身体をデカくするバルクアップのための食事方法について解説します。
筋肉を増やすためにガムシャラに筋トレを頑張る方は多いですが、加えて食事管理を行うと筋肥大の効率はさらに高まります。
この記事では
- バルクアップする食事の基礎知識
- バルクアップに効果的な栄養素バランス
- バルクアップにおすすめの食材&食事メニュー
- 食事の回数や時間帯などのポイント
を紹介します。
正しい食事方法を実践して、筋トレのみを頑張っている人と明らかな差をつけましょう!
この記事を書いた人
村上哲也
健康管理士・サプリメントアドバイザー
人生を豊かにするダイエット指導を行う健康管理士・サプリメントアドバイザー。保有資格は「日本成人病予防協会健康管理士一般指導員」「日本ニュートリション協会公認サプリメントアドバイザー」「文部科学省後援健康管理能力検定一級」など多岐に渡る。
バルクアップの食事の基本は「摂取カロリー>消費カロリー」
バルクアップの基本は常に「摂取カロリー>消費カロリー」の状態を維持すること。
筋トレで筋肉が破壊され、回復するときに体に栄養が満ち足りている状態だと、筋肉が大きくなって修復されるのです!
そもそも運動や日常生活で消費したカロリーの方が多いのに身体が大きくなっていくわけがありませんよね。
それではカロリー計算方法の具体的なやり方を見ていきましょう。
1.摂取カロリー目安を計算する
消費カロリーより摂取カロリーが多い状態を維持するために、まず目安となるカロリーを計算をしましょう。
カロリー計算に便利なサイトである「Weight Gain Calculator」を使います。
英語サイトですが、現在の体重から増やしたい目標体重を入力すると必要な摂取カロリーがすぐにわかります。
アメリカのサイトなので「ヤード・ポンド法」であることに注意してください。cmからftへの変換は、Googleで「170cmは何フィート」「65kgは何ポンド」と検索すればすぐに分かりますよ。
入力項目は、以下のとおりです。
- Gender:(性別)
- Age:(年齢)
- Height:(身長)
- Weight:(体重)
- Body fat:(体脂肪率)
- Daily activity:(習慣の運動量)
- Want to:(減量か増量か、増量の場合は「Gain」)
- to achieve goal:(目標到達までの期間)
- Maintain Current Weight:(現在の体重維持カロリー)
- Meet Weight Goal:(目標達成のために必要なカロリー)
- Maintain New Weight:(目標達成後の維持カロリー)
- Daily Protein:(1日に取るべきタンパク質量)
- Protein for Cutting:(バルクアップのためのタンパク質量)
2.日々の摂取カロリーをアプリで管理する
必要なカロリーが計算できたら、実際に毎日食べたものを記録して計算通りになっているかを確認しましょう。
毎日の食事や体重の推移を記録するには、専用のアプリを利用すると便利です。
使い勝手の良いおすすめアプリは以下の2つ。
食事管理のおすすめアプリ
大手スポーツブランドの「アンダーアーマー」が運営するダイエットアプリです。
毎日の食事や体重の記録はもちろん、300万件以上の食事データから食べたものを選択すれば、自動的にカロリーを計算してくれるのが非常に便利ですね。食事の記録と体重のモニターができる日本製アプリでは、「あすけん」が非常に便利で人気があります。有料プランでは管理栄養士からの指導も受けられるため、専門家に相談したい方にもおすすめですね。
バルクアップ時に最適なPFCバランス
摂取カロリーを計算したら、次のその内訳を計算します。
PFCバランスとは、人間の身体を作る三大栄養素であるタンパク質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)のバランスのことです。
PFCバランスはバルクアップするのか減量するのかによって調整が必要です。 まずはタンパク質・脂質・炭水化物がそれぞれどのような役割をしているかを解説し、最後にその計算方法を紹介します。
P:タンパク質(Protein)
タンパク質は人間の身体の材料となる栄養素で、バルクアップには最も重要と言っても過言ではありません。
筋肉はもちろん、骨・皮膚・髪の毛も全てタンパク質でできており、タンパク質が不足していたらバルクアップはあり得ません。
