今回は太ももの裏の筋肉、ハムストリングのストレッチ方法を紹介します。
立ったままカラダを前屈した時、手の指先が床に届かない方はハムストリングが硬い証拠。
ハムストリングが硬くなると、腰痛・肉離れ・姿勢やボディラインに悪影響を及ぼすのでしっかりとストレッチで伸ばしてあげることが大切です。
この記事では健康運動指導士が
- ハムストリングストレッチの効果
- ハムストリングを柔らかくするストレッチ
- ストレッチポールを使ったハムストリングストレッチ
について解説。
自宅でできる簡単なストレッチを紹介しているので、ぜひ日々のルーティンに取り入れてみてください!
ハムストリングストレッチの5つの効果
ハムストリングストレッチを見ていく前に、ハムストリングの柔軟性を高めることによって得られる効果を紹介します。
・ハムストリングストレッチの効果
1.姿勢が良くなる
ハムストリングストレッチを行うことで、姿勢が良くなる効果が期待できます。
ハムストリングが硬いと、お尻の筋肉と骨盤が後ろへ引っ張られてしまい、悪い姿勢の原因となってしまうのです。
ストレッチで太ももの裏を伸ばして柔軟性を高めれば、キリッと良い姿勢を手に入れることができますよ!
また、姿勢を改善するためには筋トレも一緒に行いましょう。
姿勢を良くする筋トレ方法については別記事「姿勢を良くする筋トレ8選!」で解説しているので、今回紹介するハムストリングのストレッチと一緒にやってみてくださいね!
2.腰痛の予防、改善になる
ハムストリングストレッチは、腰痛の予防・改善の効果も期待できます!
腰痛の原因には、整形外科的なもの(椎間板ヘルニアなど)もありますが、ハムストリングが硬いことも原因の1つとして考えられます。
ハムストリングは抗重力筋(こうじゅうりょくきん)と呼ばれる筋肉で、常に緊張状態で疲れやすい部位。
筋肉が収縮しやすく、張りやコリなどの症状が起こりやすいんです。ハムストリングを積極的に伸ばしてあげることで、血液の循環が良くなり、腰がラクになりますよ。
腰の痛みが気になる方は、仕事や寝る前にストレッチでハムストリングをしっかり伸ばしてあげましょう!
・抗重力筋(こうじゅうりょくきん)とは?
抗重力筋とは、地球の重力に対して姿勢を保つために働く筋肉のこと。
背中・腰・お尻・ハムストリングなど、カラダの裏側の筋肉が該当します。
これらの筋肉は常に緊張状態にあり、疲れやすい部位。
体の中でも特にコリや張りが現れやすいので、日頃からストレッチで伸ばしてあげることが大切です。
参考:e-ヘルスネット
3.肉離れの予防
ハムストリングは、一番肉離れを起こしやすい部位。
肉離れを起こす部位の約70%を占めます。
ただでさえ硬くなりやすいうえに、ケアを怠るとますますガチガチに。
このあと紹介するストレッチで肉離れを予防しましょう!
4.疲労回復効果
ハムストリングをストレッチしてあげると、疲労回復が早くなる効果があります。
仕事で一日中座りっぱなし、立ちっぱなしの状態でいると、ハムストリングが硬くなり、血流やリンパの流れが鈍化。
老廃物がたまり疲れの原因になってしまいます。
ハムストリングのストレッチを行うことで、血流の流れが良くなり、疲れが取れやすくなりますよ!
5.痩せやすいカラダになる
ハムストリングストレッチはダイエットにも効果的!
ストレッチでハムストリングを伸ばすと、副交感神経が刺激されて血流がアップ。
基礎代謝が向上し、痩せやすい体質になります。
筋トレも合わせて行うと、さらに基礎代謝が向上するのでダイエット効果も高まりますよ!
ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチ8選!
ここでは、自宅や仕事の合間にできる、ハムストリングストレッチを8つ紹介します。
ハムストリングの柔軟性をアップさせて、快適に過ごしましょう!
・ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチ8選
1.椅子を使ったハムストリングストレッチ(座ったまま)
ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチ、1つ目は「椅子を使ったハムストリングストレッチ(座ったまま)」です。
ハムストリング、ふくらはぎの筋肉を伸ばすストレッチで、
- 姿勢を整える
- 腰痛の予防・改善
- 疲労回復
- 冷えやむくみの改善
- リラックスできる
などの効果が期待できます。
長時間のデスクワークで同じ姿勢が続くと、ハムストリングの血流が悪くなって、どんどん硬くなっていき腰痛の原因に。
椅子に座ったままできるので、仕事の合間に取り入れてみてくださいね。
椅子を使ったハムストリングストレッチ(座ったまま)のやり方
①足裏全体が床につくように座る。脚は腰幅。背筋を伸ばす。
②右脚を前に出して、かかとを床に、つま先は天井に向ける。両手はももに置く。
③背筋を伸ばしたまま、胸を右膝に近づける。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
④左脚も同様に行う。
- 背筋を伸ばして、脚の付け根からカラダを倒すようにする
- つま先を手前にすると、よりハムストリングが伸びます
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
2.ハムストリングストレッチ(立ったまま)
ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチ、2つ目は「ハムストリングストレッチ(立ったまま)」です。
ハムストリング、お尻の筋肉を伸ばすストレッチで、
- 腰痛の予防・改善
- 姿勢を整える
- 疲労回復
- スポーツ時の肉離れの予防
- 冷えやむくみの改善
などの効果が期待できます。
立ったままできるので、ランニングやスポーツ前後のウォーミングアップ・クールダウンにおすすめ。
また、立ちっぱなしなどの同じ姿勢が続いたときのむくみ解消にも効果的です。凝り固まったハムストリングをこまめに伸ばしましょう!
ハムストリングストレッチ(立ったまま)のやり方
①足を腰幅に開いて立つ。背筋を伸ばす。右脚を半歩前に出す。
②左膝を曲げ、背筋を伸ばしたままお尻を後ろに引く。両手は太ももに添える。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
③左脚も同様に行う。
- 背筋を伸ばす。横から見たときにカラダがひらがなの「く」の字になるようにポーズをとる
- 立った状態でカラダが不安定になるする人は、椅子を使ったハムストリングストレッチをおすすめします
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
3.腰痛改善に効果的なハムストリングストレッチ
ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチ、3つ目は「腰痛改善に効果的なハムストリングストレッチ」です。
ハムストリング、お尻の筋肉を伸ばすストレッチで、
- 腰痛の予防・改善
- 姿勢を整える
- 疲労回復
- スポーツ時の肉離れの予防
- 冷えやむくみの改善
などの効果が期待できます。
腰痛持ちの人はハムストリングとお尻の筋肉が硬いことが多いです。
長時間のデスクワークで同じ姿勢が続くと、ハムストリングの血流が悪くなって、どんどん硬くなっていき腰痛悪化の原因に。
肉離れの予防にもなるので、スポーツをしている方にもおすすめです。
太もも前を伸ばすストレッチとセットですると良いですよ。
腰痛改善に効果的なハムストリングストレッチのやり方
①椅子を用意する。椅子に向かって半歩離れて立つ。
②右脚を椅子に乗せる。椅子の背を持ち背筋を伸ばす。
③右脚を伸ばして(膝は軽く曲げておく)、お尻を後ろに引いていく。かかとは座面につけ、つま先は天井に向ける。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
④左脚も同様に行う。
- つま先を手前にすると、よりハムストリングが伸びます
- ストレッチ効果が高い分、高負荷のストレッチなので、痛みがあるときは無理のない範囲で行う
- レベルダウンする場合は、椅子の背もたれを壁につけ、両手を壁につけて行う
4.両脚を伸ばして前屈するポーズ
ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチ、4つ目は「両脚を伸ばして前屈するポーズ」です。
ハムストリング・ふくらはぎの筋肉・背筋を伸ばすストレッチで、
- 腰痛の予防・改善
- 全身の疲労回復
- 副交感神経を優位にし、リラックスできる
などの効果が期待できます。
ヨガのポーズの一つで、「パスチモッターナ・アーサナ」とも言います。
カラダの背面にある筋肉を伸ばすストレッチになります。
前屈するポーズはリラックス効果もあるので、寝る前のリラックスタイムにすると良いですよ。
両脚を伸ばして前屈するポーズのやり方
①長座で座る。背筋を伸ばして骨盤を立てる。両つま先は天井に向けておく。
②両手で足首あたりを持つ。背骨を伸ばしたまま、上半身を倒していく。
