健康的に筋肉を増やして身体をデカくする「クリーンバルク」のやり方について解説します。
身体作りは健康あってこそ。身体的にも精神的にも健やかさを保ってこそ、他人に誇れるボディメイク術と言えるでしょう。
この記事では、
- クリーンバルクの具体的なやり方
- クリーンバルク・リーンバルク・ダーティーバルクの違い
- クリーンバルクでのトレーニング方法
- クリーンバルクの食事法
を紹介します。
健康的な食事方法を身につけながら身体を大きくする実践的なやり方を解説していきます!
目次
クリーンバルクの基礎知識
まずはじめに、クリーンバルクについての基礎知識をおさらいしておきましょう!
クリーンバルクとはなにか?具体的にどんな方法で体重を増やしていくのかを、以下のポイントで解説します!
・クリーンバルクの基礎知識
クリーンバルクとは?
クリーンバルクとは、その名の通り「クリーン=綺麗な」食事によって消費カロリーよりも多くのカロリーを摂取し、筋肉量と体重を増やしていく方法です。
具体的には、脂質を抑える代わりにカロリー制限はせず食事をします。
筋肉量を増やすためには、摂取カロリーが消費カロリーを上回る「オーバーカロリー」の状態をキープするのが鉄則で、クリーンバルクではハイカロリーなジャンクフード等を排してクリーンな食事のみでオーバーカロリーを目指すのが特徴です。
体脂肪はある程度増えるのが前提です。
クリーンバルクのやり方
クリーンバルクの大まかなやり方を説明します。
ここでは流れのみをまとめて、具体的な食事管理方法は記事後半で紹介します!
・クリーンバルクの大まかなやり方
- 自分の現状から必要な摂取カロリー計算する
- 目標の摂取カロリーを摂れる食事をプランニングする
- 実際の食事を記録しながら体重の推移をモニターする
- 期間中は高強度の筋トレを続ける
このように食事管理を重視しながら、高強度の筋トレでガンガンに筋肉と体重を増やしていくのがクリーンバルクです!
リーンバルク ・ダーティーバルクとの違い
クリーンバルクと似た言葉に、「リーンバルク」と「ダーティーバルク」があります。この2つとクリーンバルクの違いをまとめました。
・リーンバルクとは
摂取カロリーを抑えて体脂肪を増やさずバルクアップする方法。クリーンバルクと違うのは摂取カロリーに制限がある点。非常に厳密なカロリー計算が必要となり、最も難易度は高い。
・ダーティーバルクとは
ジャンクフードも摂取してとにかくハイカロリーな食事を摂るバルクアップ法。筋肉と一緒に脂肪が増えるのも前提。最も簡単でコストもかからず、手っ取り早く体重を増やすには最適ですが、健康的とは言い難い。
クリーンバルクはジャンクフードを排し、クリーンな食事のみでダーティーバルクのようにオーバーカロリーを目指すリーンバルクとダーティーバルクの中間のバランスの良い方法です。
リーンバルクについて詳しくは「リーンバルクの食事管理&トレーニング法を解説」で解説しているので参考にしてください。
クリーンバルクの4つのメリット
それではクリーンバルクのメリットを見ていきましょう。
主に以下の4つのメリットについて、順番に説明していきます。
・クリーンバルクのメリット
1.健康的にバルクアップができる
クリーンバルクの最大のメリットは、何より健康的であること。
筋肉と体重を増やすには、どうしてもオーバーカロリーである必要がありますが、質の悪い油や精製されすぎた糖質を排して自然に近いクリーンな食事なので、ダーティーバルクのように健康を害さずバルクアップができます。
2.食べる量を制限せずに食事ができる
クリーンバルクにおいて食事の目標はオーバーカロリーなので、筋肉と一緒にある程度脂肪が増えます。
このためリーンバルクのように厳密なカロリー計算が必要なく、ノンストレスで美味しいものを食べることができます。
ハードな筋トレをするのにカロリー制限まで行うとストレスが溜まってしまうので、量を制限しないクリーンバルクは精神的にも健康ですね。
3.短期間で身体を大きくできる
クリーンバルクは脂肪がある程度増えることも見越してオーバーカロリーを基本とするため、バルクアップも最短の期間で達成できます。
リーンバルクは体脂肪を増やさないためどうしても筋肉量が増えるペースもゆっくりになりますが、クリーンバルクならその制限はありません。
オーバーカロリーを基本とするので、ガンガン筋肉と体重を増やしていけます!
