好きな食べ物を好きなだけ食べて最短で身体を大きくする「ダーティーバルク」。
体重を増やしやすいというメリットがある一方で、やり方を間違えると不健康になってしまったり、ただのデブになってしまうことも。。。
そこでこの記事では、
- ダーティーバルクの概要とやり方
- ダーティーバルクの具体的な食事メニュー
- ダーティーバルクに有効な筋トレ
- ダーティーバルクの注意点
を紹介。
他のバルクアップ法との違いを説明しながら、最短で筋肉量をアップしていくダーティーバルクの実践的なやり方を解説します。
*ダーティバルクと呼ばれることもありますが、この記事ではダーティーバルクと統一します。
この記事を書いた人
林慧亮
uFit代表
Youtubeチャンネル「林慧亮」は登録30万越え。自重トレーニングのメニューをはじめ、筋トレやダイエットの知識について執筆。著書に学研から出版した「30日で体を変える 超効率的自重ワークアウトプログラム」がある。
そもそもダーティバルクとは?
ダーティーバルクとは、摂取カロリーが消費カロリーを上回る「オーバーカロリー」の状態をキープし、筋トレを日々継続して身体全体を大きくするバルクアップ法のことです。
「ダーティー=汚い」という意味で、基準のタンパク質量だけ満たして食事制限をかけずに好きな食べ物を好きなだけ食べるのが特徴。炭水化物や脂質の量を気にしなくていいので、簡単にカロリーを稼ぐことができます。
オーバーカロリーを続けるので一時的に見た目は悪化し(体脂肪が増えて太って見え)ますが、身体を大きくするという意味では最短の方法。多くのアスリートやボディビルダーも実践しています。
リーンバルク・クリーンバルクとの違い
ダーティーバルクとは別にバルクアップ法で「リーンバルク」や「クリーンバルク」があります。
この2つとダーティーバルクの違いをわかりやすく説明します。
リーンバルクとは
リーンバルクは厳密なカロリー計算と食事管理によって、できる限り体脂肪をつけず筋肉だけを増やしていくバルクアップ方法です。
筋肉を増やすにはオーバーカロリーが必要ですが、オーバーしすぎると体脂肪も増えてしまいます。
「筋肉だけが増える」ギリギリのオーバーカロリーをキープするのがリーンバルクで、言うのは簡単ですが実践するのはかなり大変です。
非常に厳密な食事管理に体組成モニターが必要になるため、上級者向けの手法と言えます。
リーンバルクについて詳しくは「リーンバルクの食事管理&トレーニング法を解説」で解説しているので参考にしてください。
クリーンバルクとは
クリーンバルクはカロリー管理をしないかわりに、身体の負担となる油分や糖質をできるだけカットしたバルクアップ方法です。
オーバーカロリーの状態になるものの、余計な脂質を摂取しないためそこまで体脂肪がつかないのが特徴です。
カロリー計算がゆるいため、リーンバルクよりは簡単ですが、意識の高い食材選びが必要となるため食費がかさむデメリットがあります。
イメージとしてはリーンバルクとダーティーバルクの中間に位置するバルクアップ方法です。
クリーンバルクについて詳しくは「クリーンバルクの正しいやり方」で解説しているので参考にしてください。
ダーティーバルクの4つのメリット
ダーティーバルクの概要がわかったところで、次はダーティーバルクのメリットを順番に説明していきます。1.好きなものを好きなだけ食べられる
ダーティーバルクでは食事制限をせず、好きなものを好きなだけ食べてオーバーカロリーを目指します。
リーンバルク・クリーンバルクとは違って、食べたいものを我慢するストレスが一切ありません。
カロリーを制限して栄養のある食生活を送るには自炊が不可欠ですが、ダーティーバルクであれば自炊にこだわらずに外食も活用できます。
2.短期間で身体を大きくすることができる
ダーティーバルクでは筋肉の源となる栄養を身体に十分に摂取できるため、最短で身体を大きくできます。
いくら筋トレをしても栄養が足りないと身体は大きくなりません。
確実にオーバーカロリーをキープするダーティーバルクは、最短で筋肉量を増やせるバルクアップ方法です。
3.トレーニングの重量が伸びやすい
ダーティーバルクではオーバーカロリーで筋肉量が増えやすいので、自然とトレーニングの重量も伸びていきます。