③さらに深く前屈する。両手は足裏または床につけるようにする。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
- 脚を伸ばして前屈が難しい人は、両膝を曲げて行う
- 骨盤を立てて背筋を伸ばして前屈する
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
5.片脚を伸ばして前屈するポーズ
ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチ、5つ目は「片脚を伸ばして前屈するポーズ」です。
ハムストリング、ふくらはぎの筋肉を伸ばすストレッチで、
- 腰痛の予防・改善
- 股関節を柔軟にする
- 冷えやむくみの改善
- リラックスできる
などの効果が期待できます。
ヨガのポーズの一つで、「ジャーヌ・シールシャ・アーサナ」とも言います。
片足ずつ伸ばすので、ハムストリングをより深くストレッチすることができます。
また、前屈するポーズはリラックス効果もあるので、寝る前のリラックスタイムにすると良いですよ。
片脚を伸ばして前屈するポーズのやり方
①長座で座る。背骨を伸ばして骨盤を立てる。
②左膝を曲げて、右太ももの内側につける。
③両ももの付け根を後ろに引きながら、上半身を前に倒す。両手は右足裏をつかむか、床につける。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
④左脚も同様に行う。
- 伸ばしている方の脚のつま先は天井を向けるようにする
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
6.半分の猿神のポーズ
ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチ、6つ目は「半分の猿神のポーズ」です。
ハムストリング・お尻の筋肉(大殿筋)・背骨周りの筋肉(脊柱起立筋群)を伸ばすストレッチで、
- 腰痛の予防・改善
- 血行を促進
- 冷えやむくみの改善
- 痩せやすいカラダになる
- 肉離れの予防
などの効果が期待できます。
ヨガのポーズの一つで、「アルダ・ハヌマーン・アーサナ」とも言います。
ハムストリングが硬いと、血液やリンパの流れが滞ってむくみの原因に。
また、普段の生活であまり伸ばす機会がないと、基礎代謝が下がり太りやすくなることも。
半分の猿神のポーズでしっかりハムストリングを伸ばしましょう!
半分の猿神のポーズのやり方
①よつんばいになる。
②右脚を両手の間に踏み出す。両手は床につけたまま。
③左膝を少し後ろにずらし、右脚を伸ばし、つま先は天井に向け、お尻を後ろに。背骨は長く保つようにする。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
④左脚も同様に行う。
- 背中が丸まると、効果が半減するので、丸まらないようにする
- 膝は少し曲げて行ってもOK
- 両手が床につきにくい人は、前に出した脚のももに添えてもOK
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
7.ハムストリングストレッチ(寝たまんま)
ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチ、7つ目は「ハムストリングストレッチ(寝たまんま)」です。
ハムストリングを伸ばすことをターゲットにしたストレッチで、
- 腰痛の予防・改善
- 全身の疲労回復
- リラックスできる
などの効果が期待できます。
また、寝起きはハムストリングが硬くなり、腰周辺の筋肉もカチコチに。
起きる前にこのストレッチで伸ばして、一日の始まりを快適にしましょう!
ハムストリングストレッチ(寝たまんま)のやり方
①仰向けになり、両膝を立てる。
②両手で右の太もも裏をつかみ、太ももが床に垂直になるまで引き寄せる。
③右膝を伸ばし、右脚のハムストリングを伸ばす。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
④左脚も同様に行う。
- 足裏が天井に向くようにする
- 膝は完全に伸ばし切らないようにする
- 太ももを無理に引き寄せすぎると、痛めるので注意する
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
8.タオルを使ったハムストリングストレッチ(寝たまんま)
ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチ、8つ目は「タオルを使ったハムストリングストレッチ(寝たまんま)」です。
ハムストリングを伸ばすことをターゲットにしたストレッチで、
- 腰痛の予防・改善
- 全身の疲労回復
- リラックスできる
などの効果が期待できます。
タオルを使うことで、よりハムストリングを伸ばすことができます。
デスクワークや立ったままの姿勢を続けていると、ハムストリングを伸ばす機会がなくてカチコチに。放っておくと腰痛の原因になりかねません。
また、血流も悪くなり、むくみの原因にも。
寝る前のリラックスタイムに、ハムストリングストレッチで頑張ったカラダをメンテナンスしてあげましょう!