4.楽に減量ができる
クリーンバルクで筋肉量を増やした後は、筋肉と一緒についた脂肪を落とす減量をして仕上げとなります。
クリーンバルクでは量の制限はありませんが、ダーティーな食事であるジャンクフードや揚げ物を制限しているので、そのまま量を減らすだけでOK。
ジャンクフードに慣れてしまった身体を矯正する必要がなく、元から健康的な食事の基礎ができているので、減量もスムーズに進むのです。
クリーンバルクの3つのデメリット
クリーンバルクの良いことばかりを書いてきましたが、やはりデメリットもあります。
以下の3つのデメリットをよく考えたうえで、自分にあった方法なのかどうかを検討しましょう。
・クリーンバルクの3つのデメリット
1.食事管理が大変
クリーンバルクの最大のデメリットは、食事を「クリーン」に保つこと。
出来合いの弁当や加工食品は添加物などが多いので、可能な限り素材そのままの食材を買ってきて自炊することが求められます。
必要最低限の調味料で素材のままを食べる習慣に慣れるには、調理の手間やコストが負担になりますね。
2.揚げ物が食べられない
クリーンバルクでは、ハイカロリーで粗悪な油の多い「揚げ物」は禁止です。
唐揚げ・天ぷら・メンチカツ・エビフライなど揚げ物が大好物な方には辛いですが、カロリー制限がないため揚げ物は我慢しましょう。
3.体脂肪が多少はつく
クリーンバルクではオーバーカロリーを維持して身体を大きくするため、筋肉と一緒にある程度は脂肪が増えることは避けられません。
一時的に体脂肪率が増えるため、これまで腹筋が割れていた人が割れなく見えることもあります。
この体脂肪率の増加をどこまで良しとするかは人それぞれですが、一般的には体脂肪率が20%台になったら少し減量を行う人が多いですね。
クリーンバルクの食事管理法
クリーンバルクの食事の仕方について、順を追って説明します。
実際にやってみるとそこまで難しくはないはずなので、まずは以下のマニュアルを実践してみましょう!
・クリーンバルクの食事管理法
1.摂取カロリーの目安を計算
カロリー計算には、便利なサイト「Weight Gain Calculator」を活用しましょう。
英語サイトですが、現在の体重から増やしたい目標体重を入力し、そのために必要な摂取カロリーがすぐにわかります。
アメリカのサイトなので「ヤード・ポンド法」であることに注意してください。cmからftへの変換は、Googleで「170cmは何フィート」「65kgは何ポンド」という風に検索すればすぐに分かります。
入力項目は、以下のとおりです。
- Gender:(性別)
- Age:(年齢)
- Height:(身長)
- Weight:(体重)
- Body fat:(体脂肪率)
- Daily activity:(習慣の運動量)
- Want to(減量か増量か、増量の場合は「Gain」)
- to achieve goal:(目標到達までの期間)
必要事項を入力して「Calculate」を押すと、以下の項目が自動計算されます。
- Maintain Current Weight:(現在の体重維持カロリー)
- Meet Weight Goal:(目標達成のために必要なカロリー)
- Maintain New Weight:(目標達成後の維持カロリー)
- Daily Protein:(1日に取るべきタンパク質量)
- Protein for Cutting:(クリーンバルクのためのタンパク質量)
クリーンバルクではカロリー制限はしないものの、「摂取カロリー>消費カロリー」にするのが前提なので最低限摂取しないといけないカロリー摂取量はチェックしておきましょう。
タンパク質は筋肉の源になるので、1日に取るべきタンパク質量を覚えおておきましょう。
2.PFCバランスを設定する
摂取カロリーを計算したら、次のその内訳を計算します。
人間の身体を作る三大栄養素であるタンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)のバランスを「PFCバランス」と呼びます。PFCそれぞれのカロリーは、以下の数値を覚えておいてください。
・PFCそれぞれのカロリー
- タンパク質:1g=4kcal
- 脂質:1g=9kcal
- 炭水化物:1g=4kcal
以下の数値を元に、リーンバルクに理想的なPFCバランスは以下のように計算しましょう。
・リーンバルクに理想的なPFCバランス
- タンパク質=Weight Gain Calculatorで算出した量
- 脂質=総摂取カロリーの20%(厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準」より)
- 炭水化物=残りのカロリー
・例題:以下の場合のPFCバランスを計算してみよう
- 年齢:25歳 / 男性
- 身長:170cm / 体重:61kg / 体脂肪率:18%
- 目標体重:70kg
- 目標期間:1年
の場合だと、以下のように計算していきます。
- 目標摂取カロリー=2443kcal
- 目標摂取タンパク質=232g / 928kcal(232g × 4kcal)
- 脂質=54.2g(2443kcal ×20% ÷ 9g)/ 488kcal(2443kcal ×20%)
- 炭水化物=256g(2443kcal – 928kcal – 488kcal ÷4g)
最終的なPFCバランスの答え
- タンパク質=232g
- 脂質=54.2g
- 炭水化物=256g
gとカロリーの2つの数字が分かりづらいので、1つ1つ整理して計算していきましょう。
クリーンバルクでは、カロリー制限をせずに上記のPFCバランスを達成できる食事を心がけていきます!