筋トレの重量は目に見える成果として実感しやすく、重量が伸びれば筋トレが楽しくなってモチベーションも高まります。
「トレーニングの重量が伸びる=続けやすい」というのもダーティーバルクの大きなメリットです。
4.細かい数値管理をしなくて良い
リーンバルクのように厳密なカロリー計算や、クリーンバルクのような食材制限はありません。
カロリーの摂取量を増やして体重が減ってしまわないようにだけ気をつければいいので、非常に気楽でストレスのかかりにくい方法でもあるのです。
ダーティーバルクの3つのデメリット
最短で筋肉量を増やせるダーティーバルクですが、もちろんデメリットもあります。
以下のデメリットをしっかり認識し、本当に自分にあっているかをよく考えましょう。
1.脂肪が増えて減量が大変
ダーティーバルクでは筋肉と一緒に体脂肪が増えることは避けられません。
「とにかく身体を大きくしたい、脂肪もついていいから筋肉を増やしたい」人には向いていますが、最終的に体を絞っていく段階で減量が必要になります。
体脂肪を増やした分だけ減量も大変になるので、減量までやり切る覚悟が必要です。
2.健康によくない
ダーティーバルクは健康的な食生活とは言えません。
オーバーカロリーをキープする食生活は胃腸に負担をかけ、腸内環境の悪化による便秘や肌荒れのリスクもあります。
特に高脂血症や高血糖など生活習慣病のリスクがある方は、ダーティーバルクは絶対に行わないようにしましょう。
3.見た目が変わる
ダーティーバルクでは筋肉と一緒に脂肪が増えるため、増量の間は太った見た目になります。
もちろんただの肥満ではなく筋肉もついていますが、他人からは太ったと見られる場合がほとんどです。
ダーティーバルクをはじめるには、そういう時期を耐える覚悟も必要です。
ダーティーバルクがおすすめな人
ダーティーバルクのメリット・デメリットを踏まえておすすめな人はこちらです。- ガリガリ体型から脱却したい方
- トレーニングの停滞を打破したい方
- 最短で筋肉量を増やしたい方
- 体重が武器になる競技のアスリート
上記の目的がある人ならダーティーバルクで達成可能です。
ただし、ガリガリ体型の方は、そもそも胃腸が弱い可能性があるのでダーティーバルクを行う際にも消化のいい食べ方にする工夫が必要です。
また、トレーニングを続けていて停滞に陥っている方は、栄養不足の可能性があるためダーティーバルクでスランプを突破できるケースが多く、体重が武器になる競技では多くの選手がダーティーバルクを取り入れています。
ダーティーバルクの食事管理法
ダーティーバルクでの食事管理方法を解説します。
厳密なカロリー計算は必要ありませんが、目安として簡単な計算方法は覚えておきましょう。
以下の2つの点がダーティーバルクの食事のルールです。
1.摂取カロリーの目安を計算
カロリー計算には、便利なサイト「Weight Gain Calculator」を活用しましょう。
英語サイトですが、現在の体重から増やしたい目標体重を入力し、そのために必要な摂取カロリーがすぐにわかります。
アメリカのサイトなので「ヤード・ポンド法」であることに注意してください。cmからftへの変換は、Googleで「170cmは何フィート」「65kgは何ポンド」という風に検索すればすぐに分かります。
入力項目は、以下のとおりです。
- Gender:(性別)
- Age:(年齢)
- Height:(身長)
- Weight:(体重)
- Body fat:(体脂肪率)
- Daily activity:(習慣の運動量)
- Want to(減量か増量か、増量の場合は「Gain」)
- to achieve goal:(目標到達までの期間)
- Maintain Current Weight:(現在の体重維持カロリー)
- Meet Weight Goal:(目標達成のために必要なカロリー)
- Maintain New Weight:(目標達成後の維持カロリー)
- Daily Protein:(1日に取るべきタンパク質量)
- Protein for Cutting:(ダーティーバルクのためのタンパク質量)
ダーティーバルクはダイエットではないため、ここで計算される数値は「下限」となります。
摂取カロリーとタンパク質量のどちらにおいても、ここで計算した数値を上回るように食べるのがダーティーバルクです!