タンパク質は腸内でアミノ酸にまで分解されて吸収され、そのアミノ酸が身体の各細胞に取り込まれて身体の一部として合成されていくのです。
F:脂質(Fat)
脂質は他の2つに比べて2倍以上のカロリーがあり、非常に効率的なエネルギー源となります。 脂質は炭水化物と違って貯蔵可能なエネルギー源でもあるため、体脂肪として備蓄されすぎると太ってしまいますが、実は体脂肪は身体の構成要素として重要な役割もあるんです。
関節の滑らかさや肌の艶を保つのは脂質の役割で、さらに脳もほとんどが脂質でできています。
加えて脂質の一種であるコレステロールは男性ホルモンや成長ホルモンの重要な材料となるため、タンパク質と同じく不足させてはいけない栄養素なのです。
C:炭水化物(Carbohydrate)
炭水化物は腸内でブドウ糖に分解され、瞬発的なエネルギー源として非常に重要になります。 バルクアップには高強度の筋トレが不可欠ですが、筋トレのような高強度の運動にはブドウ糖が不可欠。
エネルギー不足で筋トレの強度が落ちてしまってはバルクアップの成功は遠くなり、筋肉の合成にも悪影響が出てきます。 特に筋トレの前後には十分な炭水化物を摂取し、エネルギー不足にならないように気をつけましょう。
PFCバランスの計算方法
バルクアップをするには以下のPFCバランスが適していると言われています。- P : タンパク質 30%
- F : 脂質 20〜30%
- C : 炭水化物 40〜50%
- タンパク質:1g=4kcal
- 脂質:1g=9kcal
- 炭水化物:1g=4kcal
- タンパク質=Weight Gain Calculatorで算出した量
- 脂質=総摂取カロリーの20%(厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準」より)
- 炭水化物=残りのカロリー
- 年齢:25歳 / 男性
- 身長:170cm / 体重:61kg / 体脂肪率:18%
- 目標体重:70kg
- 目標期間:1年
- 目標摂取カロリー=2443kcal
- 目標摂取タンパク質=232g / 928kcal(232g × 4kcal)
- 脂質=54.2g(2443kcal ×20% ÷ 9g)/ 488kcal(2443kcal ×20%)
- 炭水化物=256g(2443kcal - 928kcal - 488kcal ÷4g)
最終的なPFCバランスの答えはこちらをクリック
- タンパク質=232g
- 脂質=54.2g
- 炭水化物=256g
このようにPFCバランスを計算できました。
gとカロリーの2つの数字が分かりづらいので、1つ1つ整理して計算していきましょう。
バルクアップ時のおすすめ食材
バルクアップ時の食材に関しては、ダイエット中ほど厳しい制限はありません。
しかし少しでも効率的にバルクアップしたいなら、以下のような高タンパクで栄養豊富な食材を選ぶことで健康的なバルクアップが可能になります!
1.赤身牛肉
赤身牛肉は100gに対して20gと高タンパクで低脂質、必須アミノ酸9種類、さらに鉄分や亜鉛などの必須ミネラルが豊富に含まれており、筋肉の成長に必要な栄養素を効率的に摂取できます。
牛肉にはクレアチンの天然供給源としての役割もあるので、筋トレ中のパワーアップや持久力向上の効果もあります。
小間切れであれば湯がいて塩コショウするだけでも美味しく食べられ、価格的にも財布に優しいおすすめ食材ですね。
2.鶏胸肉
鶏胸肉は牛赤身肉と同じくらい高タンパクで低脂質で、さらに価格も安いので大量に食べられるバルクアップ食材です。
100gあたり約23gほどのタンパク質が含まれており、多くのボディビルダーも主食にしています。
鶏胸肉にはカルノシンが含まれているので、持久力を高めて傷の修復を高める効果もあります。
電子レンジや炊飯器でじっくり加熱すると、柔らかい鶏ハムになりお弁当にもおすすめですよ。
3.サーモン・青魚
サーモンに加えてサバ、イワシなどの青魚は高タンパクであり高脂質。
脂肪が多い魚には「オメガ3脂肪酸」が多く含まれていて、筋肉のインスリン感受性を高める働きがあります。
インスリン感受性が高まると筋肉に栄養が優先的に送られ、効率的に筋肉にアミノ酸と耐水化物を運ぶことが可能になります。
サバ、イワシは水煮缶詰、サーモンは刺し身でも食べやすく調理が要らないのも嬉しいですね。週に2~3回は必ず食べたい優良食材です。
4.納豆
