鍛えるべき大胸筋の構造
筋トレをする時は「どの筋肉を鍛えているのか」を意識するとトレーニング効果がアップします。
大胸筋は3つの大きな筋肉によって構成されているので、3つの筋肉の役割や構造を理解しておきましょう。
①「大胸筋上部」を鍛えて、厚みのある胸板に
大胸筋上部は腕を斜め上に押し上げる役割を持っています。
例えば、「万歳!」と両手を頭上に掲げる時や高い棚の物を取ろうとして背伸びをする時に活躍。
普段何気なく行っている動作ですが、シャツを着る時や髪をとかす時など、日常生活の様々な場面で大胆筋上部は重要な役割を果たしています。
②「大胸筋中部」を鍛えて、ボリューミーな胸板に
大胸筋中部は腕を真上に押し上げる役割を持っています。
例えば、両腕を横に広げた状態から、胸の前で手を合わせるような動きをイメージしてください。
イメージしている動作で最も活躍するのが大胸筋中部です。
日常生活では、物を抱きしめる動作やテニスのフォアハンド、野球のバッティングなどで使われる重要な部分です。
【参考】大胸筋中部に効かせるチェストプレスの正しいやり方!
【参考】ベンチプレスの正しいフォームとは
③「大胸筋下部」を鍛えて、メリハリのある胸板に
大胸筋の下部は「腕を斜め下方向に押し出す」役割を持っています。
例えば、椅子の肘掛けを使って体を持ち上げる時や床に手をついて立ち上がる時に大活躍します。
特に体を支える動作で必要な筋肉なので、日常生活の動作をサポートする上で欠かせない部分です。
自宅でできる大胸筋の自重トレーニング8選
ここからは自宅でできる自重の大胸筋トレーニングを紹介していきます。
動画を見ながら正しいフォームを身につけましょう!
3分間通してやっている動画を見て、一緒に体を動かしてみてください。
1. ノーマルプッシュアップ
厚い胸板を作る最も基本的な筋トレの「ノーマルプッシュアップ(腕立て伏せ)」。
シンプルな筋トレですが、実は基本的なプッシュアップができていない人も多いんです。
特に、手をつく位置が重要。肩の横に置いている人が多いですが、大胸筋を鍛えるためには肩が45度くらいになるように、手を下の方につくのが効果的です。
まずは自宅でノーマルプッシュアップが完璧にできるまで繰り返し行いましょう。
ノーマルプッシュアップの正しいやり方
- 肩幅より少し外に開いて、肩が45度になるように手をつく
- 頭からかかとまで身体を一直線にする
- 息を吐きながらゆっくりと下げる
- 息を吸いながらゆっくりと上げる
- 3~4の動作を繰り返す
ノーマルプッシュアップのコツ
- 肩の真横に手をつかずに、45度くらいになるようにする
- 体を一直線にキープする
- 胸は開くように意識する
- 目線はやや前を見る
2. ワイドプッシュアップ
ノーマルプッシュアップよりも広い肩幅で行う「ワイドプッシュアップ」。
手幅が広い分、大きく胸筋を動かせるのが特徴的で、より強い負荷を大胸筋に与えることができます。
ノーマルプッシュアップの時よりも負荷が強く、肘が外側に開いてフォームが崩れやすいので注意しましょう。
ワイドプッシュアップの正しいやり方
- ノーマルプッシュアップよりも手のひら1.5個分開いて手をつく
- 頭からかかとまで身体を一直線にする
- 息を吐きながらゆっくりと下げる
- 息を吸いながらゆっくりと上げる
- 3~4の動作を繰り返す
ワイドプッシュアップのコツ
- 肘が外に広がらないように注意する
- 身体をまっすぐキープする
3. ショルダータップ・プッシュアップ
ノーマルプッシュアップの動作の中に片手で肩をタッチする動作を加えたトレーニングが「ショルダータップ・プッシュアップ」。
肩をタップする際に身体のバランスをキープする必要があるため、体幹も鍛えることができます。
姿勢が崩れやすいので、身体を一直線に保つよう意識してトレーニングしましょう。
ショルダータップ・プッシュアップの正しいやり方
- ノーマルプッシュアップと同じように構える
- 息を吐きながらゆっくりと下げる
- 息を吸いながらゆっくりと上げる
- 右手で左肩をタップする
- 息を吐きながらゆっくりと下げる
- 息を吸いながらゆっくりと上げる
- 左手で右肩をタップする
- 2~7の動作を繰り返す
ショルダータップ・プッシュアップのコツ
- 肩をタップする際に身体が傾かないようにする
- バランスが取れない方は足を少し広げるか、膝をついてもOK
4. ヒンズープッシュアップ(ダイブボンバー・プッシュアップ)
身体を大きく動かすプッシュアップの「ヒンズープッシュアップ」。
大胸筋や上腕三頭筋だけでなく、お腹の筋肉も使うので腹筋を同時に鍛えることが可能です。
ヒンズープッシュアップは、身体を下げる時と身体を戻す時は同じ軌道で行うのがコツ。
疲れてくると体を戻す時に軌道が崩れやすいので注意しましょう。
ヒンズープッシュアップの正しいやり方
- 両手を前に伸ばし、お尻を上げて「へ」の字を作る
- 棒の下をくぐるように、身体を床ギリギリまで下げる
- 身体を下げた時と同じ軌道で戻る