2.体重×2~3gのタンパク質量を確保する
ダーティーバルクは単に太るのではなく筋肉を増やすのが目的のため、タンパク質を中心に食べていきましょう。
筋肉量を増やすためのタンパク質の目安は「体重kg×2~3g」が基本。
つまり体重70kgの方なら、1日140~210gのタンパク質を1日で摂るようにしましょう。
これさえ守れば、あとは何を食べてもOKです!
ダーティーバルクにおすすめの食べ物・食事メニュー例
ダーティーバルクにおすすめの食べ物を参考までに紹介しておきます。
現状が痩せ体型の場合、筋トレよりも食事が苦痛になるため、質量が少なく消化に優しいかつハイカロリーな食材が有効になります。
おすすめの食べ物
- ・ひき肉料理⇒ハンバーグ・餃子・肉団子・鶏そぼろ丼
- ・糖質⇒ジュース、ドレッシング・パンケーキ・ホイップクリーム
- ・油脂・乳製品⇒チーズ・バター・オリーブオイル・ラード
- ・良質な脂を含んだ魚類⇒サバ・イワシ・サーモン・タラ
実際の食事メニュー例
ダーティーバルクにおける食事メニューの一例を紹介します。
肉・魚・卵で様々な食材からバランス良くタンパク質を取れるメニューとなっています。
- 【朝食
ダーティーバルク中はプロテインを飲むのがおすすめ
ダーティーバルク中に最も活用できるサプリメントがプロテインドリンクです。
オーバーカロリーを維持するダーティーバルクでは、筋トレよりも食事がキツくなるケースがあり、1日4食・5食もがっつり食べるのは厳しい人が多いと思います。
しかしプロテインなら間食やトレーニング前にカロリーとタンパク質を摂取できて、そこまでお腹に溜まらないのでとても重宝できます。
おすすめのプロテインは筋肉の材料になりやすい「ホエイプロテイン」で、基本的にホエイプロテインを選んでおけばまず間違いありません。
【参考】ホエイプロテインのおすすめ人気ランキング!
【参考】ソイプロテインのおすすめ人気ランキング
ダーティーバルクのトレーニング法
ダーティーバルク中におすすめのトレーニング方法を解説します。
ダーティーバルクはとにかく全身の筋肉量を増やしたいため、3つの種目だけで全身を鍛えられる「BIG3メニュー」がおすすめです。(参考:筋トレBIG3のやり方。)
BIG3は身体を支える大きな筋肉と、それを繋ぐ小さな筋肉もまとめて鍛えられるため、筋肉量を増やすために最適な3種目と言えます。
また、実際のトレーニングでは、BIG3をベースにそのほかの筋トレメニューを組んでいきましょう。ここではBIG3の筋トレ方法を紹介していきます。
1.スクワット
スクワットは「キング・オブ・エクササイズ」と呼ばれるほど、全ての筋トレの基本となる種目です。
大腿四頭筋・大臀筋など下半身の大きな筋肉を鍛えられることができるので、ダーティーバルクの人にはぴったり。
スクワットは下半身の筋トレと思われがちですが、バーベルを担いだまま腰が丸まらないように耐えることで体幹も強く鍛えられる非常に有効なトレーニングです。
スクワットの重量が上がると他の筋トレのパフォーマンスも上がるため是非取り組んでみてください!