ハムストリングストレッチ(寝たまんま)のやり方
①右の足裏にタオルをかける。
③タオルを引いて、右のハムストリングを伸ばす。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
④左脚も同様に行う。
- タオルを引っ張ってピンと張る
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
- ハムストリングをまんべんなく伸ばしたい人は、3方向に分けて行う
ストレッチポールを使ったハムストリングストレッチ2選!
ストレッチポールを使うと、さらに効果的にハムストリングを伸ばすことができます!
以下で、具体的なストレッチポール を使ったハムストリングのストレッチ方法を見ていきましょう。
また、ストレッチポールをお持ちでない方は「ストレッチポールのおすすめ人気ランキング!」でおすすめを紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.ストレッチポールを使ったハムストリングストレッチ
ストレッチポールを使ったハムストリングストレッチ、1つ目は片脚をポールの上に乗せて行うやり方です。
ストレッチポールで高さを作ることで、ハムストリングをより伸ばすことができます。
ポールを使うことで、コリやすい膝裏の筋肉(足底筋)に刺激を与えることもできますよ!
ストレッチポールを使ったハムストリングストレッチのやり方
①左膝を曲げ、右膝を伸ばして膝の下にストレッチポールが当たるように乗せる。
②両手を右ももに置き、背筋をまっすぐ伸ばす。
③胸を膝に近づけるようにして、上半身を前に倒す。呼吸をしながら20~30秒間キープ。
④左脚も同様に行う。
- 背中が丸まるとハムストリングの伸びが半減するので、背筋を伸ばす
- 脚の付け根から前屈する
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
2. ストレッチポールでハムストリングゴロゴロ
ストレッチポールを使ったハムストリングストレッチ、2つ目はストレッチポールの上でゴロゴロするやり方です。
ポールの上に乗ってゴロゴロすることで、コリ固まったハムストリングに刺激を与えることができます。
ストレッチポールでハムストリングゴロゴロのやり方
①ストレッチポールがハムストリングの下になるように座る。両手は床につけ、カラダのバランスを崩さないようにする
②カラダを前後に揺らしたり、凝っているところに当てて、呼吸をしながら20~30秒間キープ。
- 痛みがあるときは無理のない範囲で行う
- お尻もゴロゴロすると、お尻のコリもほぐすことができて、腰痛の改善も期待できます。
ハムストリングストレッチに関するQ&A
最後に、ハムストリングストレッチに関する疑問にお答えします。
・ハムストリングストレッチに関するQ&A
Q1:ハムストリングストレッチをやりすぎるとどうなる?
Q2:ハムストリングを伸ばすと痛いのですがストレッチをしてもいいのでしょうか?
Q1:ハムストリングストレッチをやりすぎるとどうなる?
A. やりすぎは禁物です!
関節の中の組織や筋肉を痛める可能性があります。
また、ハムストリングばかり伸ばすと、太もも前の筋肉(大腿四頭筋)の柔軟性とのアンバランスが起きてしまい、肉離れなどのケガにつながることがあります。
ハムストリングストレッチとセットで、太もも前のストレッチも行うようにしましょう。
Q2:ハムストリングを伸ばすと痛いのですがストレッチをしてもいいのでしょうか?
A.「イタ気持ちいい」範囲で行うのは構いません。そのときは必ず呼吸を止めないようにしましょう。
「イタ!!!」というような痛みなら、無理して行うとケガのもとになります。
痛みが続くようなら、一度整形外科等に受診されることをおすすめします。
まとめ
ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチを紹介しました。
カラダが硬いとストレッチを敬遠しがちですが、毎日コツコツすることで柔軟性をアップさせることができます。
ぜひ、今回紹介したストレッチを日常生活に取り入れていただき、快適に毎日を過ごしていただけたらと思います。
【参考】お尻のコリをほぐす簡単お尻ストレッチ!腰痛やヒップアップしたい方におすすめ

【参考】股関節をやわらかくする簡単ストレッチ!

【参考】ハムストリングスの鍛え方。マシン筋トレ&自重筋トレ15選