- 2~3の動作を繰り返す
ヒンズープッシュアップのコツ
- 身体を戻す時は身体を下げる時と同じ軌道で戻る
- できるだけ大きく動く
- 反動をつけすぎない
5. スパイダーマン・プッシュアップ
プッシュアップに足の動きを加えた「スパイダーマン・プッシュアップ」。
身体を下げながら片側の膝を肘に近づけるように動かすことで、大胸筋と腹斜筋(脇腹の筋肉)を同時に鍛えることが可能です。
腕と足を同時に動かす必要があるため、ゆっくりとした動作でトレーニングを始める前にフォームを確認してから行いましょう。
スパイダーマン・プッシュアップの正しいやり方
- ノーマルプッシュアップと同じように構える
- 身体を下げながら右膝と右肘を近づける
- 身体を上げる
- 身体を下げながら左膝と左肘を近づける
- 身体を上げる
- 2~5の動作を繰り返す
スパイダーマン・プッシュアップのコツ
- 身体の軸が一直線になるよう意識する
- 可能な限り膝と肘が近づくよう意識する
6. ニー・イン・プッシュアップ
スパイダーマンプッシュアップは足を身体の外側に動かしたのに対し、足を体の内側に動かすのが「ニー・イン・プッシュアップ」。
プッシュアップに身体を捻る動作も加わることで、大胸筋と同時に体幹の筋肉にも負荷をかけることが可能です。
ニー・イン・プッシュアップの正しいやり方
- ノーマルプッシュアップと同じように構える
- 身体を下げながら、右膝を内側に入れるよう身体を捻る
- 身体を起こす
- 身体を下げながら、右膝を内側に入れるよう身体を捻る
- 身体を起こす
- 2~5の動作を繰り返す
ニー・イン・プッシュアップのコツ
- 身体の軸が一直線になるよう意識する
- 曲げた足の太ももと床が平行になるよう意識する
7. 片腕横プッシュアップ(右)
身体を横向きにして行うトレーニングの「片腕横プッシュアップ」。
横向きで行うことで、大胸筋だけでなく三角筋や上腕三頭筋を同時に鍛えることができます。(参考:三角筋を大きくする筋トレメニュー10選)
身体を持ち上げる時は腕と胸以外の力を使わずに身体を起こすようにしましょう。
片腕横プッシュアップの正しいやり方
- 横になり身体を一直線にする
- 腕の力だけを使って体を上げる
- 身体を下げる
- 2~3の動作を繰り返す
片腕横プッシュアップのコツ
- 腕の力だけを使う
- 背筋を伸ばして胸を開く
- 身体を下げる時は肩が地面につくギリギリで止める
⑧片腕横プッシュアップ(左)
右と同じです。林 慧亮
大胸筋の自重トレーニングの負荷を上げたい方にもっともおすすめなのがプッシュアップバーです。プッシュアップバーを使うことで可動域が広がり、効果的に大胸筋を鍛えることができます。スペースを取らないので1つ持っておくと重宝しますよ。
大胸筋のストレッチ方法3選
トレーニングをやりっぱなしで、身体のケアをしていないと効率的に大胸筋を鍛えられません。
次のトレーニングで100%の力が出せるように、トレーニングが終わった後にはストレッチをして大胸筋のケアをしましょう。
また、ストレッチをすると、筋肉を早く回復させるだけでなく筋肉の構造を理解できるメリットもありますよ。
大胸筋のストレッチ方法①
ストレッチの手順
- 壁の近くに立ち(又は膝立ち)、伸ばしたい方の肘を壁に引っかける
- 肘は肩くらい位置で固定し、身体のみを前へ押し出す
- 大胸筋が伸びていることを意識して、60秒間キープする
ストレッチのコツ
- 大きく呼吸して胸を開くイメージで大胸筋を伸ばす
- 肘が肩よりも上の位置で固定すると、大胸筋下部をストレッチされる
- 肘が肩よりも下の位置で固定すると、大胸筋上部をストレッチされる
大胸筋のストレッチ方法②
ストレッチの手順
- 腕を身体の後ろ側で組む
- 大胸筋が伸びてきたら、腕を少しずつ上にあげる
- 一番大胸筋が伸びている位置で30秒キープする
ストレッチのコツ
- 腕を肩がすくんだり、背中が丸まらない位置まで上げる
- 目線は前に向ける
大胸筋のストレッチ方法③
ストレッチポールを使ったストレッチ。
ストレッチの手順
- うつ伏せになって大胸筋にストレッチポールを当てる。
- 片手は床につけて肘は90度に曲げる
- 反対の手で押してストレッチポールに体重をかけたまま、身体を左右に揺らす
- 20回ほどやったら反対の胸も同じようにやる
ストレッチのコツ
- 角度を変えてみて自分の中で痛い部分を探してコロコロする
- 力まないようにする
林 慧亮
ストレッチポールやフォームローラーは、短時間で効率よく大胸筋をほぐすのにおすすめです!大胸筋以外にも脚や背中などをストレッチできますよ!
【参考】フォームローラーのおすすめランキング7選!【参考】ストレッチポールのおすすめランキング!
まとめ
自宅でできる大胸筋の自重トレーニングについて紹介してきました。
大胸筋と言っても3つの部位に分かれていて、大胸筋の見た目を良くするにはまんべんなく鍛える必要があります。
様々なメニューで刺激の加え方を変えつつ、胸筋を鍛えていきましょう。