スクワットの正しいやり方
- 脚を肩幅程度に開きバーベルを背中に担ぐ
- バーベルをラックオフしてお尻を後ろに突き出すようにしゃがむ
- 腰が丸まらないようにゆっくり立ち上がる
スクワットを効かせるコツ
- しゃがむ前に息を吸い込んで腹圧をかける
- 膝でなく股関節で上げる意識を持つ
2.ベンチプレス
ベンチプレスは上半身前側の筋肉を一気に鍛えることができるおすすめトレーニング。
上半身のトレーニングで最も重量を上げやすいため、高重量のベンチプレスは身体の基礎が出来上がります。
バーベルで胸筋を鍛える基本的な動きを覚えるためにも、トレーニングをする全ての人におすすめ。
大胸筋はバルクアップには欠かせない部位なので、食事で摂ったエネルギーをベンチプレスで発散させましょう。
ベンチプレスのやり方
- フラットベンチで仰向けになる
- 手幅は肩幅より広めにバーベルを握る
- バーベルを胸まで下ろし、脚を踏ん張って持ち上げる
ベンチプレスを効かせるコツ
- バーが顎の上に来る位置でセットする
- 肩甲骨を寄せて肩を固定する
- 脚を踏ん張って背中をベンチに押し付ける
3.デッドリフト
デッドリフトはバーベルを使った最強の背筋トレーニングです。
背筋群すべて・大臀筋・ハムストリングスなどをまとめて鍛えられ、全身に大きな負荷をかけて細かい筋肉まで刺激されます。
背筋は胸筋の拮抗筋(反対の筋肉)で、胸筋のバルクアップにも効果があります。
バーベルで背筋のトレーニングをするならまず覚えたい最優先メニューです!
デッドリフトの正しいやり方
- バーベルを床に置きバーの下に足を入れて立つ
- 両手でバーを握り足で床を押し込むように持ち上げる
- バーが膝まで上がったら股関節を使って上半身を持ち上げる
- 逆の順番でゆっくりと下ろす
デッドリフトを効かせるコツ
- 腹筋に力を入れて絶対腰を丸めない
- バーは身体に沿うように持ち上げていく
ダーティーバルクの3つの注意点
ダーティーバルクに取り組む際の注意点について、改めてまとめておきます。 あまり難しくないバルクアップ方法ではありますが、失敗すると身体を壊すリスクもあるので、以下の注意点を確認してください。1.筋肉の増加のスピードは限度がある
ダーティーバルクは最短で筋肉量を増やせると言っても、筋肉が増えるスピードには限界があります。
一般的には筋トレ経験の少ない初心者は伸びしろが大きいので「1ヶ月で2~3kg」、筋トレ経験の長い上級者の場合は「3ヶ月で2~3kg」が上限です。
これ以上の体重増加はほぼ体脂肪であるため、無駄な脂肪を増やしすぎないように注意しましょう。
2.脂肪が増えすぎるとテストステロン値が下がる
筋肉増加に非常に大きな影響を及ぼす男性ホルモン「テストステロン」は、体脂肪が増えすぎると減少する傾向があります。
男女で筋肉の付き方に差があるのは、テストステロンの分泌量に差があるからで、テストステロン分泌量が減ると筋肥大にも悪影響となります。
肥満の方はテストステロン値が低いことが確認されておりダーティーバルクでも太りすぎると逆に効率が悪くなるので要注意。
男性の場合、体脂肪は上限でも25%を超えないようにしましょう。
3.減量期を定期的に設ける
ダーティーバルクで筋肉を増やした後に、最終的には脂肪を落として身体を絞り込みたい場合、減量期は定期的に設けるようにしましょう。
体脂肪が増えすぎると減らすのが大変になるため、ダーティーバルクの継続期間は最長でも半年程度に留め、定期的にダイエット期間を設けたほうが健康の観点からもおすすめです。
しかし、身体の大きさがそのまま武器になる競技のアスリートの場合は例外となります。
まとめ:自分にあったバルクアップ法で筋肥大を効率よくしよう!
最短で身体を大きくする「ダーティーバルク」のやり方についてまとめてきました。
ダーティーバルクは初心者でも簡単で筋肉を増やしやすい反面、きちんとコントロールしなければ健康を害するリスクもあります。
ただ太るのではなく、筋肉を増やす方法であることを改めて確認し、一目置かれるマッチョボディを目指しましょう!