3.アプリで食事の記録を管理する
PFCバランスを計算できたら、実際に毎日食べたものを記録して計算通りになっているかを確認しましょう。
また毎日の食事や体重の推移を記録するため、ダイエットアプリを利用すると便利です。
以下の食事記録アプリは使いやすくておすすめです。
・MyFitnessPal
大手スポーツブランドの「アンダーアーマー」が運営するダイエットアプリです。毎日の食事や体重の記録はもちろん、300万件以上の食事データから食べたものを選択すれば、自動的にカロリーを計算してくれるのが非常に便利ですね。
・あすけん
食事の記録と体重のモニターができる日本製アプリでは、「あすけん」が非常に便利で人気があります。
有料プランでは管理栄養士からの指導も受けられるため、専門家に相談したい方にもおすすめですね。
ここまで読んでみて食事管理が毎日大変そうという方はミールプレップがおすすめです。ミールプレップとは作り置きのことで、一度にまとめて調理するため時間短縮になります。
クリーンバルク中の食材・食事例
クリーンバルク中の食事について、参考までに一例を紹介します。
食事内容については難しく考える必要はなく、なるべく素材のままに近い味で調味料を最小限にするように食べましょう!
食材と実際の食事例の2つを紹介します。
おすすめ食材
PFCバランスを計算してわかったとおり、摂るべきタンパク質に対して脂肪が少ないので、高タンパク低脂質な食材を選ぶようにしましょう。
高タンパク低脂質食材としては、代表的なものは以下の食材です。
・高タンパク質低脂質のおすすめ食材
- 鶏むね肉・ささみ
- 牛赤身肉
- 豚ヒレ肉
- サバ、イワシなど青魚
- タラ、サーモンなど白身魚
- 大豆
- 卵
鶏卵に関しては脂肪も多いですが、ビタミンなどのバランスが非常に良いためリーンバルクにもおすすめの食材です。
実際の食事例
参考として、一日の食事例を作ってみました。
・クリーンバルクの食事例
- 朝食:目玉焼き・白米・味噌汁・納豆・焼き鮭
- 昼食:サラダチキン・ゆで卵・サケおにぎり
- 間食:プロテイン
- 夕食:牛フィレ肉のロースト・白米・味噌汁・プロテイン
タンパク質を中心に食事メニューを決めると、脂肪は意識しなくても摂れるので、あとは残りを炭水化物で補うように考えれば上手くいきます。
食事管理が面倒な方はマッスルデリがおすすめ!
ここまで、クリーンバルクの食事法を紹介してきましたが、
「栄養バランスやカロリーを計算するのが面倒」
「自炊している時間がない…」
という方も多いでしょう。
そんな方には、増量用の弁当を提供しているMuscleDeliがおすすめ!
筋肉増量に最適なお弁当を届けてくれます。
価格は1食あたり1,000円ほど。詳細については公式サイトをご覧ください。
クリーンバルク中のトレーニング法
クリーンバルク中におすすめのトレーニング方法を解説します。
クリーンバルクはとにかく全身の筋肉量を増やしたいため、3つの種目だけで全身を鍛えられる「BIG3」がおすすめです。(参考:BIG3のやり方を紹介)
身体を支える大きな筋肉と、それを繋ぐ小さな筋肉もまとめて鍛えられるため手っ取り早く筋肉量を増やすには最適な3種目と言えるでしょう!