納豆は大豆由来の植物性タンパク質を豊富に含んでいて、1パックにつき約8gほどのタンパク質が含まれています。
少なく感じるかもしれませんが、納豆は植物性タンパク質なので脂質を抑えて摂取することができ、身体にとても健康的な食材です。
さらに食物繊維やナットウキナーゼなど腸内環境を整える成分も豊富。
バルクアップ中はどうしても胃腸に負担がかかるので、定期的に納豆で善玉菌を増やしてあげましょう。
5.卵
卵はバルクアップに必要なあらゆる栄養素を含んでいる完全栄養食です。
タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルなどが摂取でき、卵で摂れない栄養素はビタミンCくらいです。
卵1つには約6.5gのタンパク質が含まれており、黄身の部分には約3.5gのタンパク質が含まれています。
どの食事にも簡単にトッピングできる便利な食材なので、毎日食べるようにしましょう。
6.ブロッコリー
ブロッコリーは野菜の中では珍しくタンパク質が多めで、さらにタンパク質の代謝に必要なビタミンB6、血液を作るビタミンB12、葉酸などを豊富に含んでいます。
肉類の付け合せとして最適な野菜で、湯がいてお肉に添えるだけでも美味しく食べられるのもポイントです。
バルクアップの食事例
バルクアップ中の具体的な食事メニューについて、一例をつくってみました。
今回作成した食事の1日の合計の栄養素は以下の通りです。
1日の合計の栄養素
- タンパク質:118.5g
- 脂質:66.1g
- 炭水化物:192.8g
- エネルギー:1905kcal
朝食
- 白米100g
- 卵2個の目玉焼き
- ゆでブロッコリー
- 味噌汁
- タンパク質:24.7g
- 脂質:14.9g
- 炭水化物:79.5g
- エネルギー:575kcal
昼食
- 白米100g
- 湯がいた牛肉100g
- ゆで卵1個
- キャベツ千切り
- タンパク質:39.0g
- 脂質:34.5g
- 炭水化物:80.0g
- エネルギー:822g
間食
- サラダチキン110g
- タンパク質:26.3g
- 脂質:2.5g
- 炭水化物:0g
- エネルギー:128kcal
夕食
- ライ麦パン
- サーモンソテー
- ゆでブロッコリー
- タンパク質:28.5g
- 脂質:14.2g
- 炭水化物:33.3g
- エネルギー:380kcal
コンビニで買えるおすすめ食材
昼食や間食はコンビニで済ます方も多いと思います。
その際には、タンパク質を摂れる以下の食材がおすすめです。
菓子パンや惣菜パンなどはダイエット中には敬遠されがちですが、バルクアップのためにカロリーを摂りたい場合には有効活用できる食材ですよ。
なお、コンビニで買えるおすすめの食材について詳しくは「低脂質で高タンパクなコンビニ食材を厳選」の記事で紹介しているので参考にしてください。
食事管理が面倒な方にはマッスルデリがおすすめ!
ここまで、バルクアップの食事法を紹介してきましたが、
「カロリー計算が面倒...」
「栄養バランスを調節するのが難しい...」
という方もいるでしょう。そんな方にはマッスルデリがおすすめ!筋肉増量に効果的なお弁当を届けてくれます。
1食あたりおよそ1,000円〜からと安くはないですが、料理にかける時間を考えるとコスパは良いと言えるでしょう。
詳細については公式サイトを参考にしてください。
バルクアップする食事のポイント
バルクアップに重要な食事のポイントは以下の5つ。
あまり難しく考えずに、身体の変化をモニターし続けて改善していくのが有効ですよ!
1.食事の回数は4〜6回
バルクアップするには常に体内に栄養が満ちている状態をキープするのが有効なので、間食などを活用して1日に4~6回の食事をしましょう。
6回以上になると胃に負担がかかってしまうため、多すぎても良くありません。
摂取カロリーを増やす際に、空腹の状態で食事を一気に摂取すると、血糖値が急上昇します。 血糖値が急上昇するとインスリンの分泌が増えて、体脂肪が蓄積されやすくなるため、そういった観点からも1回に食べる量を増やすよりも回数を増やす方が良いでしょう。
2.ゴールデンタイムにしっかり栄養を摂取する
トレーニングを終えた直後は、身体がエネルギーを欲している状態になります。
全身の細胞のインスリン感受性が上昇し、栄養素を取り込みやすくなっているため、筋トレ直後のゴールデンタイムでしっかり栄養を摂取するのがバルクアップの基本です!
