ベントオーバーローとは
ベントオーバーローとは、バーベルを床方面から重力に逆らうようにしてお腹に引き上げるトレーニング。背中を鍛える代表的なトレーニングの1つです。
バーベルを基本としますが、ダンベル・スミスマシン・チューブなど器具のバリエーションも豊富なので、筋トレ初心者の方〜上級者の方までレベルに合った器具を選ぶことで効果的に行うことができます。
また、筋トレBIG3と言われるトレーニングの1つである「デッドリフト」は全身の力を使ってバーベルを引き上げますが、ベントオーバーローは下半身の力は使わず背中の力で引き上げるため、ピンポイントで背中だけを鍛えることができるのがベントオーバーローの特徴です。
ベントオーバーローの効果・メリット
ベントオーバーローを日頃の筋トレに取り入れることで得られる効果を紹介します。
1.厚みのある背中が手に入る
上半身を前かがみにした状態で背筋を伸ばしたまま行うベントーオーバーロウは、腰の筋肉や背中の内側にある筋肉の関与が大きいトレーニングです。
体重半分の重さをキレイなフォームで10回✕3セット行える筋力レベルになると、背中に厚みが出てきます。
背中に厚みを出したい方は、ぜひベントオーバーローを取り入れてみましょう。
2.姿勢が良くなり猫背改善
背中の筋肉は「抗重力筋」と言われており、デスクワークや筋力の衰えによる猫背を改善する効果が期待できます。
ベントオーバーローは腰の筋肉の緊張状態を維持したまま行なうため、キレイな姿勢を保てるようになりたい方にもおすすめです。
ベントオーバーローで鍛えられる筋肉部位
ベントオーバーローで鍛えることができる筋肉を紹介します。
トレーニングの際は、以下で紹介する筋肉の動きを意識しながら行いましょう!
1.広背筋
「広背筋」は二の腕から骨盤にかけて付着している筋肉です。
鍛えることで、「広い背中」「厚みのある背中」を作ることができます。
主な機能としては歩く・走る際の腕振りや、モノを引っ張る・持ち上げるなどの引く動作に作用する筋肉です。
広背筋を鍛える方法については「広背筋の筋トレメニュー」で紹介しているので参考にしてください。
2.僧帽筋
「僧帽筋」は首から肩にかけてひし形状に付着している筋肉です。
大きな筋肉で、首が上部・肩が中部・肩甲骨周りが下部の3パートに分かれています。
ベントオーバーローでは、肩甲骨を内側に寄せることで僧帽筋の下部を鍛えることができます。
僧帽筋を鍛える筋肉については「僧帽筋の筋トレメニュー10選」で紹介しているので参考にしてください。
3.脊柱起立筋群
「脊柱起立筋群」は首から骨盤にかけて背骨の両サイドに付着しており、「最長筋」「腸肋筋」「棘筋」の3つの筋肉からなる総称。
背筋を伸ばす・姿勢を維持・イスから立ち上がるなど・カラダを起こす際に作用します。
ベントオーバーローでは常に脊柱起立筋群の収縮を維持する必要があるので、重量が扱えるようになるほど腰回りの筋肉の輪郭がハッキリしてきます。
脊柱起立筋を鍛える筋肉については「脊柱起立筋を鍛える筋トレ」で紹介しているので参考にしてください。
4.上腕二頭筋
「上腕二頭筋」は肩から前腕にかけて付着している力こぶをカタチ作る筋肉です。
肘を曲げる、手のひらを外側に向けるなどモノを持ち上げる際に作用します。
ベントオーバーローでは、広背筋・僧帽筋の補助として力を発揮します。
上腕二頭筋を鍛える方法については「上腕二頭筋の筋トレメニュー15選」で紹介しているので参考にしてください。
ベントオーバーローのやり方
「マシントレーニング」ではなく「フリーウェイトトレーニング」であるベントオーバーローは安定性が低いため、フォーム次第で効果に雲泥の差が生まれます。
