を凝縮した飲み物。増量したい人向け。
この中でもプロテインとBCAAは重要度が高いので、現在何もサプリメントを摂取していない人はおすすめです。
バルクアップの進捗状況や体調をモニターし、効果的なサプリメントを選んでいきましょう。
バルクアップの3つの種類
バルクアップと一口に言っても、実は3つの種類があります。
筋トレの目的やライフスタイルを考慮し、自分に最適な方法を選んでみましょう。
1.ダーティーバルク
ダーティーバルクとは「ダーティー=汚い」という意味で、ジャンクフードやスイーツなどハイカロリー食品を大量に摂取し、とにかくオーバーカロリーの状態をキープして身体を大きくするバルクアップ方法。
筋肉を増やすには摂取カロリー>消費カロリーが最も基本的で、ある程度太ることを覚悟して最短で身体を大きくする方法です。カロリー計算を細かく調整する必要がないというメリットもあります。
初心者やガリガリ体型の方が身体をデカくするには最も簡単ですが、健康的とは言い難いので年齢が若い方限定の方法とも言えます。
ダーティバルクについて詳しくは「ダーティーバルクの正しいやり方」で解説しているので参考にしてください。
2.クリーンバルク
クリーンバルクはダーティーバルクと違い、綺麗な食事を摂取するバルクアップ方法です。
カロリーオーバー状態をキープするのは同じですが、食べる食材は加工されていない肉・魚・卵・野菜など健康的な食材とし、最も正統派なバルクアップ方法とも言えます。
健康的かつ筋肉も増やしやすいので万人におすすめですが、健康的な食材を大量に食べるには食費がかさみがちというデメリットもあります。
クリーンバルクについて詳しくは「クリーンバルクの正しいやり方」で解説しているので参考にしてください。
3.リーンバルク
リーンバルクは「脂肪を増やさず筋肉だけを増やす」ことを目指す、最も理想的なバルクアップ方法です。
言うだけなら簡単ですが実行するのは非常に難しく、クリーンバルクに加えて厳格なカロリー管理が必須になります。
カロリーオーバーし過ぎれば脂肪も増えてしまい、カロリーが足りなければ筋肉は増えません。
トップレベルのボディビルダーなどが実践する方法で初心者にはハードルが高いですが、最終的にはぜひ身につけたいスキルですね。
リーンバルクについて詳しくは「リーンバルクのの正しいやり方」で解説しているので参考にしてください。
まとめ
筋肉で身体をデカくするバルクアップの方法についてまとめてきました。
男に生まれたからには筋肉質のかっこいい身体を目指すのは本能であり、「デカい!」と言われたい欲求は誰にでもありますよね。
この記事で紹介した方法を実践し、バルクアップへの第一歩を踏み出しましょう!
【参考】肩の筋トレをしたい人はこちら!
【参考】間食におすすめのナッツを紹介