トレーニング後の45分以内はプロテインで素早くタンパク質を補給し、24時間以内の食生活は栄養素をしっかり摂る食事を心がけましょう。
3.水分をしっかり摂る
バルクアップ中は食事だけでなく、水分も忘れないようにしましょう。
筋肉の70%は水分でできていて、水分が不足していると体内の化学反応が起こりづらくなり、筋肉が合成されるスピードが遅くなってしまいます。
また、糖質は筋肉のエネルギーになる際に水分を消費するため、筋トレを続けていると水分の必要量が増えます。
以上の理由から、飲料水を1日3リットルを目安に飲んでください。
4.プロテインを使い分ける
バルクアップ中にはタンパク質を効率よく補給できるプロテインが有効ですが、そのプロテインにも多くの種類があります。
分解しやすく吸収の早いホエイプロテインは筋トレの直後に、吸収が緩やかで長時間効くカゼインプロテインは就寝前に飲むなど、プロテインの種類によって使い分けるのが有効ですよ。
寝ている時間は栄養が摂れない分、筋肉を回復させる栄養素が枯渇しています。吸収時間を遅らせることで、常にタンパク質を筋肉に供給することができるのです。
5.ミキサーで食事を摂取する
どうしても沢山の食事を取れない場合、食材をミキサーにかけてスムージーのようにして飲むのも一つの方法です。
特に朝食を食べられない方は、プロテイン・卵・果物・牛乳・はちみつなどを入れて飲むだけで、簡単にバルクアップに必要なカロリーとタンパク質量を確保できるのでおすすめです。
なかなか体重が増えない場合の最終手段して、覚えておいてもいいでしょう。
バルクアップの種類による食事の違い
バルクアップと一口に言っても、その方法によっていくつかの種類に分かれています。
ここでは代表的な3つのバルクアップ方法について、簡単に違いを紹介しておきます!
1.リーンバルク
リーンバルクは摂取カロリーのオーバー幅を最小限に抑え、できるだけ無駄な脂肪を付けないように筋肉だけを増やしていくバルクアップ方法です。
筋肉が増えるペースはゆっくりになりますが、太らずに常にかっこいい身体をキープしたい方におすすめ。
今回紹介したメニューを中心に、食べ過ぎない少なすぎない事を気をつけながら厳密に食事管理をしていきます。
リーンバルクについて詳しくは「リーンバルクの食事管理&トレーニング法」で解説しているので参考にしてください。
2.クリーンバルク
クリーンバルクは摂取カロリーのオーバー幅を大きくして、筋肉と一緒に体脂肪も増やしてバルクアップしていく方法です。
食事管理は「健康的な食材」を中心とし、低脂質高タンパクのメニューでオーバーカロリーを目指していくので、今回紹介した食材を中心にヘルシーなメニューを心がけましょう。
健康的で効率的なバルクアップ方法であるため、初心者の方でも取り組みやすいバルクアップ方法です。
クリーンバルクについて詳しくは「クリーンバルクの正しいやり方」で解説しているので参考にしてください。
3.ダーティーバルク
ダーティーバルクは摂取カロリーのオーバー幅を最大限大きくし、最短で身体をデカくするバルクアップ方法です。
何よりもハイカロリーを優先するため食材選びは無制限で、ジャンクフードやスナック菓子なども多用するため最も簡単な方法とも言えます。
健康的とは言えませんが身体がデカくなるスピードは最短であるため、体重が武器になるアスリートなどにおすすめの方法です。
ダーティバルクについては「ダーティーバルクの正しい食事・運動のやり方」で詳しく解説しているので参考にしてください。
まとめ
身体がデカするバルクアップの食事方法について解説してきました。
今まで痩せているのが悩みで、太りたい、筋肉を大きくしたい方などには必須の食事管理。 がむしゃらに筋トレするだけではなく、正しく栄養を摂取して効率よくバルクアップしましょう!