ベントオーバーローの正しいやり方を習得して効果的に背中の筋肉を鍛えましょう。
ベントオーバーローの正しいやり方
- 肩幅でバーベルを握り、床から持ち上げ、立ち上がる
- 膝を軽く曲げて、背筋を伸ばしたまま上半身をお辞儀するように倒す
- バーを膝のお皿の下にセットする
- みぞおちとおヘソの間に向けてバーを引く
- ゆっくりバーを降ろして、3の位置に戻す
ベントオーバーローの注意点
- 腰が丸まらないようにする
- 肩がすくまないようにする
- 肘が開かないようにする
- 反動は使わない
ベントオーバーローのコツ
- 太もも裏がつっぱる位置まで上半身を倒す
- カカト重心
- 息を吐きながら引く
- 膝は床と垂直〜拳1つ分前の位置で行う
ベントオーバーローの回数や頻度の目安
これからはじめる!筋トレ初心者の方
- 基本的な10回✕3セット (体重の1/3以下の重さから始めましょう)
- 重さ:体重の1/3以下の重さ (初めての方は10kgのEZバーや5kg以下のダンベルがおすすめ)
- 回数:10回
- セット数:3セット
- 休憩時間:60秒
厚みのある筋肉質な背中を作りたい方
- 中強度で8~10回✕3セット (1セット目で12〜15回できる重さにする)
- 重さ:体重の1/2以上の重さ
- 回数:8~10回
- セット数:3セット
- 休憩時間:60秒
ベントオーバーローの正しい重量設定
ベントオーバーローの正しい重量設定について解説します。
ベントオーバーローは前傾姿勢をキープしたまま、反動を使わずにバーを身体に引き寄せる必要があるので、無理しない程度の重量が効果的です。
重量と回数 | |||
性別 | 初心者 | 中級者 | 上級者 |
男性 | 体重 × 0.5kg 10回 3セット |
体重 × 1kg 8回 3セット |
体重 × 1.5kg 8回 4セット |
女性 | 体重 × 0.25kg 10回 3セット |
体重 × 0.65kg 8回 3セット |
体重 × 0.9kg 8回 4セット |
インターバルは1分~2分程度とし、息を整えてトレーニングすると集中できますよ!
目安の重量でも厳しいときは、無理せず重量を下げてけがを予防しましょう。
ベントオーバーローのグリップ(握り方)による効果の違い
ベントオーバーローにおける、グリップ(握り方)による効果の違いを紹介します。
目的に合わせて最適なグリップでトレーニングを行いましょう。
1.オーバーハンドグリップ(順手)
手の甲が正面を向いた握り方。
肩甲骨を内側に寄せやすくなり、僧帽筋に効かせやすくなります。
また、広背筋の収縮を強調する効果もあるので、背中の厚みを出したい方におすすめの握り方です。
2.リバースグリップ(逆手)
手のひらが正面を向いた握り方。
別名「アンダーグリップ」とも呼ばれています。
上腕二頭筋の関与が大きくなるので重量を扱いやすいのが特徴。
また、手幅を広げると扱える重量は下がりますが、広背筋に効かせやすくなります。
広背筋が伸ばされるので、背中を広くしたい方におすすめです。
3.パラレル
手のひらが体の内側に向けた握り方です。
ダンベル、チューブを用いたベントオーバーローの握り方となります。
背中の筋肉の強い収縮感を得やすいのが特徴。
上腕二頭筋の関与が少なく、背中に効かせることができます。
【器具別】ベントオーバーローのバリエーション
バーバル以外の器具を用いて行うベントオーバーローをご紹介します。
「バーベルだと効果を感じにくい」「腕が疲れてしまう」そんな悩みをお持ちの方も効果を実感できるはずです。
1.スミスマシン・ベントオーバーロー
軌道が固定さていて、バーバルをフックで引っ掛けることができるスミスマシンは安全性が高いトレーニング器具です。