1.スクワット
スクワットは「キング・オブ・エクササイズ」と呼ばれるほど、全ての筋トレの基本となる種目です。
背中にバーベルを担いでスクワットをすることで、非常に強い負荷を全身にかけられるのが特徴。
スクワットは下半身の筋トレと思われがちですが、バーベルを担いだまま腰が丸まらないように耐えることで体幹も強く鍛えられる非常に有効なトレーニングです。
クリーンバルク中は食事を十分摂っているので、パワーがしっかり発揮できるでしょう。

- 脚を肩幅程度に開きバーベルを背中に担ぐ
- バーベルをラックオフしてお尻を後ろに突き出すようにしゃがむ
- 腰が丸まらないようにゆっくり立ち上がる
- しゃがむ前に息を吸い込んで腹圧をかける
- 膝でなく股関節で上げる意識を持つ
- 膝をつま先より前にださない
2.ベンチプレス
ベンチプレスは筋トレ初心者の方にもよく知られているトレーニングで、上半身前側の筋肉を一気に鍛えることができます。
クリーンバルクに取り組む人にとって上半身のバルクアップは必須ですよね。
最も重量を上げやすいトレーニングなので、まずは高重量のベンチプレスに挑戦して身体の基礎を作りましょう!

- フラットベンチで仰向けになる
- 手幅は肩幅より広めにバーベルを握る
- バーベルを胸まで下ろし、脚を踏ん張って持ち上げる
- バーが顎の上に来る位置でセットする
- 肩甲骨を寄せて肩を固定する
- 脚を踏ん張って背中をベンチに押し付ける
【参考】現役トレーナーがベンチプレスの正しいフォームを解説!
3.デッドリフト
デッドリフトはバーベルを使った最強の背筋トレーニングです。
背筋は胸筋の拮抗筋(反対の筋肉)なので、それぞれに負荷をかけることで効率よくバルクアップができます。
背筋群すべて・大臀筋・ハムストリングスなどをまとめて鍛えられ、全身に大きな負荷をかけて細かい筋肉まで刺激されます。
バーベル筋トレをはじめるならまず覚えたい種目で、背筋トレーニングとしても最優先となるでしょう!

- バーベルを床に置きバーの下に足を入れて立つ
- 両手でバーを握り足で床を押し込むように持ち上げる
- バーが膝まで上がったら股関節を使って上半身を持ち上げる
- 逆の順番でゆっくりと下ろす
- 腹筋に力を入れて絶対腰を丸めない
- バーは身体に沿うように持ち上げていく
クリーンバルクで注意すべき点
クリーンバルクは食事内容さえ気をつければ難しい方法ではありませんが、失敗すると体調を崩したり怪我にも繋がります。
以下の注意点を確認して、健康第一でバルクアップを目指しましょう!
・クリーンバルクで注意すべき点
筋肉の増加のスピードには限度がある
いくらオーバーカロリーをキープして筋トレをしても、筋肉が増えるスピードには限度があります。
一般的には筋トレ経験の少ない初心者ほど伸びしろが大きいので、「1ヶ月で2~3kg」、筋トレ経験の長い上級者の場合は「3ヶ月で2~3kg」が限界です。
体重増加はこのくらいのペースに留め、必要以上に体重を増やさないよう意識しましょう。
停滞期はチートデイで乗り越える
クリーンバルクを数ヶ月続けると、人間の持つ生体恒常性により停滞期が訪れます。
どんなに頑張ってもなかなか体重が増えず、モチベーション的にも厳しくなってくる頃は、停滞打破のために「チートデイ」を取り入れてみましょう。
「ジャンクフードもスイーツも含めて好きなものを好きなだけ食べる」日を設けることで、身体に新たな刺激を与えて停滞を突破できます!
チートデイはダイエットでも有効な方法なので、ぜひ試してみてください。
【参考】チートデイのやり方や注意点を解説
体調が悪くなったらやめる
クリーンバルクは「健康的に身体をデカくする」とは言っても、今までの人生と違うことをすれば身体に不調が出てくることもあり得ます。
ほとんどの場合、クリーンバルクでの体調不良は「筋トレしすぎによる疲労」のことが多く、トレーニング量に見合った休養や栄養が摂れていないのが原因。
体調不良を感じたら無理をせずに数週間くらい休んだり、食事制限を解禁して好きなだけ食べるなど、一旦やめることが結果的に近道になるものですよ。
まとめ:クリーンバルクで健康的にバルクアップしよう!
健康的に身体をデカくするクリーンバルクのやり方についてまとめてきました。
リーンバルクほど食事管理が厳密でなく、ダーティーバルクより健康的。クリーンバルクは「健康的な食事の習慣」が付く意味でも、ぜひトレーニーに実践してもらいたいバルクアップ方法です。
食事もトレーニングも完璧で、一目置かれるマッチョを目指しましょう!
【参考】プロテインで効率よくタンパク質を補給!

【参考】筋肉の分解を防ぐBCAA/HMBもおすすめ

【参考】ブロッコリーは植物性タンパク質が豊富!