筋トレを始めたばかりでフリーウェイトエリアを利用したことなく、パワーラックを敬遠している方にも扱いやすいので初心者の方でも簡単に取り扱うことができます。
スミスマシン・ベントオーバーローのやり方
- バーを一番下の高さにセットする
- 重りを付ける
- 肩幅でバーベルを握り、持ち上げる
- 膝を軽く曲げて、背筋を伸ばしたまま上半身をお辞儀するように倒す
- バーを膝のお皿の下にセットする
- みぞおちとおヘソの間に向けてバーを引く
- ゆっくりバーを降ろして、5の位置に戻す
スミスマシン・ベントオーバーローの注意点
- スミスマシンは軌道が固定されているので、最初は立ち位置を調整する
- トレーニング中にベーベルのフックが引っかからないよう手首は動かさない
- 高さが必要な場合はステップ台を利用する
スミスマシンを使ったトレーニングについては、以下で紹介しているので参考にしてください。
【参考】スミスマシンデッドリフトのやり方
【参考】スミスマシンを使ったスクワットのやり方
2.ダンベル・ベントオーバーロー
ダンベルの一番の魅力は動きの自由度の高さです。
軌道を少し変えるだけで効かせられる部位も変わるので、バリエーションも無限大にあります。
しかし、逆に動きが自由だからこそ同じ軌道で繰り返し行える再現性が必要です。
やり方と注意点を理解して行ないましょう。
ダンベル・ベントオーバーローのやり方
- 肩幅でダンベルを握り、床から持ち上げ、立ち上がる
- 膝を軽く曲げて、背筋を伸ばしたまま上半身をお辞儀するように倒す
- ダンベルを膝のお皿の下にセットする
- 背中の後ろで両肘をくっつけるようにダンベルを引き上げる
- ゆっくりダンベルを下ろして、3の位置に戻す
ダンベル・ベントオーバーローの注意点
- 手幅がブレやすいので、毎回同じ軌道を意識する
- 手首の向きもブレやすいので、親指を正面に向けるよう意識する
ダンベルを使った背中のトレーニングについては「背中の筋肉を鍛えるダンベルトレーニング10選!」で紹介しているので参考にしてください。
3.チューブ・ベントオーバーロー
チューブはすべての器具の中で一番低負荷なトレーニング器具です。
ジムにいけない方でも自宅でトレーニングができますし、コンパクトなので持ち運びもできます。
背中の筋肉が伸縮する感覚を養いたい方、これからトレーニングを始める方におすすめのトレーニング器具です。
チューブ・ベントオーバーローのやり方
- 足を腰幅に開き、両足でチューブを踏む
- 左右均等な長さでチューブを握る
- チューブを握ったまま直立になる
- 膝を軽く曲げて、背筋を伸ばしたまま上半身をお辞儀するように倒す
- チューブを握った手を膝のお皿の下にセットする
- 背中の後ろで両肘をくっつけるようにチューブを引き上げる
- ゆっくりチューブを下ろして、5の位置に戻す
チューブ・ベントオーバーローの注意点
- 負荷を感じない、弱い場合はチューブを短くして握る
- チューブに硬さよって負荷(伸縮性)が変わるので、目的にあった強度を選ぶ
背中の広背筋を鍛えるチューブトレーニングを「広背筋を鍛えるチューブトレーニング6選」で紹介しているので参考にしてください。
まとめ
ラットプルダウンのようなマシントレーニングではなく、フリーウェイトトレーニングであるラットプルダウンは不安定であるが故に正しいフォームが何より重要です。
そして、正しいフォームで回数をこなすためには自分の筋力レベルにあった重量で行うことも重要となります。
雑なフォームや重すぎる重量で100回やっても効果が出ないだけでなく、ケガを誘発してしまいます。
今回紹介したフォームのポイントや器具別のバリエーションを参考にして、理想の背中を手に入れましょう。